建築は大工が造ってきたが24-職人の心
1995年1月17日、阪神大震災が起きました。
被害の大きかった神戸市東灘区に引退した一人の棟梁がいました。
天王寺谷(てんのうじや)棟梁は、神戸市を中心に戦前から工務店を経営していた人です。棟梁の関った工事170棟中一棟しか倒壊しませんでした。
倒れた阪神高速道路の際に40棟、震度7の地域に11棟、しかも、築30年は当たり前、東灘区の築43年の家も倒壊しませんでした。
棟梁の家を調べたところ、当時の基準よりも筋交いを入れ、必要とあれば、補強していました。
棟梁にその極意を聞いたところ、「特別なことはしてしません。師匠の言われた通り、柱を基礎に固定し、通し柱をたくさん入れ、筋交いをまんべんなく入れただけです。」と答えたそうです。