【風俗トラブル】店ではなく女性本人から直接LINEで請求が来たら、どうする?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

この記事は、2026年10月15日時点の民法、刑法、弁護士法の規定に基づいて書いています。刑法の法定刑は、2025年6月1日施行の拘禁刑への一本化を反映した表記です。個別の事情によって見通しは変わりますので、具体的な対応はご相談のうえで判断してください。


「利用の翌日、店からは何も言われていないのに、相手の女性から個人のLINEで『昨日のことで話がある。〇万円払ってほしい』と届いた」「店の名前は出てこず、金額と振込先だけが送られてきた。返信したほうがいいのか、無視したほうがいいのか分からない」。風俗トラブルのご相談では、店ではなく女性本人から直接LINEで請求が来たという事情を伺うことがあります。

 ポータルサイトの法律相談を見ても、店を通さずに女性本人とやり取りをして支払った後、同じLINEから追加の費用を求められた、支払いを終えたはずなのにまた予約や連絡を求められた、という相談が繰り返し寄せられています。最初のメッセージにどう向き合ったかによって、その後の進み方が変わりやすいのがこの場面の特徴です。

 この記事では、風俗店やメンズエステなどを利用した客の方を想定し、女性本人から直接LINEで請求が届いたときに、届いた直後から何をどの順で進めればよいかを整理します。女性本人が請求することの法的な位置づけや、請求が届く経路の見分け方は、次の記事で詳しく解説しています。

【風俗トラブル】キャスト本人から個人のLINEで連絡が来た|店を通さない請求の扱い

まず結論|届いた直後にすること・しないこと


  • 届いたメッセージは、相手のアカウントの画面や日時が分かる形で、すぐに保存してください。
  • 金額に応じる返事、謝罪、事実を認める言葉は、その場で送らないでください。
  • 返信が必要なときは、内容を確認して後で連絡するという短い文面にとどめてください。
  • 本名や勤務先など、まだ相手に伝わっていない情報を新たに渡さないでください。
  • 支払いを考える場合も、相手が本人か、何についての金額か、店の分が含まれているかを先に確かめてください。
  • 支払うときは、LINE上の「これで終わり」ではなく、書面で清算の範囲を決めてください。


届いてから最初にする3つのこと


画面を保存する

 まず、届いたメッセージを保存します。トークの画面だけでなく、相手の表示名、アイコン、プロフィールの画面、メッセージの日時、示された振込先が分かるようにしておいてください。LINEには送信を取り消す機能があるため、届いた時点で保存しておかないと、後から内容を示せなくなることがあります。自分が送ったメッセージも、都合が悪く見えるものを含めて削除せずに残してください。削除しても相手の手元には残っており、消したこと自体が後で不自然に受け取られるおそれがあります。

LINE・メール・録音データの保存と渡し方|消してはいけない理由

その場で返信しない、返すなら短く

 示談は、当事者が互いに譲り合って争いをやめる和解契約であり(民法695条)、契約は書面がなくても、申込みと承諾が合えば成立し得ます(民法522条2項)。そのため、金額を示されて「分かりました、払います」と返すと、その時点で合意したと主張されることがあります。謝罪のつもりで送った言葉が、指摘された出来事を認めたものとして扱われることもあります。

 返事をしないと相手が店や警察に話を持ち込むのではと不安な場合は、「ご連絡を確認しました。内容を確認したうえで、改めてご連絡します」といった短い文面にとどめるのが一つの方法です。この文面には、金額、事実関係、謝罪のいずれも含めないことがポイントです。

相手に渡っている情報を書き出す

 次に、相手が自分について何を知っているのかを書き出します。電話番号、LINEのアカウント、本名、勤務先、住所、車のナンバー、会話の中で話した内容などです。相手に伝えていないのにLINEが届いた場合は、予約の際に店へ伝えた電話番号から友だち追加された可能性があります。どの情報が渡っているかによって、その後に気をつけることが変わるため、これ以上の情報を渡さないことを意識してください。

