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前田景志

DX推進を技術面からサポートするITのプロ

前田景志(まえだひろし) / ITコンサルタント

有限会社テクノユージェイ

コラム

Excelのパワーユーザーにとって、脱Excelは本当に可能なのか?

2023年4月10日 公開 / 2023年5月28日更新

テーマ:2025年の崖とExcel

コラムカテゴリ:ビジネス

(1)表計算ソフトとExcelの歴史

 日本では、オフコンやパソコンが発売されて以来、各種の表計算ソフトが発売されましたが、特に、1980年代半ばから1990年半ばまでのMSDOSの時代は、Lotus1-2-3が圧倒的なシェアを占めていました。
 しかしながら、1995年にWindows95が発売され、GUIの操作性が格段に上がり、それを機に日本では1997年にExcel97が発売され、Excelが表計算ソフトとして定番ソフトとなってきました。
 特に、Excelには自動マクロ機能が搭載されており、さらにVBAによるプログラミングが可能なため、様々な業務アプリにも十分対応できるようになっていました。
 それから、ほぼ、25年が経ちますが、初期のころよりExcelをフル活用されている『達人級のExcel使い』の方々も、そろそろ定年を迎える時期に来ております。

(2)企業の根幹業務に利用されてきたExcelシステム

 平成30年(2018年)に経済産業省から発表された「2025年の崖」問題を機に、DX推進が急速に進められていますが、レガシーシステムとして、ExcelやAccessで作成されたシステムも取りざたされることもあります。
経済産業省によるレポート「2025年の崖」
サマリー(PDF)

 私自身、この20年余りの期間、数百社以上で運用されているExcelシステムを拝見させていただきましたが、Excelで作られた業務システムは、予実管理、製造現場での生産管理(PSI)、品質管理、量販店やスーパーなどのバイヤー向けシステムなど多岐にわたり、特に、過去数年間のデーターと現在進行形のデーターを基幹システムから取得し、現在と数か月先のシミュレーションを行い、最適解を求めるような事業予測のために利用されているケースが多く、各社各様の独自のノウハウが集積された画面で構成され、今なお根幹の業務システムとして利用されています。
 このような、高度にノウハウが集積されたExcelシステムを他の言語に置き換えるとなると、非常に大きな開発コストと期間、そして、リスクを伴います。

 昨今、CMなどで、クラウドシステムで脱Excelがあたかも簡単であるようなことを目にする機会がありますが、単純な業務報告書の作成や、経費精算、総務・人事関連の申請書管理のような数式や関数が少なく、過去数年間のデーターと比較するようなことのない業務では脱Excelが比較的容易ですが、前述したような高度で複雑なExcelの計算処理、シミュレーション機能が含まれるような業務システムは、それほど簡単には脱Excelはできないと思われます。

(3)Excelの利点と弱点

①利点

 1)現場レベルで、試行錯誤しながら、最適な入力画面・帳票の設計や計算ロジックを組み込むことが短期間で可能
 2)項目数の多い大量のレコードの編集が可能で、オートフィルター機能や、コピー&ペーストなどレコード間での編集機能が利用しやすい
 3)多彩な関数を利用して高度な数式による計算やシミュレーションがリアルタイムで行われ、グラフ化も容易
 4)事業の拡大や要件の変化に応じて、画面の変更やロジックの変更が現場レベルでも容易にできる
 5)比較的簡単なプログラム言語のVBAを利用して、自動化が可能

②弱点

 1)部門ごとの集計、ブックをまたがった集計などでは、年度が経つにつれて、大量のブックが発生し、配布や集計処理、管理が大変になる
 2)ブックのフォームが異なったり、古いバージョンのブックを利用すると、エラーが発生したり、手作業が増える。
 3)100万件を超えるデーターは1シート内では利用できないし、データーが多くなると重たくなったり、ブックが壊れたりする。
 4)ブックの作成者がいなくなると改修作業が困難になる
 5)重要なデーターが大量にブックに蓄積されており、情報の外部流出の危険性が高く、セキュリティー上の問題がある。また、Excel経験者であれば、数式の改ざんなども可能で内部統制の担保が難しくなる。

(4)Excelの弱点を克服するためのツール

 上記のようなExcelの利点をそのまま活かしながら、弱点を克服するためには
 1)基幹システムのように、データーベースを利用したデーター管理を可能にする
 2)常に最新のブックが自動配布されて利用できるようにする
 3)ブック内には必要なデーターだけを必要な時だけ取得できるようにする
 4)プログラミングは属人化しやすいため、誰が作成しても同じようなロジックで組めるようにし、開発者が退職しても、誰でもメンテナンスができるようにする
 5)情報漏洩を起こさないためのしっかりしたセキュリティーが確保できるようにする

 ことが要請されます。
  これを実現するために、開発された製品が、ニューコム社が提供している「dbSheetClient」です。
 2007に製品化されて以来、すでに、バージョンは10まで進化しており、600社以上の企業で利用されています。

  また、dbSheetClientの最新版では、10分程度で、Excelシート上の一覧テーブルを、SQL ServerやOracleといった、汎用のデーターベースに簡単にコンバートして、データーベース用のテーブルを作成し、そのテーブルをもとに、Excel画面だけではなく、ブラウザだけで動作するメンテナンスプログラムが作成できる機能も盛り込まれています。

 より詳しい情報については、ちょうど、4/14にニューコム社からオンラインで視聴できるWebセミナーが予定されており、下記より申し込みが可能になっています。
 Excelを活用したDX推進 事例紹介Webセミナー

 dbSheetClientの情報に関しましては、今後も随時アップしていきたいと思っています。

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