リフォームの時代⑬ 急成長したリフォーム業界のひずみ
以前いただいたリフォーム工事の話です。
私が図面と見積もりを持って行った時に、競合している他の業者Aさんの話を聞きました。
数日前に業者Aさんは見積りを持ってきていました。
施主 「鈴木さんは、大工さんなどは連れてこないのですね?」
私 「どういうことですか?」
施主 「Aさんは、見積り前にたくさんの人を連れて見に来ましたが、あなたは連れてきませんでした。」
私 「電気と水道業者を連れてきましたが?」
施主 「Aさんは大工さんや他の職種の方大勢で見に来ました。」
どうやら業者Aは、関る業者をたくさん連れて見に来たようなのです。
私 「見積りするためでしょう。自分で見積りできないのですよ。」と答えると
施主 「Aさんは建築士なのに…?」と不思議そうな顔をするので
私 「ほとんどのリフォーム店には、建築士などの有資格者はいても職人はいませんし工事経験者もいま
せん。設計士さんはリフォームの図面を描けても見積りはできません。図面を書いてもそれが工事
できるか、いくらかかるかわからないのです。私は4,5年程大工をしていましたから、この家が
どうつくってあるのか考えることができます。わからないのは、電気と水道工事です。ですから、
見積り前に2人だけ連れて来たのです。」
施主 「電気と水道以外は、どうやって見積もるのですか?」
私 「使用する材料の数やクロスの面積などは、全て自分で計算します。どうしてもわからない工事は、
写真と図面で業者や職人と打合せして決めています。大工は常時いますからいつでも相談すること
ができます」
施主 「ほとんど自分で計算するのですか?」
私 「はい。この業界に入って一番初めに教えられたことは、図面を描くことと積算でした。
上司にこの二つができないならこの業界では生きられないと言われました。図面が描けるから、
図面が読める、だから見積りもできます。ずっとしていますし、当たり前の作業です。」
たくさんのリフォーム専門店ができましたが、リフォームの時代⑧のように、多くの業者は工事する職人の知識、経験ないと見積りもできません。中には設計も外部に依頼している業者もあるようです。仕事を取れるか取れないか分らない段階で、たくさんの業者を連れてくる。たくさんの人の時間を使いますから、そこに費用が発生します。その費用も見積りに入っていることを忘れてはいけません。
次回は『リフォームの時代⑩ リフォームは難しい』です。