【解決事例】デリヘルで本番行為を主張され示談金100万円を請求されたが、弁護士の交渉で30万円に減額できた事例
この記事は、2026年9月30日時点の弁護士法・刑法・民法にもとづいて作成しています。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な対応は弁護士にご相談ください。
相談の場で「店から『弁護士を入れたら話は終わりだ』と言われ、相談してよいのか迷った」という声を聞くことがあります。店の側からも、当事者どうしで早く片付けたいという考えが語られることがあります。
トラブルになったら弁護士に相談を、という説明は、それ自体誤りではありません。ただ、この言葉を向けられた方にとって知りたいのは、その言葉にどれほどの意味があるのか、弁護士が入ると話し合いは本当に終わってしまうのか、という点ではないでしょうか。そこまで踏み込んだ説明は多くありません。
この記事では、「弁護士を入れたら話は終わりだ」という言葉が何を意味しうるのかを分けて整理し、その場での受け止め方と、弁護士に相談・依頼する場合の進め方を扱います。店が示談の窓口に立つこと自体の是非は店がキャストに代わって示談交渉をしてよいのか|非弁行為という視点、弁護士に頼めることの範囲は風俗トラブルで弁護士ができること・できないこと|期待値を先に揃えるで詳しく扱っています。
この言葉は何を「終わり」にするのか
言葉そのものに法的な効力はない
トラブルの当事者が弁護士に相談し、交渉を任せることを禁じる法律はありません。店から「弁護士を入れるな」と言われても、それによって相談できなくなるわけではなく、相談したことで何かの義務に違反することにもなりません。この言葉は法律上の効果ではなく、店がどう動くつもりかを伝える言葉として受け止めるのが出発点です。
そのうえで、「話は終わり」という言い方には、いくつかの含みが重なっていることが多くあります。何が終わると言っているのかを分けてみると、店が実際に左右できることと、左右できないことが見えてきます。
含みは大きく4つに分かれる
よく見られる含みを、法的な位置づけと、弁護士が入った場合に変わることに分けて整理すると、次のとおりです。
| 言葉の含み | 法的な位置づけ | 弁護士が入ると変わること |
|---|---|---|
| 話し合いに応じない | 示談は双方の合意で成り立つもので、応じるかどうかは相手方が決める。客の側にも応じる義務はない | 窓口が弁護士に移り、条件や根拠を書面で確かめながら進められる |
| 警察に行く・被害届を出す | 申告するかどうかは、被害を受けたと考える人の判断。弁護士の有無によって、その権利が生まれたり消えたりはしない | 捜査の見通しを踏まえて、示談の内容や時期を組み立てられる |
| 家族や職場に知らせる | 金銭の要求と結びつくと、恐喝などの問題になりうる | 連絡を控えるよう書面で求め、やり取りを記録として残せる |
| 金額を上げる・条件を厳しくする | 金額は合意で決まるもので、弁護士に依頼したことを理由とする上乗せに法的な根拠はない | 請求の内訳と根拠を確認し、金額を協議できる |
以下では、この4つの含みごとに、どう受け止めればよいかを見ていきます。
店がこの言葉を口にする事情
店がこの言葉を使う理由は店ごとに異なり、すべての店に同じ意図があるわけではありません。そのうえで、一般に考えられる事情を挙げておきます。
当事者どうしのうちに決めたい
トラブルの直後は、客の側も動揺しており、金額や支払日をその場で受け入れやすい状況にあります。弁護士が入ると、その場で決めるという流れが止まり、条件が一つずつ確認されることになります。「今日中に決めないなら」と期限を区切られている場合の考え方は、【風俗トラブル】支払期限を切られた|『今日中に』に応じないための伝え方で扱っています。
店が窓口に立つ形そのものが問われる
キャストに代わって店が示談の交渉をし、示談金を受け取る形は、弁護士でない者が報酬を得る目的で他人の法律事務を扱うことを禁じた弁護士法72条との関係が問題になることがあります。2026年2月には、宮崎市の無店舗型の風俗店に関わる男性4人が、客との示談交渉や示談金の受け取りをしたとして、弁護士法違反の疑いで逮捕されたと報じられました。
客の側に弁護士がつくと、話し合いの相手がキャスト本人の意思を受けて動いているのかを確かめる場面が出てきます。店の側から見ると、この確認を避けたいという事情が働くことも考えられます。
請求の根拠を問われたくない
「罰金」「規約違反の違約金」といった名目の請求は、弁護士が内訳と根拠を尋ねると、説明が求められることになります。店の損害とキャスト個人の損害は別のもので、誰がいくらを請求できるのかは分けて考える必要があります。詳しくは誰に払うのか|店の損害とキャスト個人の損害は別と【風俗トラブル】店から『うちの規約では』と言われた|規約の効力を確かめる順序をご覧ください。
「警察に行く」と重ねて言われたとき
弁護士を入れても入れなくても、申告の道は変わらない
