自分の問題として捉える能力
臨床心理士指定大学院受験を9月にお考えの方は、いろいろ準備で忙しい時期になりました。受験までの期間、やらねばならないことがたくさんあります。受験勉強の流れは心理職大全に一通り書きましたのでご参照ください。
今からのチェックポイントーまずは決意ができているか?
ここからは、人生に少なからず影響のある動きをする必要がありますので、チェックポイントを設けておきましょう。まずは受験の決意が固まっているかどうかです。最近、いくつかの学校で入試説明会をさせていただいていますが、学生の質問を受けていると、まだ受験を迷っている人が少なくありません。シューカツと天秤にかけている人もいますが、この時期になると、大学院を受けるなら、それ一本に絞る必要があると、私は考えています。当塾に来られる方で、受験の決意のない人はあまりいませんが、意外に多いのは「自力で勉強する」と言う人の中に、直前になってからの受験回避が目立ちます。大学院進学は極論を言えば、行かなくても生きていくことはできます。だからこそ決意なき状態で受験をしてしまうと、仮に合格できたとしても、「合格できちゃった」状態が続き、入学してからもこの決意なき状態のまま、時間が過ぎてしまいます。そこで「後ろには引かない決意の確認」をする必要があります。昨日、インタビューをさせていただいた学校の先生は、「心理職としての核」を持っていなければならない、と仰られたのですが、とても感銘をうけました。
受験校のイメージチェック
決意ができたら、次は漠然とでもかまいませんので、行きたい学校のイメージを作ることです。たいていの人は大学を名前で決めます。別にそれでもかまわないのですが、本当は、名前以外の要素で方が重要ではあります。どんな論文を書いている先生に習いたいか、どんな専門分野の先生がいるか、どんな施設を持っているか、少人数がいいか、大人数がいいか、実習はどんなことをしているか、などなど名前以外で考えるべきことはたくさんあります。
私個人としては、図書館の充実は大事だと思います。それでも、私の学生時代とは異なって、今はどこの学校もそれなりに図書館はよくはなってきています。細かい点を調べる時には、図書館の本の発注に学生が関われるところは、良い面としては、本の勉強ができます。誰も見たことがない本に学校で一番最初に出会えるというお得感を味わうことができます。このようにそれぞれの見方で、名前以外で行きたい学校のイメージを作れるとより、リアリティをもって大学院進学について考えることができるのです。
臨床心理士や公認心理師のイメージ作り
学校決めまでができたら、次は、臨床心理士や公認心理師へのイメージ作りです。臨床心理士や公認心理師になるために大学院にいくわけですので、そのイメージが明確でなければなりません。私の言い方ではよく「何屋さんですか?」というものがあるのですが、何を売り物にしているかをイメージすることは大事なことです。臨床心理士や公認心理師は職域が広いので、様々なところにいます。よく言えば何でもできるということでもあります。そのため、自分の行きたい職域について決める必要はありませんが、ある程度考えておきたいところです。以前、少し臨床心理士の就職についてふれましたが、一般的には、教育(スクールカウンセラーなど)、福祉施設、医療などに進む人が多いと言えます。他にも公務員になった人、自衛隊に入った人などもいます。最近は産業系に進む人も増えています。私の考えでは、これからもっと職域を増やしていけば良いと思います。経営コンサルタント、スポーツのメンタルトレーナー、カラーコーディネーターなどにも知り合いの臨床心理士はいます。自分でバイタリティを持って、資格をうまく使えば、何でもできるところがこの資格の良いところでもあります。以前、当塾の講師をしていた方は、英文科を出て、そのあと臨床心理士指定大学院を出て、臨床心理士になり、さらにそれから医学部に編入して、医学生をしておられました。できるならば臨床心理士のイメージを明確にしたあと、その資格取得後の設計もしておくのが望ましいでしょう。臨床心理士はこれから可能性が広がる資格です。ただ、大学院に入学後は臨床心理士としての基本的な能力をしっかり積んで、大学院修了後も研鑽をしっかり積むことを忘れないという基本姿勢を身につけておかねば
ならないことは言うまでもありません。
研究計画のチェック
