【親子問題】子がSNSで他人を誹謗中傷して訴えられた、親の責任は?
本記事は、2026年11月時点の民法の規定と一般的な実務をもとにした説明です。実際の清算の方法や手続は、ご依頼の際に取り交わした委任契約書の内容によって異なります。
子の暴力やお金の無心、ひきこもりの問題で弁護士に依頼した後、「やはり家族で何とかしたい」「子が少し落ち着いてきた」「費用の負担が続くか不安になった」と、途中でやめることを考える親御さんは少なくありません。依頼する前の段階で「一度頼んだら最後まで続けなければならないのでは」とためらい、相談そのものを先送りにしている方もいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、弁護士への依頼は、ご依頼者の判断で途中でやめることができます。ただし、やめ方によっては費用の清算や子の側への伝わり方で思わぬ行き違いが生じることがあります。この記事では、親子問題の依頼を途中で終えるときの法律上の考え方と、やめる前に確かめておきたい点、全部をやめる以外の選び方を整理します。
依頼はご依頼者の判断でやめることができる
弁護士との契約は、法律上「委任契約」にあたります。民法651条1項は、委任は各当事者がいつでも解除できると定めており、依頼者の側から理由を問わず契約を終えることが認められています。事件の処理に着手した後であっても、この点は変わりません。
一方で、同条2項は、相手方に不利な時期に解除した場合などには、やむを得ない事由がない限り損害を賠償しなければならないとしています。もっとも、弁護士への依頼を依頼者が終える場面で、この規定が問題になることは多くありません。実際に確認が必要になるのは、損害賠償よりも、すでに支払った費用やこれまでの業務に対する報酬をどう清算するかという点です。
やめるかどうかを決めるのは、契約した親です
親子問題では、弁護士と契約するのは親で、対応の相手となるのは子という形が一般的です。そのため、依頼をやめるかどうかを決められるのも、契約者である親です。子から「弁護士をやめさせろ」と求められることがあっても、子が親に代わって契約を終わらせることはできません。
途中でやめたくなるのは、どんなときか
途中でやめることを考えるきっかけは、ご家庭によってさまざまです。よく伺うのは次のような事情です。
- 子が家を出て落ち着いてきたので、もう弁護士はいらないのではと思う。
- 子から「弁護士を外さないなら許さない」と迫られている。
- 費用の負担がこの先も続くか不安になった。
- 進め方の方針に納得できないところがある。
- 夫婦や家族の間で、続けるかどうかの意見が割れている。
- 親自身が疲れてしまい、いったん何もかも止めたい。
同じ「やめたい」でも、事情によって確かめるべきことは変わります。たとえば子に迫られている場合と、状況が改善した場合とでは、やめた後に起こりうることがまったく異なります。まずは、なぜやめたいのかを言葉にしてみることが出発点になります。
やめる前に確かめておきたいこと
委任契約書の「途中で終わった場合」の定め
弁護士は依頼を受ける際に委任契約書を作成し、その中で報酬の種類や金額とあわせて、途中で契約が終わった場合の清算方法を定めておくのが通常です。まずは手元の契約書を確認し、どのように清算される取り決めになっているかを見てください。
着手金は、事件の結果にかかわらず、業務に取りかかることに対して支払う費用として扱われることが多く、途中でやめても返還されないと定められている例もあります。他方、民法648条3項は、委任が途中で終わったときに、すでに行った業務の割合に応じて報酬を請求できると定めています。どの程度の業務が終わっているかによって清算の内容が変わることもあるため、分からない点はそのままにせず、担当弁護士に説明を求めることをおすすめします。法律相談サイトにも、契約時に十分な説明を受けないまま依頼をやめ、支払った費用の扱いに悩む相談が寄せられています。
カウンセラーの支援がどうなるか
当事務所では、弁護士が親の側の窓口となり、自立支援カウンセラーが子の生活面の支援を担う形で対応することがあります。弁護士への依頼をやめた場合に、カウンセラーの支援も同時に終わるのか、別に続けられるのかは、支援の契約の形によって異なります。子が家を出て生活を立て直している途中であれば、支援が急に途切れることで、子の生活が不安定になるおそれもあります。やめる前に、子の支援をどのように引き継ぐか、あるいは終えるかをあわせて確認しておくことが大切です。
子の側にどう伝わるか
弁護士が介入している間は、子からの連絡や要求の窓口が弁護士になっていることが多くあります。依頼をやめれば、その窓口は親に戻ります。子から親への直接の連絡や要求が再び始まる可能性があることを、あらかじめ想定しておく必要があります。
