【親子問題】子が逮捕された|親が最初にすべきこと

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

「警察から電話があり、息子を逮捕したと言われた。何を聞けばよかったのかも分からないまま電話が切れてしまった」「40代の娘が逮捕された。もう大人なので、親が弁護士を頼んでよいのか迷っている」。子の逮捕をめぐるご相談は、このように、何から手をつければよいのか分からない状態で寄せられることがほとんどです。

 一般に「家族が逮捕されたら、すぐに弁護士へ」と説明されます。この説明自体は誤りではありません。ただ、子が逮捕された場合には、子の年齢によって手続の枠組みも親の法律上の立場も変わること、そして家庭内の暴力が原因で逮捕に至ったときには、親自身が被害を受けた側でもあることが、一般的な説明からは見えにくくなっています。

 この記事では、子の逮捕を知った親が、最初の数日間に何を確かめ、何を判断すればよいのかに絞って整理します。家族一般の最初の動きは家族が逮捕されたと連絡が来た|最初の24時間にやることで、手続の全体像は逮捕から解決までの流れ【フローチャート】|今どの段階かがわかるで扱っていますので、あわせてご覧ください。

本記事は2026年9月時点の法令に基づいて作成しています。個別の事件の見通しは、事実関係や捜査の状況によって異なります。


逮捕の知らせを受けたら、最初に確かめること

警察に聞いておきたい4つのこと

 警察から逮捕の連絡を受けたときは、動揺のなかでも次の点を確かめておくと、その後の相談を進めやすくなります。捜査の中身までは教えてもらえないことが多いものの、所在や容疑の概要は伝えてもらえる場合があります。

  • 子がどこの警察署にいるか。
  • 何の疑いで逮捕されたか(罪名)。
  • いつ逮捕されたか。時刻まで分かれば、後で説明する72時間の期限を逆算できます。
  • 担当の部署と担当者の名前、今後の問い合わせ先。


 電話の後は、聞いた内容と通話の時刻をメモに残しておくと、弁護士に状況を伝えるときに役立ちます。警察署と担当者が分かっていれば、事件番号や担当検察官も後から確認しやすくなります。確認の方法は事件番号・担当検察官はどう確認するのか|家族が問い合わせる方法で解説しています。

子の年齢で、手続も親の立場も分かれる

 同じ「子が逮捕された」という出来事でも、子の年齢によって進む手続が異なります。親がどのような立場で関わるのかも、年齢によって変わります。

子の年齢手続の枠組み親の法律上の立場
14歳未満刑事責任を問われないため、逮捕はされない。児童相談所への通告や一時保護が中心になる保護者として関わる
14歳から17歳少年事件。捜査の後、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送られる保護者として付添人を選任できるなど、手続に関わる場面が多い
18歳・19歳(特定少年)少年事件として扱われるが、検察官に送り返される(逆送)範囲が広く、起訴されると(略式手続の場合を除く)実名などの報道の制限が外れる親権はない。少年法上の「保護者」にあたるかどうかは監護の実態による
20歳以上成人の刑事手続直系の親族として弁護人を選任できる。それ以外の関わりは本人の意思が前提になる


 まず子の年齢を確かめ、どの枠組みで手続が進むのかを把握することが、親が次の一手を考える出発点になります。特に18歳・19歳の子の場合は、少年事件でありながら成人に近い扱いを受ける場面があるため、見通しの確認が欠かせません。

親に連絡が来ないこともある

 成人した子が逮捕された場合、逮捕の段階で警察が親に連絡しなければならないという法律上の定めはありません。勾留が決まった段階で、弁護人がいなければ、本人が指定した親族のうち1人に勾留の事実が通知されます(刑事訴訟法79条、207条1項)。本人が親以外を指定すれば、親が逮捕を知らないまま手続が進むこともあります。