臨床心理士指定大学院の研究計画は、やはり、臨床心理学的研究計画でなければなりません。私がこの仕事を始めたころは、それほど、臨床心理学的でなくともよかった記憶があります。「能と心理学」のような題目でも問題ありませんでしたし、文献研究でもOKの学校もありました。しかし、今は、数字で何かを物語ることを臨床心理学的研究ということが大半で、質問紙調査、半構造化面接など、複数の人間を対象にして、そこから統計やカテゴリー分類など、一定数の数字がなければ研究ではないという空気になっています。海外では、心理学や経済学はもともと理系の学問分野(日本ほど明確に理系、文系を区別するわけではありませんが)でしたので、統計学が心理学の方法論の一つであることにさほど違和感はありませんでしたが、日本では、統計の知識がゼロでも学部を卒業することは可能です。しかし、大学院はそうはいきません。学部で心理学を専攻していない方の場合は、特に研究計画で統計を意識したものを書いておいた方が良いでしょう。そのあたりの数字処理を意識しながら論文を読み、おそらく見たことのない統計用語
(t検定とか、バリマックス回転とか、なんとかかんとか)を見て、心が引くというのも早めに経験しておいた方が良いと思います。できるならば、研究計画を仕上げにかかる7月、8月までに引いた心を元に戻しておく必要がありますので研究計画のイメージは極力早い方が良いと言えます。また、臨床心理学的という条件として、もう一つ大切なことはクライエントを想定するということです。わかりやすく言えば困っている人を想定することです。もちろん心理的に困っている人です。医療分野と少し重なるくらいは問題ありません。
(例えば認知症など)
クライエントがイメージできていれば、研究計画は書きやすくなります。是非早めに準備しましょう。
学科も力を入れる時期です
志望校が決まり、研究計画のイメージができたら、学科に目をむけましょう。臨床心理士指定大学の場合、普通は心理学と英語が課されます。英語は長文読解が大半です。英語からして「何をしたらいいのかわからない」という声が多いと思います。そういう人はたいてい「とりあえず単語」となります。しかし、これは明らかな誤りです。最近は辞書使用可の学校も増えていますので、必ずしも大学側は単語力を試したいわけではありません。では、相手方は何を試したいのか?というと、内容読解力です。内容読解力は単語力だけでは身につきません。また辞書は幅広く間違いのない訳をくれますので、ピンポイントだと意味不明になることがあります。
「訳をもらっても意味がわからない」
このフレーズを発したことがある人は危険です。おそらく単語を辞書で引いても、訳が前後の内容とかみ合わず、迷子になってしまっていることを意味します。例えば心理学でよく出るinfantという単語がありますが、辞書に頼りすぎると、幼児、乳児など似たような訳語が並びます。この単語は幅が広く、赤ちゃんから、乳幼児小さな子ども全般を指します。そのため実際のイメージは読んでみないとわかりません。「読めばわかる」と言えたらベストです。
この「読めばわかる」というのは文法を前提にします。
英語が世界共通語になり得るのは、簡単ということあるでしょうが、文法の安定度の高さも重要な要素です。文法さえ、踏まえていれば、何人が書いても、だいたい同じ英語になるという特徴があり、様々な国の言葉を英語に変換するため、今や「グロービッシュ」という言葉も生まれる
くらいに世界共通言語になっています。そこでまずは文法から着手するのが妥当です。高校レベルの総合文法教材を手にとって目次を見ましょう。そうすると「5文型」「時制」「完了」「動名詞」などなど、聞くだけでも嫌な気持ちになると言う人もいますが、こういった文法用語が並びます。まず一通り、これらの用語の説明ができるか、少なくとも間違っていない範囲で説明ができるくらいの知識は必要です。私たちの大半は5文型さえ怪しいと思います。目的格補語と言われて、心が引く人は単語より、まず文法に耐えられる身体を作ることが優先されるのです。それが嫌だから、とりあえず単語というのは文法を回避している状態です。その状態で単語を覚えようとしても、なかなか頭に入りませんし、入っても使えない、あるいは使い方がわからない、どの単語の意味を選べば良いかわからないという現象が起こります。そうならないようにするには文法に沿って、一つずつ前から処理をしながら、読む練習をするのが適切です。文法的処理ができないまま、わからないものに出会うと、飛ばす、また飛ばす、そしてピリオドまで来る、行き詰まる、そしてバックして日本語になりそうなところに「かけようとする」。そして「かけどころがわからない」となったことのある人は危険です。まず、これを是正しておきましょう。
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