マナーうんちく話520≪電車内でお化粧するの、どう思う?≫
●桑の葉×お蚕さん×木の葉採り月
「端午の節句」といえば柏餅ですが、柏の葉は新芽が出ないと古い葉が落ちないので子孫繁栄につながるといわれる縁起がいいお餅です。
また立夏のこの時期には、太陽の光をたっぷり浴びながら、瑞々しい「桑の葉」が茂ってきます。
今では桑の葉が日常会話に出てくることはほとんどありませんが、日本では昔から蚕(かいこ)を飼って、その繭から高級繊維である絹糸を採取したわけです。
だから蚕は養蚕農家にとっては大変重要な稼ぎ頭になったわけですから、「お蚕様」とか「お蚕さん」と呼ばれ、まるで家族の一員のように大事にされてきました。
実は蚕はミツバチのように飼育される大変珍しい昆虫で、数え方も一般的には一匹、二匹で数えますが、養蚕農家などでは馬や牛と同じで一頭、二頭と数えていたところもあったようです。
そしてその蚕の主食が「桑」の葉で、昔は日本のいたるところで栽培されており、この時期には桑の葉を集めて蚕に食べさせたわけです。
陰暦4月の異名に「木の葉採り月」がありますが、このような由来があり、養蚕が盛んだった頃、農村で使用された和風月名の一つとして伝わっています。
●蛙の目借時
また暦の上では「蛙」が鳴き始める頃でもあります。
暖かくなってきたので、冬眠から覚め恋の季節を迎えるわけですね。
畑仕事をしているとよく出会うようになります。
蛙は多くの和歌にも登場し、鳥獣戯画でも大変有名ですが、日本の両生類の中では最もよく目にしますね。
ところで以前にも「マナーうんちく話」で触れた記憶がありますが、蛙の語源をご存じでしょうか?
蛙は元の場所に帰る習性があるので「帰る」が語源で、「福帰る」「お金が帰る」、さらに「別れた女房が帰ってくる」などにつながり、大変縁起がいいとされ様々なアイテムに利用されています。
加えて蛙は前にしか飛ばないので出世にもよく効くといわれています。
ちなみに蛙が鳴く頃、眠くなる時期がありますが「蛙の目借時(めかりどき)」といいます。
今では口にすることも耳にすることもほとんどありませんが、「妻狩る(めかる)」が転じたものです。
春のぽかぽか陽気の頃に、昼間から睡魔に追われるのは蛙が人の目を借りるからという俗説から生まれた言葉です。
眠くなるのを蛙のせいにしたのでしょうか・・・。
●一茶×痩せ蛙
蛙の様子を詠んだ大変有名な句があります。
《痩せ蛙 負けるな一茶 これにあり》
2万句以上詠んだ小林一茶の句の中でも特に有名な句です。
一匹の雌をめぐって、雄のよく肥えた蛙と痩せた蛙が争っているわけですが、痩せた蛙の方を応援して詠んだのでしょう、自分や子どもを重ねた句だといわれています。
小林一茶は常に弱い者、小さい者の視点に立って創作をした俳人だといわれていますが、ここで改めて《弱い立場にある人に対するマナー》のポイントに触れておきます。
●素敵に発揮したい「弱い立場にある人へのマナー」
〇上から目線にならず、自分と同じ人間として接する
〇相手の尊厳を守る
〇相手のプライバシーを尊重するとともに秘密を守る
〇優しく笑顔で接する
〇背伸びをせず自分の能力の範囲で接する
以上一言でいえば礼儀正しくすることにつきます。
弱い立場にある人がかわいそうな人ではなく、同じ人間として真摯に向き合うことが大事です。
また相手のペースに合わせ、「してあげる」のではなく、「共にする」という意識を大切にしてください。
笑顔のある優しい表情は相手の不安を和らげてくれます。
ちなみにテーブルマナーでは、食事のスピードを相手に合わせることが大事ですが、日常から慣れておくことを心がけてくださいね。
また日本の「おもてなし」は、礼法の心得にもあるように、大袈裟にすることより「さりげなく」行動してください。
「もし自分自身が同じ立場ならどうしてほしいか?」考えながら、かつ援助の押し売りにならないよう「さりげなく続ける」、この積み重ねが相手との信頼関係につながるわけです。
「心を込める」ことも大事ですが、これは相手のことをよく理解する必要があるので、極力そのように勤めてください。
大事なポイントです。


