【刑事事件・ストーカー事件】復縁を望んで何度か家を訪ねた、今後警察から連絡は来る?
この記事は、2023年7月施行の刑法改正(強制性交等罪から不同意性交等罪への改正)と、2025年6月施行の拘禁刑の導入を反映した内容です。示談金の額は個々の事情によって大きく変わるため、ここで触れる金額はあくまで一般的な目安としてお読みください。
不同意性交等罪の疑いをかけられたとき、多くの方がまず気にされるのが「示談金はいくらになるのか」という点です。インターネットで調べると「100万円から300万円程度」といった数字が目に入りますが、実際の金額は事案ごとの事情で上下し、この幅に収まらないことも珍しくありません。
この記事では、一般に語られる目安の意味と、その金額がどのような事情で動くのかを整理します。あわせて、提示された金額をどう受け止めればよいか、示談金以外に何を取り決めるのかについても触れます。
示談金に「決まった相場」はない
示談金は、法律で金額が定められているものではありません。被害を受けた方と加害者とされる側が話し合い、双方が納得した金額で合意するものです。そのため「相場」と呼ばれる数字も、過去の事案の傾向をもとにした目安にとどまります。
法律事務所の解説ページでは、不同意性交等罪の示談金について100万円から300万円程度と説明するものが多く見られます。また、報道で弁護士が100万円から500万円程度といわれていると説明した例もあり、示される幅自体が情報源によって異なります。弁護士ドットコムの相談でも、加害者側が数十万円を示したのに対して被害を受けた方が数百万円を求めているなど、双方の考える金額に大きな開きがある例が見られます。
こうした数字は「この範囲に収まる」という意味ではなく、「このあたりで合意に至ることが多いと考えられている」という程度の意味で受け止めるのが適切です。
示談金に含まれるもの
示談金は、いくつかの要素を合わせた金額として考えられることが一般的です。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 慰謝料 | 精神的な苦痛に対する賠償。示談金の中心となる部分 |
| 治療費・通院費 | 心身の不調で医療機関にかかった場合の費用 |
| 休業損害 | 仕事を休まざるを得なかった場合の収入の減少 |
| その他の実費 | 転居費用、カウンセリング費用など、事案に応じて生じたもの |
これに加えて、刑事事件では「被害届を取り下げてもらう」「処罰を求めない意思を示してもらう」といった刑事処分への影響を見込んで合意されるため、民事裁判で認められる慰謝料の額と、示談で合意される額が一致しないことがあります。
金額を動かす事情
示談金の額は、次のような事情によって上下すると考えられています。どれか一つで決まるのではなく、複数の事情を総合して落ち着くのが通常です。
金額が高くなる方向に働きやすい事情
- 暴行や脅迫を伴うなど、行為の態様が悪質と評価されること。
- 被害を受けた方が未成年であること。
- けがを負わせた、心身の不調が長く続いているなど、被害の程度が大きいこと。
- 職場の上下関係など、立場を利用したと評価される事情があること。
- 被害を受けた方の処罰を求める気持ちが強いこと。
- 起訴が近づくなど、加害者側に時間の余裕がないこと。
金額が抑えられる方向に働くことがある事情
- 行為の有無や同意の有無について、事実関係に争いがあること。
- 被害届が出される前など、早い段階で話し合いが始まったこと。
- 被害を受けた方が、早く手続を終えたいと考えていること。
- 加害者側の支払能力に限りがあり、そのことを誠実に説明していること。
ここで注意したいのは、「金額が抑えられる方向」の事情があるからといって、低い金額を押し付けてよいわけではないという点です。示談は被害を受けた方が同意しなければ成立しません。相手の気持ちを置き去りにした交渉は、かえって合意を遠ざけることがあります。
場面によって金額の見え方は変わる
同じ不同意性交等罪の疑いでも、どのような場面で起きたかによって、示談の進み方や金額の水準は変わります。
知人や交際相手、飲み会の後など、もともと面識のある相手との間では、関係の経緯や当日のやり取りが同意の有無の評価に関わるため、事実関係の整理に時間がかかることがあります。被害を受けた方が未成年の場合は、本人だけでなく親権者との合意が必要になり、金額も高くなる傾向があります。詳しくは未成年の被害者と示談する|親権者の同意と書面の当事者で解説しています。
風俗店の利用をめぐって不同意性交等罪を主張される場面では、店側から当初示される金額と、交渉を経て合意される金額に大きな差が出ることがあります。当事務所の解決事例でも、【解決事例】デリヘル利用中の行為を巡り「不同意性交等罪」を主張され500万円請求→80万円で解決した事例のように、請求額から見直された金額で合意に至ったものがあります。風俗の場面に特有の事情は風俗トラブルの示談金相場は?本番・盗撮・お触り別に弁護士が解説で整理しています。
提示された金額をどう受け止めるか