また、子や関係者に「弁護士が代理人でなくなったこと」を誰が、いつ、どのように伝えるかも決めておくと、行き違いを防ぎやすくなります。
子に迫られて決めていないか
子から強く求められて依頼をやめようとしている場合は、少し立ち止まって考えることをおすすめします。弁護士が窓口から外れることを子が求める背景には、親に直接要求を向けたいという意図があることも考えられます。その場合、やめた後に暴力や金銭の要求が再び強まるおそれがあります。不安があるときは、やめるかどうかを決める前に、その事情も含めて担当弁護士に相談してください。
「全部やめる」以外の選び方
依頼を終えるか続けるかの二択だけでなく、事務所との話し合いによって、関わり方を調整できる場合があります。主な選び方を整理すると、次のとおりです。
| 選び方 | 内容 | 考えられる場面 |
|---|---|---|
| 契約を終える | 委任契約を解除し、清算する | 状況が落ち着き、家族で対応できる見通しが立った |
| 関わり方を絞る | 子への直接の働きかけは控え、窓口の役割などに限る | 費用や家族の負担を軽くしたい |
| 方針を見直して続ける | 進め方や目標を話し合って改める | 方針に納得できない点がある |
| しばらく様子を見る | 新たな働きかけを控え、状況の変化を待つ | 子の状態や家族の気持ちが揺れている |
どの形がとれるかは、委任契約の内容や事案の状況によって異なります。やめたい理由が方針への不満であれば、まずその点を担当弁護士に伝えてみることで、解決の糸口が見つかることもあります。
依頼をやめるときの手順
実際に依頼を終えると決めた場合は、おおむね次の順序で進めると、後の行き違いを防ぎやすくなります。
- 担当弁護士に、依頼をやめたい意向と理由を伝える。メールや書面など記録に残る方法をとると安心です。
- 委任契約書に沿って、費用の清算の内容について説明を受ける。
- 子や関係者に、弁護士が代理人でなくなったことを誰がどのように伝えるかを決める。
- 預けていた資料や記録、預り金があれば、その返還を受ける。
- カウンセラーの支援の扱いと、終了後に困ったときの相談先を確認する。
弁護士は、委任が終わる際に、契約に従って金銭を清算し、預かっていた金銭や資料を遅滞なく返還することが求められています。これまでの経過をまとめた記録や、警察への相談の記録などは、後で再び動くときにも役立つため、手元に保管しておくことをおすすめします。
やめた後で、もう一度頼むことはできるか
一度依頼を終えた後でも、状況が変わったときに改めて相談し、依頼することは可能です。子が落ち着いたと思っていたところ、しばらくして再び暴力や金銭の要求が始まるということも、親子問題では珍しくありません。
再び相談する際には、前回の依頼でどこまで進んだか、やめた後に何が起きたかを整理しておくと、対応の見通しを立てやすくなります。時間が経ってからの相談の進め方については、【親子問題】一度相談したが動けなかった|時間が経ってから再開するときもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
子に「弁護士を外せ」と言われています。応じなければいけませんか
応じる義務はありません。依頼を続けるかどうかは、契約者である親が決めることです。子の要求に応じて依頼をやめた結果、親への要求が強まるおそれもあるため、要求を受けていること自体を担当弁護士に伝え、対応を相談してください。
弁護士の側から依頼を終えることはありますか
あります。委任契約は受任者である弁護士の側からも解除できるとされており、依頼者との信頼関係が失われて回復が難しい場合などには、弁護士が辞任することがあります。方針について疑問や不満があるときは、早めに伝えて話し合うことで、すれ違いが大きくなるのを防ぎやすくなります。
夫婦で意見が割れています。どちらの意向が優先されますか
契約者が誰か、夫婦の連名で依頼しているかによって扱いが変わります。一方の親が子をかばい、もう一方が続けたいと考えている場合などは、まず夫婦で何を目標にしているかをすり合わせることが必要です。詳しくは【親子問題】夫婦で方針が割れる|一方の親が子をかばうときで解説しています。
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途中でやめる選択も含めて、ご相談ください
親子問題の依頼は、途中でやめることもできます。だからこそ、「最後まで続けられるか分からない」という理由で相談をためらう必要はありません。やめたいと感じたときも、その理由や子の状況を伺ったうえで、清算の内容や子への伝え方、やめた後の備えまで一緒に整理することができます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


