【親子問題】覚醒剤・大麻の所持と使用|親が知っておく罪の重さ
「出かけようとすると怒鳴られる」「友人と会った日は、帰宅後に長く責められる」——成人した子から、外出や友人づきあいを細かく制限されているというご相談は少なくありません。最初は「心配だから」という形で始まり、気づいたときには、親のほうが子の顔色をうかがって予定を決めるようになっていた、というお話もよく伺います。
この記事では、子が親の外出や交友を制限してくる場合に、法的にどう評価されうるのか、そして親の側で何ができるのかを、順を追って整理します。
本記事は2026年10月時点の法令に基づいて記載しています。刑罰は、2025年6月に施行された拘禁刑の表記で記載しています。
子が親の外出や交友を制限してくる、とはどのような状態か
ご相談の中で多いのは、次のような状況です。
- 出かけると言うと怒鳴られ、結局やめてしまう。
- 友人との電話を横で聞かれ、すぐに切るよう言われる。
- スマホや財布、家の鍵を取り上げられることがある。
- 帰宅が少し遅れると、何十回も着信が入る。
- 親戚や近所の人と話すこと自体を禁じられている。
背景には、親が離れていくことへの不安や、家の外の人に家庭の事情を知られたくないという気持ちが隠れていることもあります。ただ、理由がどうであれ、親の生活が子の指示で狭められている状態が続くと、親は相談先からも切り離されやすくなります。
「止められるか」という問いは、法的にどう評価されるかという点と、実際にどうやって止めていくかという点に分けて考えると整理しやすくなります。
成人した子に、親の外出を決める権限はない
前提として、親が成人である以上、どこへ出かけ、誰と会うかは親自身が決める事柄です。同居していても、生活費を子が負担していても、子に親の行動を指示する法的な権限はありません。
一方で、「権限がない」ことと「すぐに止めさせられる」ことは別の問題です。口うるさく反対する、不機嫌になる、といった程度であれば、刑事上の問題として扱われることは多くありません。法的な評価が変わってくるのは、制限の手段として暴力や脅しが使われたり、物理的に外へ出られない状態にされたりする場合です。
成人した子との関係で法律がどこまで及ぶのかについては、【親子問題】成人した子の問題に親が介入できる法的な範囲でも解説しています。
どのような態様なら法的な問題になりうるのか
子の行為の態様によって、問題になりうる罪は次のように分かれます。実際に罪が成立するかは、行為の程度や続いた時間など個別の事情で判断されます。
| 子の行為の例 | 問題になりうる罪 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 玄関前に立ちふさがる、部屋に閉じ込めるなどして長時間外に出さない | 監禁罪(刑法220条、3月以上7年以下の拘禁刑) | 外に出ることが著しく困難な状態にされたかどうか |
| 「出かけたら殴る」と告げて外出をやめさせる | 強要罪(刑法223条、3年以下の拘禁刑) | 害を加える旨を告げたり暴行を用いたりして、権利の行使を妨げたかどうか |
| 「友人に会ったらただでは済まない」などと告げる | 脅迫罪(刑法222条、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金) | 生命・身体などに害を加える旨の告知があったかどうか |
| 出かけようとする親の腕をつかむ、突き飛ばす | 暴行罪・傷害罪 | 有形力の行使や、けがの有無 |
| スマホや財布を取り上げる | 窃盗などの財産に関する罪 | 親族間の特例により刑が免除される場合がある |
「監禁」は鍵をかけられた場合に限らない
監禁というと、部屋に鍵をかけて閉じ込める場面を思い浮かべるかもしれません。しかし、出口をふさいで動けなくする、強い脅しによって外へ出ることをあきらめさせるといった形でも、外に出ることが著しく困難な状態と評価されることがあります。もっとも、短時間の口論の延長なのか、長時間にわたって出られなかったのかで、評価は大きく変わります。
家族間の特例が及ぶのは財産に関する罪だけ
刑法には、同居の親族などの間で起きた窃盗などについて刑を免除する特例があります(刑法244条)。ただ、この特例は財産に関する一部の罪に限られ、監禁・強要・脅迫・暴行といった罪には及びません。「家族だから罪にならない」とは言い切れない点には注意が必要です。
この点は【親子問題】親子間の暴行・傷害は立件されるのか|特例が及ばない範囲で、脅しの言葉の扱いは【親子問題】「殺す」と言われた|脅迫罪として扱われる線引きで詳しく取り上げています。
DV防止法の保護命令は親子間では使えない
配偶者や同居の交際相手からの暴力であれば、DV防止法に基づく保護命令という手続があります。しかし、この制度は親子間を対象としていません。親子の場合は、刑事手続、行政の支援、民事上の手段などを組み合わせて考えることになります。
高齢の親の場合は、行政が関わる根拠がある
親が65歳以上で、子がその生活の世話をしている場合には、高齢者虐待防止法の対象になりうる場面があります。自治体が示す解説では、外部との接触を意図的・継続的に遮断する行為や、外から鍵をかけて閉じ込める行為が、虐待の具体例として挙げられています。
相談先は、市区町村の高齢者福祉の窓口や地域包括支援センターです。子が親の世話をしているといえるかどうかで扱いが変わることもあるため、まずは状況をそのまま伝えてみることをおすすめします。仕組みの詳細は【親子問題】高齢の親が被害者の場合|行政が動く仕組みをご覧ください。
