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コラム

勝てる新規事業戦略はフレームワークが作る|5つのマーケティング施策②

2021年9月15日

テーマ:新規事業

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 事業計画 立て方経営戦略キャリアコンサルティング

「成功する」「競合他社に勝てる」新規事業の作り方を知っていますか?

それは、やみくもに計画を立てるのではなく、きちんとフレームワークに当てはめて作っていく方法です。

ここでは、新規事業戦略が立てられない時の対処法、勝てる戦略を満たすためのビジネスフレームワーク5つを紹介します。また新規事業戦略を立てる時に注意しなければいけないことも、併せて解説しています。

今回ご紹介しているフレームワークを用いて、競合他社を出し抜くマーケティング施策を打ち出しましょう。

勝てる戦略を生み出すビジネスフレームワーク5選

ここからはメインテーマ、勝てる戦略を生み出すためのビジネスフレームワークを5つ紹介します。

・PEST分析(マクロ環境)
・VRIO分析(マクロ環境)
・SWOT分析(マクロ環境)
・3C-4P分析(マクロとミクロ)
・STP分析(ミクロ環境)

上記で紹介したミクロとマクロについてもそれぞれ記載しているため、そこも確認しておきましょう。

PEST分析(マクロ環境)
まずは、マクロ環境に関する分析ができる「PEST分析」の紹介です。

・Politics(政治的要因)
・Economy(経済的要因)
・Society(社会的要因)
・Technology(技術的要因)

自社ではコントロールすることができない、世の中の情勢や流行り廃りによって事業の成否は左右されます。PEST分析を使うことで、参入市場が抱えているリスクや、今後生まれるであろうチャンスを見つけ出しましょう。

【Politics(政治的要因)】
まず「Politics」ですが難しく考える必要はなく、例えば「タピオカブームが始まっているが、タピオカは台湾の定番商品で台湾は親日国家だな」と考えられます。
上記で何が分かるかですが、これで今参入する場合に問題点はないかが確認できます。

例えば、タピオカがロシアの定番商品で、ロシアが友好的ではなく、さらにタピオカは伝統お菓子だから輸出を渋っているという情報がここで出てきたとします。その場合、「今後タピオカ事業は暗礁に乗り上げ、利益を上げられない」と推測することができます。

マクロ環境の分析では、こういった国内外の事象も分析の中に入れていきます。

【Economy(経済的要因)】
続いてEconomyですが、こちらは商品・サービスに関して顧客や社会全体で感じる経済的な問題や、考えをまとめていきます。

上記のタピオカなら「普通のジュースよりは高い。高価なのはマイナスだが、むしろ少し高価なことが特別感を演出している」と分析できます。

顧客が抱える経済的要因としては、これから参入するのにマイナス要素の強い問題がないことが分かります。

【Society(社会的要因)】
3つ目は「Society」で、これは国内で考えられる商品・サービスに関わってくる要因を分析します。

例えば「コロナの影響で外出が難しく、路面店も感染症対策の面から営業を自粛しなければいけない」と考えられます。

現在はコロナの影響が大きいですが、例えば「若年層の本離れ」や「離婚率が増えている」など、自社サービスに関係する社会的要因は全て出しましょう。

【Technology(技術的要因)】
最後は「Technology」で、これは商品・サービスに関する技術的な要因を分析するステップです。

例えば「タピオカの味の種類が多様化し、SNSによる映えも流行を後押しした」など。

「保存技術が発展し、タピオカの量産と大量保存が可能になった」などもTechnology分析の1つの結果です。

上記4つの視点からタピオカ事業を分析すると、社会的要因(コロナ)に問題があることがわかります。

SWOT分析(マクロ環境)
続いて紹介するのはSWOT分析です。

・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)

上記4つの頭文字をとったフレームワークで、自社の強みと弱みを明確にした状態で、市場でのビジネスチャンスと、事業を脅かす脅威について分析します。

【Strength(強み)とWeakness(弱み)】
まずは自社の「Strength」と「Weakness」から分析していきましょう。
自社の強みと弱みがわかると、今後の課題や他社との差別化について、有用な戦略を練ることができます。

ただ内部環境は外部環境の影響を受けるものなので、スムーズにアイデアが思い浮かばない場合は、先に「Opportunity」と「Threat」を分析するのもいいでしょう。

【Opportunity(機会)とThreat(脅威)】
「Opportunity」と「Threat」は市場規模や市場の成長推移などから、参入するにあたって自社にビジネスチャンスはあるか、立ち行かなくなる危険性はないかを分析します。

ビジネスを取り巻く外部環境すべてにおいて分析したいため、競合の状況や景気、政治の動きなども取り入れることができると、より精度の高い分析が行えるでしょう。

3C-4P分析(マクロとミクロ)
「3C分析」「4P分析」は、多くのビジネスパーソンが耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここでは分けて解説するのではなく、1連の流れとして解説していきます。

ミクロ分析に役立つ3C分析とは
「Customer(顧客分析)」「Company(自社分析)」「Competitor(競合分析)」を指します。

マクロ分析に役立つ4P分析とは
「商品・サービス(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」を指します。