【風俗トラブル】予約時に伝えた本名・電話番号はどう使われるのか

メッセージの言葉ごとの受け止め方

 女性本人からのLINEには、金額とともに、いくつかの決まった言葉が添えられていることがよくあります。言葉ごとに、考えられる背景と対応の目安を整理します。

届いた言葉考えられる背景対応の目安
店には言わないから直接払って店が出来事を把握していない女性に払っても店の請求は残り得るため、店との関係を整理してから考える
警察に行く・被害届を出す支払いを急がせる意図の場合も、実際に相談を考えている場合もある自分だけで判断して慌てて払わず、刑事面の見通しを含めて相談する
妊娠したかもしれない・検査代を払って費用の根拠となる事実の確認がまだの場合がある診断の有無や費用の内訳を確かめ、払う場合は名目と金額を書面に残す
今日中に・明日までに期限を区切って考える時間をなくす期限を理由に内容の確認を省かない
会って話したい・現金で渡して店の外で会うことになるその場で別の要求や書面への署名を求められることがあるため、会う前に方法を見直す
家族や会社に言う支払いを促す圧力言われた内容をそのまま記録し、自分だけで金額の交渉を進めない


 「警察に行く」と言われた場合、お金を払えば警察に行かないと約束されても、被害を訴える側が警察に相談することを法的に止める仕組みはありません。不同意性交等罪などは告訴がなくても起訴され得る罪であり、示談の内容は、処分を決める際の事情の一つとして考慮されるにとどまります。払ったことで刑事面が終わるとは限らないため、何を約束してもらうのかを合意の中で明確にする必要があります。

 また、家族や勤務先に知らせることなどを示して、根拠のない金銭を求めたり、根拠があってもそれを大きく超える金額を求めたりする場合には、恐喝罪(刑法249条1項、10年以下の拘禁刑)が問題になり得ます。ただし、客の側にも指摘された出来事がある場合には、どこまでが正当な請求かの線引きは簡単ではありません。

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支払いを考えるときに確かめる順序

 利用中の出来事によって女性が精神的な苦痛を受けたと主張する場合、その賠償を求める権利は女性本人にあります(民法709条、710条)。そのため、店を通さない請求だからといって、それだけで不当とは言えません。ただ、請求する権利が本人にあることと、示された金額を払う義務があることは別の問題です。支払いを考える場合は、次の順で確かめてください。

  1. LINEの相手が本当に利用時の女性本人か。
  2. 示された金額が、何についての、どのような内訳の金額か。
  3. 金額の中に、店の罰金や違約金といった店の分が含まれていないか。
  4. 刑事面について、相手が何を約束するのか。
  5. 清算の範囲と今後の連絡の扱いを、書面で決められるか。


 LINEのアカウントは表示名やアイコンを自由に変えられるため、女性本人を名乗る別の人物が送っている可能性も否定できません。振込先の名義が本人と結びつかない場合や、利用時の具体的な出来事に触れてこない場合は、相手が誰かを確かめられるまで金額の話を進めないほうが安全です。また、店の損害について女性が請求や受領をできるのは、店から代理権を与えられている場合に限られます(民法99条1項)。女性に払っても、店への支払いとして扱われるとは限りません。

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店に知らせるか、ブロックするか


自分から店に連絡するかどうか

 女性が「店には言っていない」と伝えてきている場合、こちらから店に連絡すると、店が知らなかった出来事を店に伝えることになり、店から別に請求を受けるきっかけになることがあります。女性が店に無断で客と連絡を取っていたことが店に知られ、女性の態度が変わる場合もあります。一方で、店がすでに事情を把握しているのであれば、店も加えて解決したほうが後に問題が残りにくくなります。どちらがよいかは、店が把握している可能性や、店に伝わっている自分の情報によって変わるため、ご自身で店に連絡する前に一度立ち止まってください。