制限をやめさせるために、親の側でできること
まず安全を確保する
外出をめぐる場面は、衝突が起きやすい場面でもあります。暴力のおそれがあるときに無理に振り切って出かけようとすると、かえって危険が高まることがあります。身の危険を感じたときは、ためらわず110番通報してください。状況によっては、親のほうが一時的に家を離れることも選択肢の一つです。
安全の確保については【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録、家を離れる場合の考え方は【親子問題】避難先の確保|一時的に親が家を出るという選択で解説しています。
制限の内容を記録に残す
後で警察や弁護士に相談するとき、「いつ、どのように外出を止められたか」が具体的に分かる記録があると、状況が伝わりやすくなります。記録しておきたいのは、次のような事柄です。
- 日時と場所。
- 子が言った言葉や、とった行動。
- やめざるを得なかった外出や予定の内容。
- 着信やメッセージの履歴。
- 取り上げられた物と、返してもらえた時期。
警察に相談した事実そのものも、後の手続で意味を持つことがあります。【親子問題】警察に相談した記録を残す意味|相談票と後の手続もあわせてご覧ください。
外とのつながりを細くしない
制限が続くと、親は少しずつ外の人と話さなくなり、相談のきっかけを失いがちです。信頼できるきょうだいや友人に状況を伝えておく、連絡が途絶えたら様子を見てもらうよう頼んでおく、といった備えは、それだけで孤立を防ぐ助けになります。勤務先への伝え方に迷う場合は、【親子問題】子の家庭内暴力を職場に相談できるか|親が仕事を続けるためにも参考になります。
相談先を使い分ける
相談先にはそれぞれ得意な分野があります。
| 相談先 | 主な役割 |
|---|---|
| 警察(緊急時は110番、相談は#9110や最寄りの警察署) | 暴力や脅しがある場合の対応、相談記録の作成 |
| 市区町村の窓口・地域包括支援センター | 高齢の親の場合の虐待対応、生活面の支援 |
| 精神保健福祉センター | 子の側に精神的な不調がうかがえる場合の相談 |
| 弁護士 | 親の代理人としての交渉、法的手段の検討 |
警察に相談しても「家庭の問題」として扱われたと感じる場合もあります。その理由と次の一手は、【親子問題】「家庭の問題」と言われて警察が動かないのはなぜかで整理しています。
弁護士が関わる場合にできること
弁護士は、親の代理人として子との間に立ち、連絡の窓口を担うことができます。子に対して、外出や交友を制限する行為をやめるよう書面で求めることや、被害届・告訴を検討する場合の事実の整理、事案によっては民事上の手段を検討することも含まれます。
ただ、制限をやめさせることだけを目標にすると、子が孤立し、別の形で問題が表れることもあります。当事務所では、民間の自立支援カウンセラーとチームを組み、弁護士が親の側の保護を、カウンセラーが子の住まい探しや仕事探しなど生活の立て直しを担う形で対応しています。親と子の距離が近すぎることが問題の一因になっている場合には、子が家を出て自立する道を、子と時間をかけて話し合うこともあります。
窓口を代えることの意味は【親子問題】弁護士に頼むと何が変わるのか|窓口を代えるという選択で、サービスの全体像は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
よくあるご質問
「心配だから」と言われると、強く断れません。どう考えればよいですか。
子の心配そのものが本心である場合もあります。ただ、心配であっても、親の外出や交友を決める権限が子に生じるわけではありません。気持ちは受け止めつつ、「行き先は伝えるが、行くかどうかは自分で決める」といった線を、落ち着いているときに伝えておく方法もあります。伝えること自体に危険を感じる場合は、先に第三者へ相談してください。
警察に相談すると、子との関係が壊れてしまいませんか。
警察への相談が、すぐに逮捕や処罰につながるわけではありません。相談の段階で記録を残しておき、その後の対応を考えることもできます。被害届を出すかどうかで迷う場合は、【親子問題】被害届を出すと家族関係はどうなるのか|出す前に考えることもご覧ください。
子に知られずに相談することはできますか。
弁護士には守秘義務があり、ご相談の内容がご本人の了解なく子に伝わることはありません。連絡の方法や時間帯も、子に気づかれにくい形でご相談のうえ決めることができます。詳しくは【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方をご覧ください。
まとめ
- 成人した親の外出や交友は親自身が決める事柄で、子にそれを制限する権限はありません。
- 口頭で反対する程度であれば刑事上の問題になりにくい一方、暴力や脅し、閉じ込めを伴う場合は、監禁罪・強要罪・脅迫罪などが問題になりえます。
- 親族間の特例は財産に関する一部の罪に限られ、監禁や強要には及びません。
- 高齢の親の場合は、高齢者虐待防止法に基づいて行政が関わる余地があります。
- 安全の確保、記録、外とのつながりの維持を並行して進め、相談先を使い分けることが大切です。
外出や交友の制限は、目に見えるけがが残りにくいぶん、親自身が「この程度で相談してよいのか」とためらいやすい問題です。ただ、制限が強まるほど相談の機会は減っていきます。生活が子の指示で狭められていると感じたら、その段階で一度、外の手を借りることを考えてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


