マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
いよいよ夏本番。
水分補給に心がけ、元気にお過ごしください。
涼しさを演出する工夫を、自分なりに衣食住で凝らすのもいいでしょう。
ところで7月は英語では「JULY」ですが、これはローマの政治家の名前が由来になっているようです。
英語の月の名前は、神話に登場する神様や、人名が由来になっているケースが多いようですね。
それに対して日本の「和風月名」は、気象や稲作が語源になっているものが多々あります。
7月の和風月名は「文月」で、その由来には諸説ありますが、やはり気象と稲作に関連があります。
例えば、初夏に田植えをした稲の穂が、そろそろ実ってくる頃という意味の「穂含月(ほふみづき)」が文月になったという説があります。
私が住んでいる地域では数週間前に田植えが済んだばかりですので、まだこの時期ではありませんが、旧暦ではひと月先になるので頷ける説だと思います。
一方、7月7日は五節句の一つ「七夕」ですが、日本では七夕の頃に書物(文)を干す行事があって、書物を披く(ひらく)という意味の「文披月(ふみひろげつき)」が文月になったともいわれています。
梅雨の間についた湿気を取り除くために、暑い時期に干すわけです。
ちなみに「月」が、なぜ「月」になったかといえば、ずばり「太陽」の「次」だからという説が有力です。
どこの国でも、最も明るく、最も恩恵を受けている太陽は一番であり、月はその次に明るいので、「月」は「次」になり、「月」になったといわれています。
ところで梅雨時期には百合や菖蒲や紫陽花などがお似合いですが、梅雨が明けて太陽が燦燦と輝くようになったら、「ひまわり」が存在感を増してきますね。
ひまわりはキク科の一年草で、黄色い大きな丸い花が太陽のように見えるから「太陽の花」と呼ばれています。
また、ひまわりは「向日葵」とも表現されていますが、これは太陽(日)の方を向いて咲く「葵」のような花という意味です。
「向日」は太陽の方向を向くという意味ですね。
また「私はあなただけを見つめます」という花言葉がつけられていますが、これも、向日葵が太陽の方向を追うように動く性質があるからで、ギリシャ神話に由来しています。
いずれにせよ、太陽に向かって真っすぐに、鮮やかな黄色で、光り輝く姿は元気の象徴です。
7月になれば海開き、山開き、七夕、花火大会、土曜夜市、夏まつりなどなど、夏を楽しむイベントが目白押しです。
向日葵に元気をもらって楽しくお過ごしください。
ただ、令和を生きる現代人にとっては、これらは楽しいイベントですが、もとをただせば海開きも山開きも、自然やご先祖様に対する畏敬の念と、安全を祈願する神事です。
さらに七夕の行事も「雨ごいの儀式」が起源だという説もあります。
稲作に限らず、猛暑・酷暑が続くこの時期には、農作物にとって雨の恵みが一番欲しい時期です。
本業ではありませんが、私も野菜を作っているので、雨のありがたさが身にしみてわかります。
日照りが続くと、雨を呼ぶ「雨ごいの儀式」が執り行われるようになるわけですが、それにはお供え物が必要です。
「生贄」が必要だということです。
生贄とは神様へのお供え物として、生きた動物を備えることです。
七夕に登場する「彦星」は「牽牛星」の名がついていますが、「牽牛」の「牽」は、神様に捧げるという意味です。
雨ごいの儀式で、農耕にとって、大変重要な労働力になる「牛」をお供えしたのでしょう。
大変残酷な気がしますが、このような例は至る所にあります。
さらに動物ではなく「人間」を生贄として備えた慣習も世界各地でみられます。
いわゆる「人身御供(ひとみごくう)」で、主に15歳から16歳くらいの美しい女性が対象になったようです。
前向きに夏の行事を楽しむことはとてもいいことだと思いますが、しきたりの意味や由来を理解し、先人の思いに触れるのもお勧めです。
今回は夏の花や植物を代表する「向日葵」に触れましたが、一方で、向日葵とは対照的に、夏の夜にひっそりと咲き、朝になると、はかなくしぼんでしまう「月見草」も日本人の心にしみるものがあります。
夏の過ごし方にもいろいろあるということでしょうか。


