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阿部美奈子

グリーフケアでペットと飼い主の心を癒やす獣医師

阿部美奈子(あべみなこ) / 獣医師

合同会社Always

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コラム

第2回獣医療従事者対象動物医療グリーフケアフォーラム

2019年11月28日 公開 / 2020年12月27日更新

テーマ:日本の文化にあった安全なエンディング

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

大盛況!医療者対象、そして飼い主様対象、動物医療グリーフケア

 
医療者対象フォーラム10月19,20日の2日間、続きまして飼い主様対象フォーラム22日を開催しました。

・感謝~満員御礼!
沖縄から北海道まで全国から107名が京都ハートンホテルに集結。
獣医師 43名 動物看護師 52名 トリマー 5名 その他 7名
私の講義のほか、11名の発表、グループワークを通してグリーフケアを具体的に学ぶ
大変有意義な2日間になりました。
また22日にはわがコを愛する飼い主様が全国より98名集結。
セミナーのほか、2名の方に愛犬とのStory、1名にペットのグリーフケアとしての車いす作成について発表いただき、温かい涙あり、幸せな笑いありの1日を共有できました。

・医療者対象フォーラムのテーマは“日本の文化に合った安全なエンディング”
エンディングとはペットの命の最終章を意味します。
グリーフケアを最大限に活かさなければならない時間として上級のグリーフケアを
真剣に学ぶ機会。
今回フォーラムへの参加条件として過去に動物医療グリーフケアの講義(総論は必ず)を
受講していることを設定、基本的なグリーフケアを理解している上でレベルアップを目指して
いただきました。

・日本の文化をまず理解する
今年、例年以上に大型台風に襲われた日本。人も動物も自然災害によるグリーフを体験しています。現在はまた想像を超える自然災害が起きてしまうかもしれない…という予期グリーフも
抱えながら毎日をがんばっています。
強い宗教観を持たない人が多い日本。ペットと暮らす生活ではペットからグリーフを癒され安全感を得られることも多くペットへの依存は自然な流れ。
ペットは人のグリーフケアを担い、生きていくための重要な存在となっています。

・支援となるグリーフケアの実践
依存対象となることでペットの小さな変化も不安に感じやすい状況になります。
もし“治らない病気”の宣告を受けたらどうなるでしょうか。
到底、簡単にペットがいなくなるときが来ることを受け入れるわけにはいきません。
頭ではわかっていても心は不安と恐怖で溢れ現実を信じることはできないでしょう。
支援となるグリーフケアを実践するためには飼い主の衝撃期、悲痛期のグリーフをしっかり理解、依存対象の喪失では深刻なグリーフを発生するのは自然であり避けることはできないため
グリーフの理解者となり支援となるグリーフケアを実施しなくてはなりません。

飼い主さんのグリーフケアが支援にならない場合にはペットはエンディングを不安や恐怖、緊張や警戒とともに迎えてしまう危険が高まります。
ペットの安全なテリトリーを守るためには飼い主さんへのグリーフケアは必須。
さまざまなケースを通してグリーフケア力のアップを目指していきましょう。

また飼い主のみなさまも安全基地としてわがコに合ったホームドクター選びをしていただきたいのです。治療を始める前に考えたいわがコにとって最も大切な決断です。


・ペットの目から景色をみる診療
ペットとは人と出会った動物。産みの母親と別れ、人と出会ってからは毎日、人のあらゆる表情をメッセージ源として生きています。
ペットを安全なエンディングに導くためにはペットにとって生きる上で最も大切な安全なテリトリーの確保です。ペットが今まで見てきた景色が大きく変わらないようにすることは
ペットのストレス増大を防げます。できる限り緊張や恐怖に怯えることが少ない環境を整えることが求められます。


・エンディングに必要な医療とは
治療をすることで病気による痛みを軽減または緩和することができるのであればペットにとってグリーフケアにつながります。しかしながら配慮しなくてはならないのはペットが心を痛めながら治療を受けないよう「病気」ではなく「ペット」主役で提供する姿勢です。
医療者の表情も飼い主の表情もメッセージ源、また環境もメッセージ源となるため安全感を
伝えるアイディアを考えることが重要なのです。


・やはりどんなときも「ペットが主役」の医療を。
命の最終章に病気のレッテルを貼ることは避けなければなりません。
病気が体の中に存在しても目の前のペットは○○ちゃんです。
エンディングの○○ちゃんを最期の時までまっすぐに日常を続ける姿を尊重し支援していきましょう。



・ペットからのメッセージ
最期を迎えるとき、ペットが「日本人と出会えて良かった、幸せだった」と感じてくれること。「病気になっても怖くなかった、安心して弱った体を投げ出す安全なテリトリーがあって
うれしかった」「日本最高!」そんなメッセージをもらえますように。



・フォーラム風景
あっという間に一体感が生まれていた会場。
初対面も多い中、気づくと全員が“グリーフケア”を真剣に受け止め同じ方向を向いている空気。ペットの目線でグリーフを感じとり共感することがいかに大切な心の医療かを考えながら
グループワークもさまざまな意見の交換ができました。


・医療者対象フォーラムでは症例発表
日常的な診察で取り入れる猫のグリーフケア、介護ケアやリハビリテーションでのグリーフケア、距離感が生まれてしまった飼い主様へのグリーフケア、高度の医療を提供する二次診療病院でのグリーフケア、病院スタッフ間でのグリーフケア、安楽死や尊厳死でのグリーフケアなど日々現場で苦悩しながら取り組んでいる内容へアドバイスさせていただきました。
参加者全員が共有することでそれぞれの抽斗が増え、現場に戻りそれぞれが実践に取り入れて
いくことができます。
フォーラムの後、参加された医療者から「安楽死についての自分自身の考え方、受け取り方が変化した」「安楽死を尊厳死にしていくことに共感できた」「実際に尊厳死に導くことができた」「飼い主一緒に笑顔でペットを安楽死で見送った」「安楽死の前に、家族写真を撮ってあげることができた」など
個々のペットに合った“安全なエンディング”をプレゼントできた様子がフォードバックされてきます。
知らず知らずの間に人の目線になってしまう動物医療。
どんなときも“○○ちゃん”が主役になるようにペットとの共感力を育てます。

・合同会社Alwaysお披露目も!
初日フォーラム後の懇親会にてお祝いしていただきました。
長年、動物医療グリーフケアを支持し、信じて付いてきてくれた獣医師や動物看護師の心温まる祝辞には感激。15年目試行錯誤で始めた動物医療グリーフケアを今日まで続けてきて良かった!ますますがんばる勇気をもらいました。今まで応援してくれた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

終わりに
未来の後継者育成を目指し
2020年、笑顔につなぐ動物医療が全国に広がるよう通信講座やZOOMによるライブセミナーや症例検討会などに力を注ぎます。
ペットに関わる全ての人とともにペットの安全基地“Home”を守っていけましたら幸せです。
同時に私とともに動物医療グリーフケアを正しく伝え、待合室診療やカウンセリングを提供できる人材を本気で育成していきます。全国に後継者が存在する未来が訪れますように。


ご質問やご相談等、メールで随時お受けいたしますのでお気軽に
送ってくださいね。場合によっては少しお待たせするかもしれませんが必ず返信いたします。

2020年もよろしくお願いします!







フォーラム1







この記事を書いたプロ

阿部美奈子

グリーフケアでペットと飼い主の心を癒やす獣医師

阿部美奈子(合同会社Always)

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