被害届を出すかどうかは、被害を受けたと考える人が決めることです。不同意性交等罪などの性犯罪は、2017年の刑法改正以降、告訴がなくても起訴できる罪とされており、捜査を進めるかどうかは最終的に警察や検察が判断します。
つまり、客が弁護士に相談したことで警察への申告が可能になるわけではなく、弁護士に相談しなかったことで申告の道が閉ざされるわけでもありません。「弁護士を入れなければ警察には行かない」という言葉は、店が約束できる範囲を超えていることが少なくありません。被害届がどのような場合に出されるのかは、被害届が出る場合と出ない場合|キャスト・店の判断で何が変わるかで整理しています。
店との約束はキャスト本人の約束ではない
店の担当者が「警察には行かせない」と言ったとしても、キャスト本人がその内容に合意していなければ、本人の判断を縛るものにはなりません。店にお金を払ったのに本人とは何も決まっていなかった、という事態を避けるには、誰と何を合意したのかを書面で確かめることが欠かせません。示談書に入れておくべき内容は風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないをご参照ください。
なお、事実関係に争いがなく、相手方に被害を与えてしまった場合には、被害に向き合い、適切な内容で示談を目指すことが基本になります。弁護士に相談することは、話し合いを避けるためではなく、話し合いを確かな形で終えるための手段と考えていただくのがよいと思います。
「家族や職場に知らせる」と結びついているとき
権利の告知と脅しの境目
損害の賠償を求めることや、警察に相談すると伝えること自体は、正当な権利の行使として認められる場合があります。一方で、家族や職場に知らせると告げて金銭を払わせようとする言動は、内容や程度によっては恐喝(刑法249条)にあたる可能性があります。また、脅したうえで「弁護士には相談しない」と約束させるような言動は、義務のないことを行わせるものとして強要(刑法223条)が問題になる余地もあります。
どこからが問題になるのかは言い方や状況によって変わるため、一律には決められません。境目の考え方は店の請求が恐喝に変わる線引き|正当な権利行使との境界と「金を払わなければ通報する」と脅されたら|風俗トラブルにおける恐喝罪への対処法で扱っています。
言われた言葉をそのまま残す
後で状況を説明するうえで役に立つのは、要約ではなく、実際に言われた言葉です。いつ、誰が、どの手段(対面・電話・メッセージ)で、どう言ったのかを、できるだけその日のうちに書き留めておきます。メッセージは画面を保存し、削除しないでおきます。店内でのやり取りを録音することの扱いは、【風俗トラブル】店内での録音は証拠になるのか|秘密録音と盗聴の境界(風俗の場面)で整理しています。
その場でどう受け止めるか
この言葉を向けられたその場では、次の点を意識しておくと、後の選択肢を狭めずに済みます。
- 言葉の真意を問いただしたり、強く言い返したりしない。
- 「弁護士には頼まない」と約束しない。
- 金額や支払日をその場で確定させない。
- 「弁護士に相談しない」といった文言が入った書面に署名しない。
- 言われた内容・日時・相手の名前(源氏名や役職)を書き留める。
「一度持ち帰って考えます」で足りる
その場で相談するかしないかを表明する必要はありません。「内容を確認して、改めて連絡します」と伝えて持ち帰ることで足ります。返答を保留するときの伝え方は、【不当要求対応】その場で答えず持ち帰る|返答を保留する技術が参考になります。
相談したことを店に告げる必要はない
弁護士には法律で秘密を守る義務が課されており(弁護士法23条)、相談した内容が店に伝わることはありません。店が弁護士の関与を知るのは、弁護士が代理人として連絡をしたときです。相談したうえで依頼するかどうかを決めることもできますので、まず話を聞いてから考えるという進め方で問題ありません。詳しくは相談と依頼はどう違うのか|相談したら必ず依頼しなければならないのかをご覧ください。
すでに「弁護士は入れない」と約束してしまった場合
約束の効力には疑問が生じやすい
その場の流れで「弁護士には頼みません」と言ってしまった方や、そうした一文の入った書面に署名してしまった方もいると思います。紛争の当事者が専門家の助けを得ることを制限する約束は、公序良俗(民法90条)との関係で効力が争われる余地が大きいと考えられます。また、脅されて約束させられた場合には、強迫による意思表示として取り消せる可能性もあります(民法96条1項)。
いずれにしても、そうした約束があるからといって、弁護士に相談できなくなるわけではありません。約束した経緯や書面の文言を弁護士に見せたうえで、どう扱うかを検討することになります。
角を立てずに弁護士が入る方法もある
弁護士が入るといっても、対決の姿勢を示すことが目的ではありません。弁護士から、条件を確かめて話し合いをきちんと終えるために代理人となった、と伝えることで、話し合いを続けやすくすることもできます。すでに自分で連絡や約束をしてしまった後の影響については、【風俗トラブル】弁護士に頼む前に自分で連絡してしまった|その後の交渉への影響で詳しく扱っています。
