マナーうんちく話92≪優雅さが自慢!和の作法≫
和食は「箸に始まり箸に終わる」といわれるくらい、箸には複雑多様な作法や文化が存在します。
ここで参考にしたいのが「神人共食文化」です。
日本には神様とともに食事をする文化があります。
正月にお節料理を頂くときや、春に花見をするときにも神様とともにします。
神様と一緒に食事をすることにより、神様と親しくなり、願い事をより叶えて頂くようになるということです。
ところで日本の箸は下側の箸が尖っていますが、人間はこの下の部分を使用します。そして箸の上部は神様が使用します。
だから箸を逆さにもって使用するのはよくないということです。
一般的には箸先も掌で汚れているのでダメということですね。
つまり衛生的ではないという科学的な理由も存在するということです。
ちなみに「逆さ箸」にしないためには、「取り箸」を用意すればいいと思います。
大皿の料理を、各自、自分が使用している箸で捕るのを「直箸」と言いますが、私は「逆さ箸」をするくらいなら「直箸」にする方が良いと考えます。
なぜならこちらの方がより友好的になるからです。
ただし、衛生面からするとお勧めできません。
特にコロナ禍では・・・。
長い間ニュースを聞いていますが、宴会などで、じか箸をして食中毒になったような話は聞いたことがありませんが、このような時期にはやめておいた方がいいと思います。
2回にわたり和食における「無作法」について触れましたが、「無作法」とは一般的に、礼儀作法から外れていること、さらにそれにより相手に不愉快な思いをさせることです。
「作法」には合理的な理由が存在し、その動作がなぜ「作法」として認知されるかといえば、「相手に対する思いやり」「しぐさの美しさ」「無駄のない動作」などを有しているからだと思います。
ただ、何事にも程度があります。
表題に「しないほうがいい」と表現しましたが、「絶対やってはいけない」レベルと「やらないほうがいい」レベルがあります。
今回取り上げた2つの事例はどのタイプだと思いますか?
受け取り方は様々だと思います。
和食の箸使いの作法に「嫌い箸」とか「禁じ箸」、あるいは「忌み箸」があります。
逆さ箸も直箸もこれに該当しますが、道徳的な意味合いも含まれるし、技術的、科学的な根拠に基づくものもあるようです。
ところで食事をいただく前に、両手に箸を挟んで持って「頂きます」と感謝の言葉を述べる姿をよく見かけます。
一見とても丁寧のようですが、先のとがった箸先を相手に向けることは感心しません。
「拝み箸」といって「忌み箸(禁じ箸、嫌い箸)」の一種です。
両手は膝の上において「頂きます」の挨拶をすればいいでしょう。