【親子問題】覚醒剤・大麻の所持と使用|親が知っておく罪の重さ

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

本記事は2026年9月時点の法令に基づいて記載しています。2024年12月12日施行の改正により、大麻の所持・使用などは「麻薬及び向精神薬取締法」(以下「麻向法」)で処罰されるようになりました。また、2025年6月1日から懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。


子どもの部屋で見慣れない袋や器具を見つけた、警察から子どもが薬物のことで話を聞かれていると連絡が来た。そうした場面で親がまず知りたいのは、「どのくらい重い罪なのか」ということではないでしょうか。大麻と覚醒剤は、どちらも所持や使用が処罰の対象です。ただ、処罰する法律、法定刑の上限、起訴される割合、子どもの年齢による手続の違いなど、分けて理解しておきたい点がいくつもあります。本記事では、親の立場で押さえておきたい「罪の重さ」を、条文上の刑と実際の処分に分けて整理します。

大麻と覚醒剤は、処罰する法律から異なる

 覚醒剤は「覚醒剤取締法」で規制されています。大麻は長く「大麻取締法」で規制されてきましたが、2024年12月12日に施行された改正により、麻向法上の「麻薬」に位置づけられました。現在は、大麻の所持・譲渡・譲受・使用などは麻向法で処罰されます(旧大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改められ、主に栽培を規制する法律になっています)。

 主な行為ごとの法定刑は次のとおりです。

行為覚醒剤(覚醒剤取締法)大麻(麻向法)
所持・譲渡・譲受(営利目的なし)10年以下の拘禁刑(41条の2第1項)7年以下の拘禁刑(66条1項)
所持・譲渡・譲受(営利目的あり)1年以上の有期拘禁刑。情状により500万円以下の罰金を併科(41条の2第2項)1年以上10年以下の拘禁刑。情状により300万円以下の罰金を併科(66条2項)
使用(営利目的なし)10年以下の拘禁刑(41条の3第1項1号)7年以下の拘禁刑(66条の2第1項)


 いずれも、単純な所持や使用について罰金刑だけで終わる定めはありません。上限だけを比べると覚醒剤のほうが重く定められていますが、大麻についても、改正前は単純所持の上限が5年だったところが7年に引き上げられ、使用も新たに処罰の対象となりました。改正の内容は大麻の「使用」も処罰対象になった|2024年12月施行の改正の要点で詳しく解説しています。

所持と使用|何が違い、どう立証されるのか

 「所持」は、薬物を自分の支配下に置いている状態を指します。身につけている場合だけでなく、自室の引き出しや車の中に保管している場合も含まれ得ます。立証の中心になるのは、押収された現物とその保管状況です。どこまでが所持にあたるかは単純所持で問われるのはどんな場合か|『持っているだけ』の線引き、その場に居合わせただけの場合の扱いは現場に薬物があった場合|同席していただけでも問われるかで整理しています。

 「使用」は薬物を体内に取り入れる行為で、多くの場合、尿の鑑定結果が立証の柱になります。現物が見つからなくても、尿から成分が検出されれば使用の罪で立件されることがあります。覚醒剤ではこの形の立件が以前から見られましたが、大麻は改正前には使用そのものを処罰する規定がありませんでした。改正によって、大麻でも「使用だけ」で問われる場面があり得るようになった点は、親として知っておきたい変化です。詳しくは所持していないのに立件された|使用のみで問われる場合と尿検査を求められた|拒否できるか、強制採尿とは何かをご覧ください。

「自分で使うため」か「売るため」か|営利目的で刑の枠が変わる

 表のとおり、営利目的が認められると刑の枠は大きく変わります。覚醒剤の所持では刑の下限が1年以上となり、罰金の併科もあり得ます。大麻でも、上限が10年に上がり、罰金を併科できる定めになっています。

 営利目的があったかどうかは、本人の説明だけで決まるわけではありません。所持していた量、小分けの状況、手元の現金、やり取りの記録などから判断されます。警察白書(令和7年版)も、面識のない者同士がSNSで連絡を取り合いながら大麻を売買する例がみられると指摘しています。友人に分けた、代金の受け渡しがあったといった事情がある場合は、営利目的と認定される要素|量・小分け・現金・メモや友人に渡しただけ|譲渡・譲受で処分はどう変わるかもあわせてご確認ください。

法定刑と実際の処分は分けて考える

 法定刑は、法律が定めた刑の上限と下限の枠です。実際には、検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合は裁判所がその枠の中で刑を決めます。親が見通しを考えるときは、この2つを分けておくと整理しやすくなります。

起訴される割合には差がある

 犯罪白書(令和6年版)によると、令和5年の起訴率は覚醒剤取締法違反が70.5%、大麻取締法違反が44.1%でした。起訴猶予(事実は認められるものの、事情を考慮して起訴を見送る処分)の割合は、それぞれ10.3%と36.4%です。大麻のほうが起訴猶予となる割合は高い傾向にありますが、これは改正前の大麻取締法の時期の数字です。使用罪の新設や法定刑の引上げを受けて、今後の運用がどう変わるかは注視が必要です。