ブロックや通知の停止

 ブロックすること自体が違法になるわけではありません。ただ、ブロックすると、その後に相手が何を伝えてきたのかを把握できなくなり、相手が店や警察に話を持ち込むなど、別の動きに移るきっかけになることもあります。連絡を目にするのがつらい場合は、ブロックではなく通知を切るなどして距離を取り、記録は残しておくほうが、後の対応を考えやすくなります。

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すでに返信した・支払ってしまった場合


「払います」と返してしまった

 LINEで支払いに応じる返事をしてしまっても、その後にできることがなくなるわけではありません。どのような出来事について、いくらを、どこまでの清算として約束したのかは、やり取りの全体から判断されます。追加でメッセージを重ねる前に、送ったものを含めて保存し、合意の中身を確定させる方法を考えてください。

払った後に、また請求や連絡が来た

 書面を作らずにLINE上のやり取りだけで支払った場合、何についての支払いだったのか、それ以上の請求をしないことになっていたのかがはっきりしません。そのため、検査代や休業の補償など、別の名目で追加の金額を求められたり、関係を続けるよう求められたりすることがあります。支払いの記録とLINEのやり取りを保存したうえで、支払った後からでも、清算条項を入れた合意書を作ることを検討してください。

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弁護士に任せるとどう進むか

 弁護士がご依頼を受けると、相手に対し、今後の連絡は弁護士にするよう求める通知を送ります。相手の住所が分からなくても、請求が届いたLINEのアカウントなどを通じて、代理人に就いたことを伝える方法をとることがあります。それ以降、ご本人がLINEに返信したり、金額の話に応じたりする必要はなくなります。

 相手の本名や住所が分からない場合でも、電話番号や振込先の口座などの手がかりから、弁護士会照会(弁護士法23条の2)によって相手方を確かめられることがあります。相手が女性本人であることを確かめたうえで、請求の根拠と金額を検討し、清算条項や接触禁止の条項を入れた合意書を目指します。女性が本名を客に知られたくないと考える場合でも、本人の情報を代理人の間にとどめたまま本人確認を行う方法があります。

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よくあるご質問


女性本人に払えば、店からの請求はなくなりますか

 店が合意に加わっていたり、女性が店から代理権を与えられていたりしない限り、女性との合意だけで店の請求がなくなるとは限りません。店がすでに出来事を把握している場合は、店も当事者に加えた合意を検討することになります。

女性に謝罪のメッセージだけ送ってもよいですか

 お詫びの気持ちがあっても、LINEで送った謝罪は、指摘された出来事を認めたものとして扱われることがあります。後で事実関係に争いが生じたときに、その文面の一部だけが取り上げられるおそれもあるため、謝罪の伝え方は、合意の内容とあわせて考えることをおすすめします。

数日たっても次の連絡が来ません。終わったと考えてよいですか

 連絡が途絶えた理由は、相手が請求をやめた場合もあれば、店や警察に相談している場合もあり、外からは分かりません。やり取りの記録を残したまま、相手に伝わっている情報や、指摘された出来事への心当たりの有無を踏まえて、見通しを整理しておくと安心です。

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まとめ


  • 届いたメッセージは、相手のアカウントや日時が分かる形ですぐに保存し、自分の送信分も削除しないでください。
  • 示談は書面がなくても成立し得るため、金額に応じる返事や事実を認める言葉は、その場で送らないことが基本です(民法522条2項、695条)。
  • 女性本人が請求すること自体は成り立ち得ますが、示された金額を払う義務があるかは別に確かめる必要があります(民法709条、710条)。
  • 女性に払っても、店の分の請求は残り得ます(民法99条1項)。
  • 家族や勤務先に知らせることなどを示した過大な要求には、恐喝罪が問題になり得ます(刑法249条1項)。
  • 支払う場合は、相手が本人かを確かめ、清算条項などを入れた書面で終えることが大切です。


女性本人から直接LINEで請求が届くと、店を通さずに済むなら早く終わらせたいという気持ちから、その場で返事や支払いをしてしまいがちです。けれども、最初の返事と支払いの方法は、その後に問題が残るかどうかを左右します。返信や送金の前に、一度状況を整理する時間をとってください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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