うちのつくり方8 ~②-1 設計図だけではつくれない~
その① 住まいは特別なモノ
①-4 現場を見に来て下さい~うちのつくり方~
まちの大工さんでは、今も私が子供の頃と同じように工事しています。最近は、共働きのご家庭も多く毎日来られる方は少ないですが、それでも、土曜などのお休みの日に職人が働いているところを見に来られます。うちには二人の大工がいますが、加工している時にすでに一度は会っています。上棟の時にも会い、現場に行けばいつもいますから、お休みの日に来ていただくだけでも、次第に話をするようになります。
よく相談される事ですが、毎日お茶を出していない事を気にされ、工事を見に来る事を遠慮される方います。「気になさらず、一週間に一度でいいですから、缶コーヒーでも持って現場を見に来て下さい。職人が働いているところを見て下さい」と言っています。実際の工事を見れば、今まで図面やパースなどでしか見られなかったモノを現実に見ることができるのです。聞きたい事が出るのは当たり前、その疑問に職人が答えてくれれば興味がわき、また来たくなります。
職人は、自分のつくった『住まい』に、お施主さんが興味を持ってくれる事を喜んでいます。一度も工事を見に来ないと、誰の『住まい』かわからない。そんな『住まい』に一所懸命に働く人などいないのです。
『住まい』は同じモノがないのですから、人が現場で工事しないといけない。もちろん、自分が造っているところを見られて困る職人はいないと思います。生産者が誰か、食品では最近良く公開されています。住まいをつくることと、野菜などの食品をつくること、つくる人がいい出来に喜ぶのはどちらも同じ、購入者にそのつくったものをいい出来だとほめてもらえる喜びも同じ、違いはありません。しかも、住まいは長期間使用する特別なモノなのです。まちの大工さんでは、契約してからの工事に重点を置いているのです。
次回は、『その②-1 設計図だけではつくれない』です。