起訴された後の刑の重さ

 犯罪白書(令和2年版)では、令和元年に地方裁判所で有期懲役の判決を受けた人のうち、刑期が1年未満だった人の割合は、大麻取締法違反で69.5%、覚醒剤取締法違反では0.2%でした。改正前の古い統計ですが、実際に言い渡される刑にも、薬物の種類によって開きがあることがうかがえます。

 一般に、初めての単純所持・使用であれば、執行猶予付きの判決となる例が多いとされています。一方で、同種の前科がある場合は実刑の可能性が高まります。警察白書(令和7年版)は、覚醒剤事犯について、ほかの薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことを指摘しています。執行猶予の期間中に再び使用した場合の扱いは薬物事件で再度の執行猶予は可能か|要件と実務の壁で解説しています。

子どもの年齢によって、手続そのものが変わる

 子どもが20歳以上であれば、成人と同じ刑事手続で扱われます。20歳未満の場合は少年法の対象となり、事件は家庭裁判所に送られて、保護観察や少年院送致といった保護処分が中心となります。犯罪白書(令和6年版)によると、令和5年に家庭裁判所で終局した覚醒剤取締法違反の少年保護事件では、少年院送致が59.2%で最も多く、保護観察が24.5%で続いていました。

 18歳・19歳は「特定少年」として扱われ、18歳以上のときに犯した罪のうち、刑の下限が1年以上の罪の事件は、原則として検察官に送り返される(逆送)対象になります(少年法62条2項2号)。営利目的での所持はこれにあたるため、「未成年だから軽く済む」とは限りません。

 統計上の傾向として、大麻は若い世代の割合が高く、令和7年の大麻事犯の検挙人員6,832人のうち、20歳代以下が7割以上を占めています(警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」)。これに対し、覚醒剤事犯は30歳代以上の検挙人員が多いとされています。10代・20代の子と、30代以上の子とでは、想定される薬物の種類や手続の見通しが異なる場合があります。

「大麻は軽い」と受け止めないほうがよい理由


  • 法改正で単純所持の上限が5年から7年に引き上げられ、使用も処罰の対象になりました。
  • THC(大麻の主な有害成分)が一定の値を超えて残留している製品は「麻薬」として扱われ、CBD製品などの名目で流通しているものでも処罰の対象となり得ます。
  • 起訴されて有罪となれば、執行猶予が付いても前科になり、就職や資格、海外渡航などに影響する場面があります。
  • 処罰の問題とは別に、使用が続けば健康や生活への影響が大きくなるおそれがあります。


 前科がどのような場面で影響するかは、前科と前歴はどう違い、どこに残るのか|期間と照会される場面で整理しています。

親の立場で押さえておきたいこと

 子どもが同居している場合、捜査の過程で家族の住まいが捜索の対象になったり、家族が事情を聞かれたりすることがあります。薬物事件は被害者のいる事件ではないため、示談によって解決するという道はありません。家族が関われるのは、身元引受や治療につなげること、生活環境を整えることが中心になります(薬物事件に「示談」はない|それでも弁護士に依頼する意味、家族としてできること|身元引受・治療・監督体制の組み立て、ダルク・依存症治療への参加|情状としてどう評価されるか)。すでに逮捕の連絡を受けている場合は、家族が逮捕されたと連絡が来た|最初の24時間にやることもご覧ください。

 もう一つ見落とされやすいのが、お金の流れです。成人した子と同居し、求められるままにお金を渡している場合、それが薬物の入手資金になっていないかを考える必要があります。金銭の要求に暴言や暴力が伴っているときは、まず親自身の安全を確保することが先決です(【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録)。

 当事務所では、少年事件で子ども本人の弁護人・付添人として活動するほか、成人した子の問題については親の代理人として介入し、民間の自立支援カウンセラーとチームを組んで、親と子それぞれの生活の立て直しに取り組んでいます。結果をお約束することはできませんが、親子の距離を取ることで状況が動き始める例もあります。取り組みの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応で紹介しています。

よくあるご質問


初めてで量も少なければ、前科はつかないのでしょうか

 初めてで少量の場合、起訴猶予となる可能性はありますが、必ずそうなるとは限りません。起訴されて有罪になれば、執行猶予が付いても前科となります。

大麻を「使っただけ」でも処罰されるのですか

 2024年12月12日以降の使用については、7年以下の拘禁刑が定められています。現物を持っていなくても、尿の鑑定などから使用の罪で立件されることがあります。

子どもが20歳未満なら、刑務所に行くことはないのでしょうか

 20歳未満の事件は原則として家庭裁判所で扱われますが、事件の内容によっては検察官に送り返され、成人と同じ刑事裁判を受けることがあります。特に18歳・19歳の特定少年は、逆送の対象となる範囲が広くなっています。

 薬物の問題は、刑の重さだけでなく、子どもの年齢、同居の有無、お金の流れによって、親がとれる手立てが変わります。見通しが立たないまま抱え込まず、早めに状況を整理しておくことが大切です。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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