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コラム
これは有効!後継者問題の解決法―ジェネレーションギャップの回避を可能にするには!?―
2022年3月18日
地方で事業主になるよりは
中小企業の最大の悩みの一つに「後継者問題」があります。その多くは、事業を引き継いでいくものがいない、という悩みです。事業を継承していきたくても、それを引き受ける相手がいないのです。
特に地方の場合、大学進学等を期に、都市部へと出て行った経営者の子弟は、そのまま勤め人(給与所得者・サラリーマン)として都会に留まることが多く、田舎に帰ってくるケースはまれです。その方が、事業主としての責任を負うよりも、地位も収入も安定しているからにほかなりません。
かつて、といってももうかなり昔の話ですが、地方の商店主は、多少稼ぎのいい都会のビジネスマンなどよりもはるかに収入が多い時代がありました。全国的に「商売」という産業が、その全盛期を謳歌していた高度経済成長期、という時代があったのです。
しかし、それももうだいぶ前に逆転し、これが覆ることは当面考えられません。ということは、都会で安定した職業に就いたかつての後継者候補たちが、田舎に帰ってくる確率はかなり低いと言えましょう。
後継者がいるにもかかわらず
つまりこれは、経営者にとって、子弟(大抵の場合、息子ということになりますが・・・)はいるものの後継者はいない、という現象を指すことになります。これはこれで大きな課題なのですが、事業承継にはもう一つ見過ごせない重要な問題があります。
それは、後継者候補が身近にいるにもかかわらず、事業の引継ぎがうまくいかない、というケースです。これはある意味、初めから後継者がいないという問題よりも悲劇的です。
というのは、前述のように後継者がもうあとを継がない、と決めたならば、現社長と後継者の双方とも割り切ることができます。しかし、継ごうとしているのにうまくいかないとなれば、逆に双方とも悩みに悩まざるを得ない、という点において大きな問題なのです。
特に後継者の方は、うまくいかない期間を結構長い年月引っ張られることで、その間に中途半端な年齢になった場合、他の道を模索しても、もうやり直しが効かないという悲劇に見舞われます。こういう事態だけは何としてでも避けたいものです。
成功体験という大きな壁
しかしながら、税理士という立場で地方の中小企業に向き合っていますと、しばしばこういった悲劇に遭遇します。悲劇の大きな要因の一つに、双方のコミュニケーション不足ということがあげられます。
この点をさらに掘り下げていきますと、かなり大きな成功体験を通過してきた先代と、まだそういったことを経験していない後継者との相反する対立軸が浮き彫りになってきます。双方には大きな価値観の違いがあるのです。
成功体験が強烈な先代経営者ほど、自分のやり方を押し通そうとします。しかしながら、いかにそれが素晴らしい過去の栄光であったとしても、現代では既に通用しなくなった旧いタイプのビジネスモデルであることが多いのです。
一方、後継者は現代に生きる若者ですので、そのモデルでは通じないことは薄々感じています。しかしまだ、反証するほどの経験や実績もありません。そこで双方の理解が得られないまま、新しい事業の切り口にもトライすることもなく、空しく日々が過ぎ益々業績の回復が遅れるといった事態に至るのです。
興味深かったストーリー
この双方のコミュニケーション不足、理解不足をなんとかして解消する必要性があります。私はその解決の有効な手段として、事業の持つストーリーの共有ということを提案したいと思うのです。
私の祖母は数年前に100歳という長寿を全うして亡くなりました。祖母は最後まで会社の役員というポジションでした。その祖母が基礎を築いた会社は、今も営業を続けていますが、私は生前祖母から会社のストーリーはよく聞かされたものです。
何といっても昔の話ですので登場するのが、意地悪な組合の先輩経営者であったり、頭の固い古い体質の担当役人であったり、馬車を使って一日がかりの移動の話であったりと、前近代的な内容が多かったのですが、その武勇伝は面白く共感できたものです。それは単なる苦労話ではなく、その端々に、130年続いてきた老舗会社の経営の本質や真髄のようなものがちりばめられており、興味深く聞いたことを覚えています。
成功体験は劣化しストーリーは昇華する
成功体験を押し付けるという行為と自社のストーリーを共有するという行為は一見同じようにも見えますが、これは似て非なるものと言えます。何故ならば、成功体験という言わば賞味期限の短いノウハウは時代と共に劣化しますが、ストーリーは時代を超えて昇華され、企業の理念哲学といった重要な要素を形成していくからです。
しかし、驚くほどストーリーを伝えようとする先代経営者は少なく、成功体験に基づくノウハウだけを押し付けようとするのです。それは、会社の持つストーリーという無形の資産が、そういった高い価値を持つと認識されていないからにほかなりません。
ただ、何がストーリーと言えるような無形の資産なのか、何が魅力的で人の心に刺さるのか、といった仕分けは、経営者である当事者だけで見極めるのは難しいかも知れません。そんな切り口で、自社のことをきちんと振り返ったことなどないからです。
私は、そのコンテンツ化と伝えるためのテクニックもご支援しています。後継者問題に悩む、先代経営者と次世代経営者の双方に、是非この内容をお伝えしたいと考えています。
セミナーでも後継者問題随分取り上げました。
PS
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
上記の通り、いささかユニークな税理士です。
この業界人特有の硬さはみじんもありません。
私と話すと面白い、という方がたくさんいらっしゃいます。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
電話でも、メールでも、ズームでも対応いたします。
是非一度お話の機会を・・・・・
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