3Cも4Pもよく聞くフレームワークですが、単体では最大限の効果を発揮できません。3Cで外部環境を分析し、4Pで内部環境を整えることで、始めて戦略を立てることができるのです。

VRIO分析(ミクロ環境)
続いて紹介するのは「VRIO分析」といって、自社の経営資源について分析するフレームワークです。

・Value(経済価値)
・Rarity(希少性)
・Imitability(模倣困難性)
・Organization(組織)

上記のそれぞれの頭文字を取っています。ひとつずつ見ていきましょう。

【Value(経済価値)】
「Value」は自社の有する経営資源が、相対的に見て経済的な価値を生むかを分析する指標です。ここで言う経済的な価値とは、金額で表されるものではなく、市場全体にどれほどの付加価値を生み出せるか、で測ります。

【Rarity(希少性)】
「Rarity」ではその名の通り、自社の経営資源は他者が所有していないような希少性のあるものかを測ります。この希少性が保たれるほど、後発組の参入障壁を高くし、市場を独占できる確率が上がります。

【Imitability(模倣困難性)】
「Imitability」は希少性と似ているのですが、経営資源そのものに焦点を当てるのではなく、自社と経営資源の関係性に焦点を当てます。

例えば自社の歴史やブランド力、特許等による独自の技術の確立など、仮に経営資源そのものを他社が確保しても、Imitabilityが高いと競争優位性を長く維持できます。

【Organization(組織)】
「Organization」は、経営資源を有効活用できるだけの組織力があるかを分析する指標です。これまでは他社との相対的な分析でしたが、Organizationでは社内環境構築のための分析を行います。

STP分析(ミクロ環境)
5つ目に紹介するのはSTP分析といい、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取っています。STPを行うことで、効率よく売上をアップさせるための戦略が分かります。

【Segmentation(セグメンテーション)】
まず「Segmentation」で顧客をニーズごとにグループ分けしていきます。

ここでの目的は、新規事業を利用する顧客像を明確にすること。性別や年齢、居住地域など、あらゆる指標で顧客を細分化していきますが、ここでは顧客をグループ分けすることだけに専念してください。

【Targeting(ターゲティング)】
「Targeting」では「Segmentation」で洗い出したグループから、どのグループに商品を打ち出せばより効率よく売上を伸ばせるかを絞り出します。

「Targeting」と「Segmentation」はセットで使用すると覚えておきましょう。

【Positioning(ポジショニング)】
最後に「Positioning」で、市場における競合他社との立ち位置を確立させます。

「価格・品質・販路」などあらゆる指標で分析し、他社と差別化できる部分、大きなビジネスチャンスのあるブルーオーシャンを探します。

すでに飽和している市場も多いため、ブルーオーシャンを見つけるのは難しいかもしれませんが、早い段階で他社との立ち位置を理解しておくのは、今後の戦略においてとても重要です。

新規事業戦略を考える時に注意したいこと

では最後に、「新規事業戦略を考えるときに注意しなくてはいけないこと」について解説していきます。

今後、企画書を作る際や、現在進行しているプロジェクトがある場合は、当てはまる項目がないか再度確認してみてください。

事業計画書の作成がゴールになっている
まず失敗する新規事業では、計画書の作成自体がゴールで、その後の成果に焦点が当てられていない場合がとても多いです。

計画書の見やすさだけにこだわったり、承認を通りやすくするためだけのスケジュール感では、実際にスタートすると計画通りに行かない場合がほとんどです。

事業計画書の作成はプロセスの一つであり、ゴールは「事業を成功させて利益を勝ち取ること」という認識を持ちましょう。

分析よりも思いつきを重視している
「画期的な事業計画に必要なのは発想力やヒラメキだ!」と考えているケースは意外と多いです。この場合、分析の大切さに気づいておらず、他社に勝つ戦略を立てることができません。

ここまで紹介した5つのフレームワークは、どれも自社と他社の立ち位置や、市場におけるビジネスチャンスを明確にするものばかりです。

戦略というのは現在足りないものや自社が持つ強みを理解し、それをどう活かして戦っていくかを練る作業です。「分析なくして戦略を立てることはできない」と覚えておきましょう。

他社の戦略の勉強をしない
新規事業の戦略を立てる際は、他社の戦略の勉強を怠ってはいけません。

自社の事業戦略にいくら自信があると言っても、似たような戦力を他社が行っていれば後発になり、見合った成果が得られません。また事業に失敗している企業の分析を行うと、自社戦略と通ずるポイントが見つかり、失敗を事前に防ぐこともできます。

良い経営戦略をまるまる利用することはできませんが、他社の成功例・失敗例から学べることは多く、良いアイデアを生み出すきっかけにもなってくれるでしょう。

どの戦略が今使えるかを見極めるのが大切

「戦略とは一つしか作ってはいけないもの」ではありません。いくつかの戦略を考え、あらゆる状況に対応できるものにしておく必要があります。

いま自社がどの立ち位置で、どの戦略を使えばこの状況をより好転できるか、いくつかの戦略から選び出す力も必要です。

「戦略は発想力に頼らず、分析から導き出すもの」と覚えておくだけでも、今後の企画立案に役立つのではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

畔上靖

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