マナーうんちく話483≪現代の上座と下座②「和室編」≫
秋の「夜長」に対し、夏の夜は短くて明けやすいので「短夜(みじかよ)」と呼ばれますが、昼が長く、夜が短い時節を迎えています。
そろそろ梅雨も明ける頃で、これから一気に夏の盛りへと向かい、猛暑日、酷暑日も珍しくない日が続くかもしれませんね。
ところで地域の神社により開催日はことなりますが、6月の終わりから7月中旬にかけては、半年間身体に蓄積した穢れを落とし、向こう半年間の無事を祈願する「夏越の祓い」が行われます。
「茅の輪くぐり」を近くの神社で行い、身も心もさっぱりして、これから先の半年間をどのようにして、よりよく生きるかを自分自身に問うてみるのもお勧めです。
夏越の祓いとは自分を見つめなおす儀式でもあるわけで、長い歴史を有する「しきたり」は、実に奥深い意味があるわけです。
ちなみに穢れを落とす祓の行事は、6月のほかに年末にも「年越しの祓い」があります。
さて、この時期には「紫陽花」「菖蒲」「半夏」などが良く知られていますが、夏の季節に鮮やかな橙色の花をつける「姫百合」も格別です。
《夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものぞ》
女流歌人の大伴坂上朗女の姫百合をモチーフにした恋のうたです。
百合は細長くて大きな花をつけるので、それが風に吹かれて、ゆらゆら揺れるので「百合」という名がつけられたとか・・・。
さらに「百合」の漢字は、ユリの球根が何枚も何枚も重なっている「ゆり根」からきています。
また花言葉は「強いから美しい」「誇り」「可憐な愛情」などですが、気高く咲く美しい姫百合にぴったりですね。
《立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花》といいますが、立ち居振る舞いの美しい女性を、褒めたたえた言葉です。
着物姿の女性が、姿勢を正し、凛として歩く姿は、まさに百合の花にふさわしい美しさだと思います。
本題に入ります。
手土産持参で、他家を訪問した時に、手土産を渡すタイミングはいつでしょうか?
玄関先で渡すか、部屋に通されたときか、あるいはお暇する際にさりげなく渡すか?
持参した手土産は部屋に通され、正式な挨拶が済んだ時点で渡します。
これは通された部屋が和室であれ、洋室であれ同じですが、挨拶の仕方は和室と洋室では大きく異なります。
和室は基本的には「座礼」で、洋室は「立礼」です。
和室で座礼をする際には、座布団ははずして正座します。
正式な挨拶の場合は前に扇子を置きますが、結納など特別な場合を除き、これは省略してもいいでしょう。
そして挨拶が済んだら、おもむろに手土産を渡します。
一方、洋室の場合は立ったままで挨拶を済ませ、それから手土産を渡し、ソファに座ります。
「和」と「洋」では様々な文化の違いがあります。
挨拶に関しては、和の文化は「上から目線」とよくいわれますが、目線の位置で上下関係の違いが出ます。
勿論上位の人の目線が高くなります。
洋室の場合は目線より、「どちらが楽か?」で決まります。
つまり立ってする挨拶が楽か、座った方が楽かになります。
このことは、知識として知っておいてくださいね。
上位者が「楽な挨拶」になるということです。
男性が部屋で座っているところに、女性が入ってきたら、男性は起立して女性を迎えるわけですが、文化が違うので日本では、このような光景を見ることはほとんどありません。
和文化と西洋の文化は大きな違いが至る所に存在します。
総じて日本では周囲との調和を大切にして和を乱さないことに重きが置かれますが、欧米では個人の自由や意見を重視する傾向があるようですね。
また日本は謙虚や遠回しの表現が良く用いられ、自己主張は比較的控えめですが、西洋では自分をはっきり主張するようです。
例えば挨拶にしてもそうです。
日本の座礼では正座して、扇子を前において両手を畳にきちんとつけてお辞儀をしますが、扇子を置くのは大変謙虚なしぐさです。
さらに和の礼儀作法には「三辞三譲」がありますが、これは、私は常に謙虚な気持ちを持っていますよという表現です。
「食事」の場合も、和と洋の違いが明確に分かれます。
和食は食べ物の命に感謝する心や敬意が込められていますが、洋食は危機管理的要素があると同時に、社交を重要視します。
いずれにせよ歴史、食文化、気候風土、国民性、宗教等の違いが明確に表れているということでしょう。
TPOに応じメリハリをつけることが大事だと考えます。
最後に年を重ね、経験を積んだら、知らず知らずのうちに「上から目線」になるケースはよくあることです。
人を自分の基準で判断したり、勝ち負けや序列にこだわったり、相手を理解する前に自己を出したりすることのないよう心掛けてください。
また反対に、いつも上から目線で見られ気分を害することも多々あります。
上から目線の人は自分より優れているわけではありません。
それどころか、内心不安を抱えている場合もよくあります。
不必要にイラっとしないで、少し距離を置いてみるのも、お勧めです。
上から目線の人、いやな感じの人に対しては、最初から完璧に対応する必要はないと思えば、気が楽になります。


