市川沙央著『ハンチバック』を読んでみた
富士市にて在宅医療に携わっているふじやま薬局薬剤師の栗原です。
今日は本の紹介です。
『人は見た目が9割』という少し前に出た本です。この趣旨の本が一時結構出版されていたと記憶しているのですが、たまたま寄った本屋で見かけ気になったので手に取ってみました。
「見た目が9割」なんて言うと、なんとなく(ですが)、中身は薄めの本なのかな?と思ったりもしてたのですが、実際読んでみると実に説得される内容が多かったです。
著者は劇作家であり、漫画の原作も手がけれおられる方のようです。劇や漫画は、言葉以外の伝達方法を持つ代表的なメディア。その現場にいる方が書いていらっしゃるのですからとても説得力がありました。
身振りに現れる文化・社会的影響
タイトルから想像されるような、「人は見た目が大事なんだから、とにかく見た目を大事にしよう」といった趣旨の本ではありません。身振りや素ぶりといった非言語的なコミュニケーションの方法には文化社会的な背景があり、意図せずそれをそこに住む人は影響を受けている。だから人の身振りそぶりからその人の考えや心理的な状態を推察することはかなり妥当性を持つ、というわけです。
私自身は普段、そこまで人を観察することはしていないように思います。電車や喫茶店で、周りの方を観察する趣味や習慣は持ち合わせていないので、劇作家としての視点を紹介されても、「そうなのかもな」という感じしかしません。
薬剤師ならではの気づき
でも、例えば仕事であれば私も薬剤師として、薬局に入って来られた患者様の様子を見て、ある程度は患者様の内面を推察することはできるように思います。痛み止めの処方箋を持ってこられた患者様の歩き方や表情を見て、「腰の痛みかな?」とか「下脚の痛みかな?」とかいった推察は、結構な確率で当てれます。
また患者様のご自宅にお伺いして、どこでお薬を渡すべきか、どこまでプライベートな話を振って良いか?といったことも、経験的に、人には説明しにくいレベルでの暗黙知は持っているように思います。
非言語的な情報にアンテナを張る
何気ない日常とか、人様のちょっとした動作とか、そういった面では、私もそれほどアンテナは持ち得ていませんが、もっと患者様のことを知るために、非言語的な、私たちの生きる社会のコミュニケーションについてもっと意識していきたいと思わされました。
もっともっと1人の薬剤師として成長して、患者様の利益に繋がるように努めていきたいと改めて思います。今後ともよろしくお願いします。