 少年の場合は、呼出しや取調べの際に保護者などへ連絡することが原則とされています(犯罪捜査規範207条)。ただし、連絡することが少年の福祉のうえでふさわしくないと判断される場合の例外があり、18歳・19歳の特定少年についても同じ運用がとられています。

逮捕から72時間で何が決まるのか

48時間・24時間・10日という区切り

 逮捕の後は、法律で決められた時間の区切りに沿って手続が進みます。

段階期限決まること
警察での取調べ逮捕から48時間以内検察官に送るか、釈放するか(刑事訴訟法203条1項)
検察官での取調べ送致から24時間以内(逮捕から72時間以内)裁判官に勾留を請求するか、釈放するか(同法205条1項、2項)
勾留請求の日から10日間。やむを得ない事由があれば、さらに最長10日間延長される起訴するかどうか(少年であれば家庭裁判所に送るかどうか)の判断に向けて捜査が進む(同法208条)


 勾留が決まる前の72時間は、親が本人と会えない一方で、身柄の拘束を解くための働きかけが意味を持ちやすい時間でもあります。勾留が決まった後も、延長を止めるための動きは考えられます。家族ができることは勾留延長を止めるために家族ができることで整理しています。

この間、親は面会できない

 家族との面会は、勾留された後に認められるものです(刑事訴訟法80条、207条1項)。逮捕から勾留が決まるまでの間は、親であっても通常は本人に会えません。これに対し、弁護人はこの段階でも、警察官の立会いなしに本人と面会できます(同法39条1項)。

 勾留の後も、接見禁止がつくと家族は面会できない状態が続きます。その場合の動きは接見禁止がついて家族が会えない|解除に向けた動きで、面会できるようになった後の差し入れについては留置場への差し入れと手紙|家族ができる支援の実務で解説しています。

少年の場合に加わるルール

 少年事件でも、捜査の段階では基本的に成人と同じ手続が使われます。そのうえで少年法は、少年の勾留を「やむを得ない場合」に限っています(少年法43条3項、48条1項)。また、勾留に代えて少年鑑別所に収容する措置(勾留に代わる観護措置)が設けられており、こちらは期間が10日間で延長はありません(同法43条1項、44条3項)。実務では勾留が選ばれることも少なくないため、「やむを得ない場合」にあたらないことを弁護人が主張する意味があります。

 捜査が終わると、少年事件はすべて家庭裁判所に送られます(同法41条、42条)。成人のように検察官の判断で不起訴となる仕組みはありません。家庭裁判所に送られた後、少年鑑別所に収容する観護措置がとられると、実務上は4週間程度、一定の場合には最長8週間の収容となることがあります(同法17条)。

親が最初にすべきことは、弁護士に本人と会ってもらうこと

子が何歳でも、親は弁護人を選べる

 逮捕された本人だけでなく、本人の直系の親族も、独立して弁護人を選任できます(刑事訴訟法30条2項)。子が未成年であっても、40代・50代であっても、親はこの立場で弁護士に依頼できます。親が動けば、本人が自分で弁護士を呼べない状況でも、逮捕直後から弁護士が本人と面会できる状態を作ることができます。

 家庭裁判所に送られた後の少年事件では、弁護士は「付添人」として活動します。付添人を選任できるのは少年本人と保護者で、弁護士を付添人に選ぶ場合は家庭裁判所の許可は要りません(少年法10条1項)。捜査段階で依頼した弁護人に引き続き付添人を頼む場合も、あらためて選任の手続が必要になります。弁護士が面会で何をするのかは「接見」で弁護士は何をするのか|依頼から面会までの流れで紹介しています。

当番弁護士・国選・私選の違い

 弁護士に面会してもらう方法は、主に次の3つです。

  • 当番弁護士:各地の弁護士会が運営する制度で、本人や家族が弁護士会に連絡すると、弁護士が原則1回無料で面会に行きます。弁護士を指名することはできません。
  • 国選弁護人:勾留が決まった後に、本人の請求などにより裁判所が選任します(刑事訴訟法37条の2)。逮捕から勾留までの間は対象になりません。
  • 私選弁護人:親が依頼先を選び、逮捕直後から活動を始めてもらうことができます。費用は依頼した人の負担になります。


