オープン工法とクローズド工法③~解体修理
このコラムは、コラム「最近の家の建て方」の続編です。前回は外部工事の話でしたが、今回は内装に関してです。
15年ぐらい前にリフォームの依頼がありました。築5,6年ぐらい(今なら合計で20年ほど前に新築したことになります)でまだ新しい家でした。依頼内容は2階の個室の間仕切りを移動出来ないかという依頼でした。
移動する壁にはドアが三方枠に取り付けてあり敷居はありませんでした。よく見ると床板が間仕切りを跨いで張ってある。つまり、床を張ってから間仕切りを立ててありました。
私は「どうしますか。床に間仕切りを固定した跡が残りますが…。」と聞きました。
Aさん「どういうことですか?」
私 「床を先に張っていて、この間仕切りが立っています。間仕切りが先なら間仕切りの下に床板はないため間仕切り移動の後に床を張りなおすことになりますが、床が先なので間仕切りだけ移動し、壁と天井の直しをすればいいですが、それですと床には間仕切りを止めているビスや釘の跡が残ります。」
Aさん「目立ちますか?」
私 「間仕切りを取らないとどの程度の傷が残るか分かりません。床から建ててある壁なので」
Aさん「床を張り替えれば良いですか?」
私 「おそらくですが、梁の上に構造用合板を直接張って床剛性を確保する工事をしています。それ自体は良いのですが、床板の合板フローリングを接着剤で合板に固定していると張り替えのために合板フローリングを剥がすと梁の上の構造用合板がめくれたりします。」
Aさん「めくれると問題があるのですか?」
私 「床板の合板のフローリングは仕上げ材なので問題ありませんが、下地の構造用合板は床の剛性を高めるために張っています。めくれるなど傷を付けることはいいことではありません。仕上げ材と構造材、用途が違うのです。」と説明しました。
Aさん「用途が違う?」
私 「そうです。下地合板は構造材、化粧フローリング材は仕上げ材です。下地合板に接着剤がしっかり付いていると床の合板が剥がれる(構造材が傷む)と強度低下につながり、住宅の強度も下がることになります。」
Aさん「傷つかないようにめくれませんか?」
私 「やってみないと分かりません。傷つくと張り替えは大変なことになります。耐力壁でない間仕切り壁は床から建ててあります。そういう壁は取らないと下地合板の張り替えはできません。」
私は続けて
私 「もう一つ心配なことがあります。壁を移動する場所の下に梁などがあるのかということです。」
Aさん「梁が下にないと何が問題なのですか?」
私 「動かす壁も床の上に立ててありますが、その下に梁があれば壁の荷重は梁で受けることになります。梁がないと床が歪んでいくかもしれません。」
Aさん「床が歪む?」
私 「歪むといっても目に見えるほどではありません。わずかに下がったりするかもしれないということです。わずかに下がっても大した問題ではないかもしれませんが、地震などの時に壁が動いて床が大きく歪み被害を大きくするかもしれないのです。」
といったやりとりのあと、Aさんは悩んでいましたが、工事は中止になりました。
次回は、『最近の家の作り方2②~前回の説明に対して私の工務店では…』です。
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