弁護士が入った後、話し合いはどう続くのか
窓口が弁護士に移る
弁護士に依頼すると、弁護士から相手方へ代理人となったことを伝える書面(受任通知)を送り、以後の連絡を弁護士に向けてもらうよう求めるのが一般的です。ただし、店が本人に直接連絡することを法律で禁じる効果まではないため、連絡が来た場合は応じずに弁護士へ伝えていただくことになります。受任通知の役割は受任通知とは何か|送られると相手方との関係はどう変わるかで整理しています。
相手が誰で、何に合意するのかを確かめる
弁護士は、請求しているのが店なのかキャスト本人なのか、本人の意思がどう確認されているのか、金額の根拠は何か、合意の後に追加の請求をしない旨を書面に入れられるか、といった点を一つずつ確かめていきます。こうした確認は、話し合いを打ち切るためではなく、合意した後に蒸し返されない形を整えるためのものです。
話し合いの進み方は事案によって異なる
弁護士が入った後の展開は一様ではありません。話し合いが続いて合意に至ることもあれば、店からの請求が止まり、そのまま終わることもあります。一方で、相手方が話し合いに応じないこともあり、その場合は捜査の動きなども見ながら、次の対応を検討することになります。
当事務所の解決事例では、【解決事例】メンズエステ利用後に示談金500万円を要求された男性が、弁護士の同行で支払い0円に解決した事例や、【解決事例】メンズエステで「被害届か示談か」と迫られ約27万円の支払いを約束|受任通知で請求が止まり支払わずに終結のように、弁護士が入った後に話し合いの形が変わったケースもあります。結果は事案ごとの事情によって異なりますので、ご自身の場合にどうなりうるかは、相談の場でお尋ねください。
相談の前に整理しておくこと
相談の際には、次のような情報があると、状況を早く正確に把握できます。手元にないものがあっても、相談はできます。
- 店の名前、キャストの源氏名、やり取りに使った連絡手段。
- 「弁護士を入れたら話は終わりだ」と言われた日時と、そのときの言葉。
- 求められている金額・名目・支払期限。
- 店やキャストに渡したもの(身分証の写し、連絡先、署名した書面など)。
- すでに支払った金額と、その方法。
相談の準備について詳しくは、風俗トラブルの無料相談で聞かれること|相談前に準備すべき情報をご覧ください。
よくあるご質問
弁護士に相談したことは、店に知られてしまいますか。
相談しただけで店に伝わることはありません。弁護士には秘密を守る義務があり、店が弁護士の関与を知るのは、依頼を受けた弁護士が代理人として連絡をしたときです。相談の結果、弁護士を入れずに進めると決めることもできます。
店にも弁護士がいると言われました。こちらも弁護士を入れるべきでしょうか。
相手方に弁護士がついている場合、法的な知識の差が大きいまま話し合いを進めることになりやすいため、一度は相談されることをおすすめします。店側の弁護士が何をしているのか、客側としてまず確かめることは風俗トラブルで店の「顧問弁護士」が出てきた|客側がまず確認すべきことで扱っています。
弁護士を入れたことで、警察に行かれてしまうことはありますか。
弁護士が入ったことをきっかけに、相手方が警察へ相談することがないとは言えません。ただ、警察に相談するかどうかはもともと相手方が決めることで、弁護士を入れなければ相談されないという関係にはありません。刑事手続の見通しも含めて弁護士と検討しておくことで、仮に警察から連絡があった場合にも落ち着いて対応しやすくなります。
まとめ
- 「弁護士を入れたら話は終わりだ」という言葉に法的な効力はなく、弁護士に相談すること自体は妨げられない。
- 言葉の含みは、話し合いに応じない・警察に行く・家族や職場に知らせる・条件を厳しくする、の4つに分けて考えると整理しやすい。
- 被害届を出すかどうかは被害を受けたと考える人が決めることで、弁護士の有無によって申告の道が開いたり閉じたりはしない。
- 家族や職場に知らせると告げて金銭を払わせようとする言動は、内容によっては恐喝(刑法249条)や強要(刑法223条)が問題になりうる。
- その場では約束・金額の確定・署名を避け、言われた言葉を記録して持ち帰る。
- 弁護士への相談は秘密が守られ(弁護士法23条)、「弁護士を入れない」という約束をしてしまった後でも相談できる。
- 弁護士が入るのは話し合いを打ち切るためではなく、誰と何に合意するのかを確かめ、蒸し返されない形で終えるためである。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。ご相談いただいたからといって、依頼しなければならないわけではありません。お話を伺ったうえで、弁護士が入ることで何が変わりうるのか、入らない場合と比べてどうかをご説明します。
店から「弁護士を入れたら話は終わりだ」と言われて迷っている方も、すでに約束や支払いをしてしまった方も、ご連絡は電話・メール・LINEのうち使いやすい方法でお寄せください。