相手方から金額を示されたとき、それが目安より高いか低いかだけで判断するのは避けたいところです。まず確かめたいのは、その金額が何を根拠にしているのかという点です。
慰謝料だけなのか、治療費や休業損害も含んでいるのか、今後の接触禁止や口外しない約束も含めた金額なのかによって、同じ数字でも意味が変わります。内訳を確認しないまま「高すぎる」「安すぎる」と反応すると、話し合いそのものがこじれるおそれがあります。提示額の確かめ方は示談金の水準をどう判断するか|提示額を検証する4つの視点で、目安を大きく超える金額を示された場合の進め方は【刑事事件】被害者から高額な示談金を示された|折り合わないときの進め方で詳しく扱っています。
反対に、相手方が早期の解決を望んでいるとして低めの金額で合意できそうな場合でも、書面の内容が不十分だと後から追加の請求を受けることがあります。金額と書面の中身は、切り離さずに確認することが大切です。
示談金とあわせて取り決めること
示談の効果は、金額だけでは決まりません。刑事事件の示談では、次のような事項を書面に入れるかどうかが、その後の処分や生活に影響します。
- 被害届の取下げや告訴の取消し。
- 加害者を許し、処罰を求めない旨の意思表示(宥恕)。
- 示談書に書いた内容以外に請求をしないことを確認する清算条項。
- 今後、互いに連絡や接近をしない旨の約束。
- 事件の内容を第三者に口外しない旨の約束。
特に宥恕の有無は、検察官が処分を決める際の判断材料として重く見られることがあります。宥恕の意味については宥恕文言の意味|「許す」と書かれると刑事処分はどう変わるかをご覧ください。
一方で、不同意性交等罪は法定刑が5年以上の有期拘禁刑と重く、示談が成立しても起訴される可能性は残ります。示談の成立がそのまま不起訴を意味するわけではない点は、示談が成立しても処分が残る場合|示談=不起訴ではない理由と起訴された場合の見通し|5年以上の法定刑と減軽・執行猶予の関係で解説しています。
示談金を一括で用意できないとき
示談金が手元の資金を上回る場合でも、すぐに示談をあきらめる必要はありません。分割払いの提案、支払能力を説明したうえでの金額の見直し、ご家族の協力を得た支払いなどが検討されます。
分割払いにする場合は、支払いが滞ったときの取り決めを書面に入れておくことが、被害を受けた方の安心にもつながります。どうしても合意に至らない場合には、受け取ってもらえない賠償金を法務局に預ける供託や、弁護士会などへの贖罪寄付といった方法で、反省の気持ちを形にすることもあります。これらの選択肢は示談金を一括で用意できないとき|分割・減額・被害弁償という選択肢で扱っています。
身に覚えがない・同意があったと考えている場合
事実関係を争っている場合、示談に応じることは罪を認めることになるのではないかと迷われる方も少なくありません。ただ、行為があったこと自体は争わず、同意の有無だけを争うような場合には、相手に不快な思いをさせたことへの謝罪として示談を検討する余地もあります。
示談をするかどうか、するとしてどのような文言で合意するかは、刑事手続の見通しと切り離せません。否認と示談の関係は無実でも示談すべき?否認と示談のジレンマで詳しく説明しています。
本人が直接連絡しないほうがよい理由
性犯罪の疑いをかけられた場合、被害を受けたとされる方に本人が直接連絡を取ることは避けたほうがよいと考えられます。相手に恐怖心を与えるだけでなく、証拠隠しや口止めを疑われ、逮捕や勾留の判断に影響するおそれもあるためです。
また、警察や検察は、被害を受けた方の連絡先を加害者側の本人に教えることはまずありません。弁護士であれば、被害を受けた方の了解を得たうえで連絡先を教えてもらい、本人には伝えない形で交渉を進めることができます。詳しくは性犯罪の示談交渉を弁護人に任せる意味|本人が連絡してはいけない理由と被害者と連絡が取れない|性犯罪で示談ができない場合の弁護活動をご覧ください。交渉を始める時期による違いは示談を始めるタイミング|被害届前・受理後・起訴前で何が違うかで整理しています。
まとめ
- 不同意性交等罪の示談金に決まった相場はなく、一般には100万円から300万円程度と説明されることが多いものの、事案によってはこの幅を上下します。
- 示談金の額は、行為の態様、被害の程度、被害を受けた方の年齢や処罰感情、事実関係の争いの有無などを総合して落ち着きます。
- 提示された金額は、高いか低いかだけでなく、何を含んだ金額なのかを確かめてから判断することが大切です。
- 宥恕や清算条項など、金額以外に何を取り決めるかが、その後の処分や生活に影響します。
- 被害を受けたとされる方への連絡は本人がせず、弁護士を通じて進めることが望ましいと考えられます。
示談金の目安は、ご自身の状況を考えるうえでの出発点にはなりますが、それだけで適切な金額が決まるわけではありません。どのような事情があり、何を取り決めたいのかを整理するところから、話し合いの方針は見えてきます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


