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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話2162《「寒中」に味わいたい!春に思いを馳せる日本の美しい言葉》

2023年1月21日

テーマ:歳時記のマナー

コラムカテゴリ:くらし

1月20日は「大寒」でしたが、「二十日正月」でもありました。

1月15日の「小正月(女正月)とともに、今では耳にしたり口にすることはなくなりましたが、1月20日は正月の祝い納めの日で、正月に里帰りされた歳神様も元の場所にも戻られます。

さらに1月31日は「晦日正月(みそかしょうがつ)」といって、松の内に挨拶に行けなかった家に、最後の挨拶に出向き、これをもって正月を完全に締めくくります。

日本人がいかに正月行事を大切にしてきたかということで、それだけ子孫繁栄や五穀豊穣を祈願する気持ちが強かったということでしょう。


ところで二十四節気の一つ「大寒」らしい厳しい寒さになりましたが、日差しは確実に長くなっています。

一日に約畳の目一つくらい長くなるといわれますが、昔の人の観察力には脱帽です。
昔ながらの暮らしに根付いた旧暦に触れると、さらに奥深さが解ります。


この時期の言葉に「三寒四温」があります。
文字通りに訳すと寒い日が3日続くと、次の4日間は温かくなるという意味です。

もとは日本の言葉ではなく、中国や朝鮮半島の一部で使用されていたようですので、日本ではこのように規則正しく現れることはほとんどないと思います。
私も多くの冬を経験しましたが、記憶にありません。

ただこの言葉はとても調子よく、しかも「寒い冬が終わって温かい春が来る」という期待や予兆が感じられる、大変前向きな言葉だと思います。

似たような言葉に冬至の頃の「一陽来復」があります。

寒い日の後には花咲く春が来る、転じて悪いことが続いた後には良いことが起きるという意味ですが、「春が来ない冬はない」という言葉もあります。

さらに暖かい春になって一時的に寒くなる意味の「寒の戻り」とか、桜の咲く時期に寒くなる「花冷え」という言葉もあります。

逆に「一雨ごとに寒さが増す」とか「向寒の頃」という言葉も存在します。

いずれも葉書や手紙の時候の挨拶に使用されるなど、すっかり定着しましたが、多彩な季節感を、繊細な感性で使いこなしてきた先人は素晴らしいですね。

大寒には、天気予報でも盛んに寒さが最も厳しい頃といわれていますが、寒暖を繰り返しながら、季節は確実に春へ、春へとなびいていきます。

梅の花や水仙の高貴な香りが漂い始めると、ほのかに春の気配を感じられてきます。
大きく深呼吸して、花咲く春に思いを馳せるのもいいですね。
我が家の庭の福寿草も間もなくです。


また「春となり」も美しい言葉です。

間もなく立春。
ちなみに「春立てば」とは「立春になれば」の意味です。

これからは春の訪れを感じる言葉が多く登場しますが、身近な言葉で、春を待つ心が伝わってくる「春近し」「春まじか」「春遠からじ」もなじみの深い言葉ですね。


1月6日は「小寒」でしたが、厳寒の時期には「寒の入り」という言葉があります。

小寒から4日目が「寒四郎」、9日目は第九ならぬ「寒九」などといわれ、農事に関係がある言葉も日本らしい言葉だと思います。

そして小寒から大寒の終わり、つまり節分までが「寒中」と呼ばれます。
「寒中見舞い」を出し、「寒仕込み」「寒げいこ」をする風習は今でもあります。

さらに「小寒」から4月20日の「穀雨」までは、「花を咲かせる風が吹く」といわれていましたが、「マナーうんちく話」で過去に触れた「花信風(かしんふう)」です。

例えば大寒には沈丁花や蘭の花を咲かす風が吹き、立春には黄梅や菜の花や杏子の花を咲かせる風が吹きます。
啓蟄になると桃や山吹の花を咲かす風が吹くといわれます。

春を待ちわびるとともに、花咲く春を思いきり楽しみたいという思いが伝わってくるロマンチックな言葉です。


最後に今とんでもない「冬将軍」に見舞われようとしていますが、冬将軍は気象庁の気象用語ではないようです。

今から約200年前に、モスクワに攻め込んだフランスの皇帝ナポレオンの軍隊が、極寒に打ち勝つことができなくて退却したとか。

その史実を新聞が「ナポレオン厳しい寒さに敗れる」などと報じたため、それを参考にしたのでしょうか、日本では擬人化して、シベリアから日本にやってくる寒気団に称号を与え「冬将軍」と名付けたようです。

日本には以前から「神風」という言葉がありましたが、冬将軍というネーミングも素晴らしい感性だと思います。

一年で最も寒い時節。
そして二十四節気の締めくくりの時期を、春の足音に耳を澄ませながら、心豊かにお過ごしください。

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