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浦山英樹

住まいの騒音問題に寄り添う環境計量士

浦山英樹(うらやまひでき) / 環境計量士

浦山環境計量士事務所

コラム

事件に遭遇したお話(環境計量士の体験談)

2024年6月28日

コラムカテゴリ:くらし

前回は「本当にあった怖い話」として、測定中に遭遇した不思議な体験談をお話しましたが、今回は測定中に遭遇した本当の事件のお話です。
と言いましても、私が事件を起こしたり、被害に遭ったわけではありません。

私はただの目撃者だったのですが、トラウマになる程衝撃的な出来事でした。
こういった事件自体は誰にでも起こりうることなので、体験談というより、注意喚起としてお話しできたらと思います。

もう15年以上前のお話になります。
場所は神奈川県の某所。
ベットタウンと呼ばれるような静かな住宅街でした。

私は駅に近接した新築マンションの遮音性能検査を行っていました。
遮音性能検査とは、事前に想定した室内環境を満たしているか検査をする作業です。
主な測定対象は就寝時間帯の室内騒音なのですが、エレベーターや自動ドアなど、建物内の設備騒音に対する検査も行う場合があります。
就寝時間帯に測定するため、測定時間は 22時以降になります。 状況にもよりますが、測定が終わるのは 0時を過ぎるのが当たり前で、その日は1時を回っていました。

測定機材を片付けて車に乗り込むと、ちょうど目の前を 20代前半の女性が通り過ぎていきました。

終電だったのでしょうか。
それにしても、こんな時間に女性が一人くのは危ない感じがしました。
というのも、そこは人通りがほとんどない場所だったからです。

測定を行っていたマンションも再開発に伴う建物だったと思います。 引き渡しが終わって人が住み始めれば人通りも増えるでしょうが、今はまだ真っ暗な道があるのみです。
そんな人気のない深夜の道を、女性が一人で歩いている様子は、とても不安に感じてしまいます。

帰り支度をしながら、何となく気になって様子を見ていると、違う方向から一人の男が歩いてきました。 その男は女性と同じ方向に向かっていたので、何となく気になって様子を見ていると、ちょうど歩道橋に差し掛かったところで2人の影が重なりました。 偶然重なったというより、その少し前から男が小走りになっていたので、意図して追いついた感じがありました。

そこで2人は会話している様子でしたが、そのうち一緒に並んで歩き始めました。

その様子を見て、私はてっきり迎えが来たのだと思いました。
そりゃ家族としては、深夜にこんな道を一人で歩かせませんよね。

安堵して帰り支度を進めながら、ふと顔を上げると、先ほどの女性は一人になっていました。
男はというと、女性の少し先を歩いていて、だんだん離れて行くように見えます。

あれ?
お迎えでは無かった?
だとしたら、さっきはナンパでもされていたのでしょうか?
何かざわっとしたものを感じました。

その瞬間、先を歩いていた男がくるっと向きを変え、女性の方へ駆け寄りました。
そして女性の影と重なる瞬間、大きく腕を振るいあげ女性を殴りました。

一瞬、何があったのか理解できませんでした。

男は速度を落とさず走り続け、歩道橋を駆け下りていきます。
そしてこちらに向かってくる。

私は無意識に車のエンジンをかけ、クラクションを鳴らしながら男性に向かって急発進しました。
そこでライトに照らされた男を見てぞっとしました。
男はニヤニヤと笑ってたのです。

急いで逃げているというより、ちょっとした駆け足程度の走り方です。
手に持ったビニール傘をぐるぐる回していました。
車が近づくと、男は方向を変え住宅街の細い路地に入っていきました。

私は歩道橋手前に車を止め、女性の元へ駆け寄ります。
駆け寄る私を見て、女性は悲鳴を上げて怖がっていました。

「大丈夫ですよ、すぐに警察を呼びますね」
確か、こんなことを言ったと思います。

携帯電話で 110番に連絡するのですが、手が震えてなかなか番号を打てません。

警察が来るまでの時間がとても長く感じました。
女性はというと、最初は心配になるくらい震えていましたが、話しかけている内に、だんだん落ち着いてきた様子でした。
何を話していたのか覚えていません。
ただ、女性の腕には大きなあざがあった事を覚えています。
それが殴られた時にできたものなら、かなり強く殴られたのだという事が想像できるほど大きなあざでした。

警察が到着し、女性は救急車で運ばれていきました。
私はパトカーに乗って警察署へ同行します。

警察署での事はあまり覚えていないのですが、状況や犯人の特徴などを聞かれたような気がします。 全ての聴取を終えて警察署を出た時、外はすっかり明るくなっていました。

事件があった翌日、女性の彼氏という方から連絡がありました。
「ありがとうございました」とお礼を言ってくださいましたが、私は何もできませんでした。
犯人を追いかける事も、証拠の写真を撮る事さえできませんでした。
思い出すと今でも不甲斐ない気持ちでいっぱいになります。

今でも車のライトに照らされた男の顔が忘れられません。
正確に言うと、男の顔というよりも、あの、ニヤニヤと笑った顔が忘れられないのです。

私のようないい歳したおじさんでもそうなのですから、被害に遭った女性の恐怖は想像を絶するものだったでしょう。
あれから随分立ちますが、女性が幸せに過ごしていれば良いなと思います。

あとがき

今回のお話は測定には全く関係のないお話なので、このコラムをお借りして書く事ではないのかもしれません。
問題あるなと感じたら、すぐに削除しようと思っています。

ただ、先にも言いましたが、こういったことは誰にでも起こりうる事だと思います。 これからの季節は飲み会やイベントなどで夜遅く帰宅する事も多くなるかもしれません。 特にご家族の方は心配し過ぎと言われるほどに注意してあげた方が良いかもしれません。

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