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コラム
示唆に富んだ社長の話―柔軟性への挑戦―Ⅱ
2018年8月31日 公開 / 2018年9月1日更新
蛇口からワインといった贅沢度の解釈で苦労した三菱重工業。
塗装やタイルについてはさらに根本的な問題になります。
ファッション感覚を欧米のレベルに合わせなければならない、というハードルを突き付けられたのです。
つまり、ファッションセンスを問われたわけです。
ただ、この点に関していえば、日本のファッション性が欧米に比べて決して遅れている訳ではない、と思います。
それはJR九州で人気の高い「ななつ星」の内装などを見ればわかることです。
したがって、これは三菱重工の現場サイドの問題なのではないでしょうか。
作り込む際に、それまであまり必要のなかった、現場における細部にわたる美的なセンスを問われたことになるからです。
この社長の話は、色々な意味で示唆に富んでいます。
まず技術的な問題は、もともと日本の得意分野なのだから、最初からそのハードルについて了解していればよかったのに、と思います。
贅沢度や遊び心の現れである「蛇口からワイン」についても、技術的にはできない問題ではないはずです。
こういうこれまでになかった装置については、最初からもっと綿密に打ち合わせていればよかったのでは?とは思います。(というより、今では豪華客船においては普通の設備なのでしょうか?)
ファッションセンスの問題は難しいところです。
先述したように、おそらく、技術屋集団である三菱重工業内部のスタッフでは対応ができなかったのではないかと推察されます。
感性の優れた外部スタッフの導入が必要だったのではないでしょうか。
私も最初は、自分の事務所の会社案内や商品パンフレットなど自前で作りました。
ただ、私の場合「こんな程度で十分さ。」と思っていたわけではありません。
予算がなかったからそうしただけのことです。
やがて、プロのグラフィックデザイナーに頼んだ時は、まるでレベルの違うものが出来上がってきました。
それは予想通りというか、予想を超えていた、といってもいい出来栄えでした。
こんな風に自らの専門外のことは、外部のプロの力を借りるということも大切なのです。
事務所の会社案内とパンフレット。かなりのボリュームです。
つづく
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