 どれを選ぶかは、事件の内容、急ぐ度合い、費用の見通しによって変わります。途中で切り替える場合の扱いは国選と私選はどう違う|途中で切り替えられるのかで解説しています。

弁護人は「親の代理人」ではない

 親が費用を負担して依頼した場合でも、弁護人が守るのは逮捕された本人の利益です。本人が親に伝えてほしくないと言った内容は、弁護人から親には伝わりません。事実を認めるか争うかといった方針も、最終的には本人の意思が基準になります。

 親としてはもどかしく感じる場面もありますが、この線引きがあるからこそ、本人は弁護人に事実を話すことができます。親は、見通しの説明を受けたり、身元引受や釈放後の生活の準備について相談したりする形で関わるのが現実的です。本人が事実を認めない、家族と話したがらない場合の関わり方は本人が事実を認めない・家族と話さない|家族が相談できる範囲で扱っています。

親がとりがちで、いったん立ち止まりたい行動

被害者に直接会いに行く・謝罪の連絡をする

 子に代わって謝りたいという気持ちから、被害を受けた方に親が直接連絡をとろうとすることがあります。しかし、被害を受けた方にとっては加害者側の家族からの接触そのものが負担になることがあります。また、捜査の段階での接触は、口裏合わせや働きかけと受け取られ、勾留の判断に影響するおそれもあります。

 謝罪や示談の申入れは、弁護人を通じて行うのが一般的です。親が示談金を用意する場合でも、まず弁護人に相談し、進め方を決めてから動くことをおすすめします。

子の部屋やスマートフォンを片付ける

 逮捕の後、子の部屋に事件に関係しそうな物があると気づき、片付けたくなることがあるかもしれません。しかし、他人の刑事事件の証拠を隠したり壊したりする行為は、証拠隠滅罪にあたりえます(刑法104条)。犯人の親族が本人の利益のために行った場合には刑が免除されることがありますが(同法105条)、これは裁判所が刑を免除できるという定めであり、罪が成立しないという意味ではありません。

 捜索のために警察が自宅に来ることもあります。部屋の物には手をつけず、気になる物がある場合は弁護士に相談してください。親族の特例については家族をかくまった|犯人蔵匿罪と親族の特例で詳しく扱っています。

学校や勤務先への連絡を急ぐ

 勾留が続けば、学校の欠席や勤務先の欠勤をどう伝えるかという問題が生じます。ただ、何をどこまで伝えるかは、本人の意向と弁護人の見通しを聞いてから決めても遅くない場合が多いものです。少年の場合は、警察と学校の間の連絡の仕組みを通じて学校に情報が伝わることもあります。

 どの段階で、どの経路で伝わるのかは会社・学校に知られるのはどの段階か|通知の仕組みと事実上の経路で、報道への対応は実名報道は避けられるのか|報道の判断と弁護人ができることで解説しています。

親が被害を受けた側でもある場合

「支える家族」と「被害を受けた人」が重なる

 親子の問題のご相談では、親への暴力や物を壊す行為を受けて110番し、その結果として子が逮捕されたというケースがあります。この場合、親は子を支える家族であると同時に、被害を受けた人でもあります。警察や検察からは被害者として話を聞かれ、同時に、身元を引き受けられるかを尋ねられることもあります。

 二つの立場が重なると、処罰を求める気持ちと、子を早く家に戻したいという気持ちの間で揺れ動くのは自然なことです。被害届や処罰の意思をどう扱うかについては【親子問題】被害届を出すと家族関係はどうなるのか|出す前に考えることで整理しています。

