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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

科学と技術革新

2020年1月18日

テーマ:京都コムニタスとはどんな塾か?

コラムカテゴリ:スクール・習い事

ナイキのマラソンシューズが話題になっています。いわゆる厚底シューズです。これによって記録がどんどん短縮されたというように理解されているようです。そしてとうとう、現場知らずの利権大好き人間たちの横やりが入りました。このシューズを規制するという話が出ました。先だっての箱根駅伝の青山学院の監督は、この件についてほとんどコメントしていません。走るのは選手というスタンスのようです。青学の選手は少し前までアディダスの靴をはいていましたので、大人の事情がたくさんたくさん絡んでいることは容易に想像がつきますが、そんな事情は個々が話合えばいいことです。問題は、このところ進む高速化が、このナイキのシューズのおかげであるという言説が、明確に証明されていないのにも関わらず、規制の動きが出ることです。以前、水泳で高速水着が出ました。あれは「布製」ではなく(ポリウレタン)、一人で着用もできないくらい身体を締め付けて少しでも小さくして、徹底的に水の抵抗を少なくしたものです。確かに選手のパフォーマンスの向上に資するというよりは、水着が速く泳がせてくれるという面はあったかもしれません。しかし、この場合、何度も検証がなされた上で、規制がされました。選手側も多くが納得したようです。それは選手の方にもある程度の自覚があったのだと思います。しかし、ナイキのシューズは、事情が全く違います。まず厚底であるので、選手の足の保護に役立ちます。私が選手だったころは軽いシューズと言えばアシックスのもので、私自身も足形をとってもらって、作ってもらったものをはいていました。底は、小石を踏んだらわかるくらい薄いものでした。だから衝撃は直接足にきました。だから練習の時は、そんな薄いものははかず、当時「αゲル」という衝撃吸収パッドのようなものが主流でしたが、やはり重く、試合でそれが入ったものを使う人はあまりいなかったと思います。ミズノの場合だと「ソルボセイン」と言っていたと思います。もちろん、足形をとって、薄底のものをはいていたからといって、誰も規制などと言う人はいませんでした。厚底で軽いものがあるならば、是非とも使うべきだと思います。
また、カーボンが入っていることで、反発が優れているという言説もありますが、それははいてみたらすぐにわかりますが、素人には違いはまずわかりません。カーボンが入っていることの恩恵を受ける人は、アスリートと呼ばれる人くらいだと思います。私自身も少しランクが下のカーボンのものをはいてみたのですが、軽く坂道を下っているような感覚はありますが、もはやハイパフォーマンスにはなり得ません。おしゃれで軽い、ちょっと目新しい厚底のマラソンシューズの域を出ません。実際に話題のシューズはいくらでも市販されています。3万円くらいしますので、素人はよほどのことがない限り買いませんが。
要は今のナイキのシューズは、素人でもはけますし、一人ではけます。ただ、基本的にアスリートしか使いこなせないだろうというものではあります。素人メディアは、反発が強いからスピードが出ると言いますが、反発を得ようと思えば、相当の脚力が必要です。バネのように使うなら、バネを曲げる力がいるわけです。素人の脚力では、それはかないません。またマラソン選手は体重は男子なら50キロ程度です。軽い体重で尚強い出力を出せる人が2時間以上パフォーマンスをしないといけないのです。どこにアンフェアがあるのか、よくわかりませんが、少なくとも規制をするというのはあまりにも選手を無視した行為です。こういった利権大好き人間が絡むと、大切な技術革新が遅れるばかりか、選手の安全さえ脅かされます。F1はむしろ新しい技術を競う面もありますが、新しい技術が出て規制をしていたら、技術革新を否定するものです。しかし、例えばドライバーの安全を無視して、ジェット噴射をつけるといったような、技術の向上ではなく、単に速ければいいという考えに基づいたものならば規制があってしかるべきでしょう。今回箱根駅伝では、確かにこれまでの常識を超えた記録が続出しましたが、それは新時代に入ったということであって、アンフェアがあったわけではありません。また今回は、箱根のテレビ中継が大好きな選手のトラブルもほとんどなく棄権者もありませんでした。これにシューズが関与しているかどうかはわかりませんが、記録の向上だけアンフェア的にシューズのおかげだとする利権絡みの言説はあまりにも危険です。



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