身元引受と同居の再開を、その場で決めない

 身元引受書は、釈放後の本人を監督することを約束する書面で、釈放の判断材料の一つになります。ただ、同じ家に戻ることを前提に引き受けると、同じことが再び起きる不安を抱えたまま生活を再開することになりかねません。

 身元引受書に署名する前に、釈放後に子がどこで暮らすのかを決めておくことが、親自身の安全と子の生活の立て直しの両方につながります。実家以外の親族の家や、別の住まいを用意できるかどうかも、選択肢として検討する価値があります。身元引受書の記載内容は身元引受書は誰が何を書くのか|記載事項と文例で紹介しています。

子の弁護人とは別に、親の側の相談先を持つ

 子の弁護人は、子の利益を守る立場にあります。親が被害を受けた側でもある場合、親の安全や今後の同居をどうするかといった問題は、子の弁護人とは別の窓口で相談するほうが整理しやすくなります。同じ弁護士が両方の立場を担うと、利益が対立する場面が生じうるためです。

 当事務所の親子問題への対応では、弁護士が親の側に立ち、民間の自立支援カウンセラーが子の住まい探しや仕事探しなどの生活面を支えるという形で、親と子それぞれの自立を目指しています。取り組みの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。

よくあるご質問

本人が「親に弁護士を頼んでほしくない」と言っているようです。それでも依頼できますか。

 法律上、親は本人とは独立して弁護人を選任できます(刑事訴訟法30条2項)。ただ、弁護活動は本人の協力があって成り立つものであり、本人がはっきり拒む場合、弁護人として活動を続けることは難しくなります。まずは一度弁護士に面会してもらい、本人の意向を直接確かめてもらう形が現実的です。

遠方の警察署で逮捕された場合も、東京の弁護士に頼めますか。

 依頼すること自体は可能です。ただ、面会のたびに移動が必要になるため、日当や交通費がかかり、面会の頻度にも制約が出ることがあります。急ぐ場合は、現地の当番弁護士の面会を先に手配し、並行して依頼先を検討するという方法もあります。

釈放されたら、事件は終わったと考えてよいですか。

 釈放は身柄の拘束が解かれたことを意味するもので、事件が終わったとは限りません。在宅のまま捜査が続くことや、処分が保留されたまま時間が経つこともあります。少年の場合は、釈放された後も事件が家庭裁判所に送られます。処分保留の意味は処分保留で釈放された|終わったわけではない状態で解説しています。

まとめ


  1. 逮捕の連絡を受けたら、警察署、罪名、逮捕の時刻、担当者を確かめ、メモに残す。
  2. 子の年齢によって、少年事件か成人の手続かが分かれ、親の法律上の立場も変わる。
  3. 逮捕から72時間以内に勾留の請求の有無が決まり、この間、親は通常は面会できない(刑事訴訟法203条、205条、80条)。
  4. 少年の勾留は「やむを得ない場合」に限られ、捜査の後はすべて家庭裁判所に送られる(少年法43条3項、48条1項、41条、42条)。
  5. 子が何歳でも、親は直系の親族として弁護人を選任できる。ただし弁護人が守るのは本人の利益である(刑事訴訟法30条2項)。
  6. 被害者への直接の接触や、子の部屋の物の片付けは控え、弁護人に相談する(刑法104条、105条)。
  7. 親が被害を受けた側でもある場合は、身元引受と同居の再開をその場で決めず、親の側の相談先を持つ。


お子さまの逮捕でお困りの親御さんへ

弁護士法人若井綜合法律事務所では、刑事事件と親子の問題に関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。逮捕されたお子さまのために弁護士を探している方も、お子さまからの暴力が原因で逮捕に至り、今後の同居や身元引受に迷っている方も、状況に応じた進め方をご一緒に考えます。

子の逮捕を知った直後は、何を優先すべきかの判断が難しいものです。お一人で抱え込まず、まずは現在の状況をお聞かせください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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