マナーうんちく話2242《和の心を蘇らせ出会いを生かしたい卯月・4月。「鏡開き」で開運祈願》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

●日本人にとって新年度は桜がお似合い

百花繚乱という言葉がお似合いの季節になりましたが、うららかな陽光に誘われ、小鳥がさえずり、色とりどりの花が咲き乱れる春は、積極的に外に出て、春の陽気に触れてみたいものです。

日本では、ほとんどのところが4月が「新年度」になるので、入社式や入学式がいたる所でとり行われます。

一時、新年度を欧米に倣って9月にする提案がなされた時がありましたが、私は反対です。

四季が明確に分かれている国日本では、新年度は桜の季節がお似合いだからです。

希望に燃えた初々しい新入生や新入社員には、純潔の意味を有す臼ピンク色の桜の花びらが舞う風景がマッチするということです。

「マナーうんちく話」で何度も触れましたが、稲作を中心にした農耕文化で栄え、米を主食にしている日本では、桜と米は切っても切れない関係にあります。

桜の「さ」は米の神様を意味し、昔の花見は農民が五穀豊穣を祈願した神事であり、日本で花といえば「桜」であり国歌にもなっている所以です。

だから先人の思いを味わいながら花見を楽しめば、日本の心が蘇ってくるというわけで、日本では米作りが始まる季節が年度初めになるのが自然です。

ところで日本ではすでに、縄文や弥生時代には稲作が行われていたといわれていますが、「瑞穂の国」と呼ばれた日本では、生産性を高めるために、水を張った田んぼで田植えをして米を作ります。

旧暦では5月は皐月、6月は水無月と呼びますが、その語源はいずれも田植えに関係があります。


●日本のしきたりは「米作り」から生まれた

そして田んぼに水を張るには水路を確保して、常にきれいな水が流れるように管理しなければなりません。

ということは、米作りは一人では無理ということです。

皆で協力し合い、助け合い、支え合っていかなければなりません。

このような環境だから日本特有の「しきたり」が生まれ、「和の心」が目覚め、それが今でも大切にされ、生活の基盤になっています。

何かあるごとに、神様に子孫繁栄や豊作を祈願する「神事」が行われ、感謝の気持ちを具体的に表現するために「お祭り」が執り行われてきたわけです。

また神事には今でも米や、米から作った酒をお供えし、神事が終わればそれを下げ、神事に参加した者同士で戴き、神様のご加護を頂戴します。


●欧米の新年度は小麦づくりと深い関係がある

ちなみに、主としてパンやパスタなど小麦を主食にしている欧米では、春から夏にかけては小麦の収穫期になり、大人も子供も大忙しの季節です。

そして9月には落ち着くので、9月が新年度というのはもっともな話です。

つまり日本と欧米諸国では、気候や主食を始め文化やしきたりが大きく異なるので、年度初めが異なるのはごく自然の成り行きで、それを無理に欧米に合わす必要はさらさらないと思います。


●袖触れ合うも他生の縁。


日本の4月はあちらこちらで素敵な出会いが多く生まれますが、「袖振り合うも他生の縁」といわれます。

先ずは、様々な出会いに気づいて、その出会いに感謝して、出会いを生かすよう努力していただければと思います。


●絆を深めるヒントが凝縮されている「3本締め」と「鏡開き」

百歳時代を豊かに生きることを目的に、私が主催している《生涯現役百歳大楽校③》では、3月講座でこの一年間の感謝を込めて「3本締め」をしました。

あえて3本締めにした理由は、最初の1本目は主催者のスタッフ一同への感謝、2本目は参加者の皆様への感謝、そして3本目は神様に対してという、感謝の対象が3つ存在するからです。

また4月中旬にスタートする《生涯現役百歳大楽校④》の4月講座では、講座に関わる全員の開運招福を祈願して、酒樽の樽を開く「鏡開き」を行う予定です。

酒樽の丸い蓋が、神様が宿る鏡に例え、運を開く行事です。

日本では稲作とともに、米で作った日本酒が誕生し、以来様々な神事に日本酒が供えられ、神事が終わると参加者全員で神の霊力が宿った酒を頂きますが、昨年の12月に日本酒がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

その御祝いも兼ねたわけですが、鏡開きはもともと、日本人の生活や文化と深く根差した日本酒にまつわる素晴らしい行事です。

今回は特に、新たな出発や区切りに際しての開運招福を祈願するとともに、参加者と主催者、参加者同士の絆が生まれるための様々な工夫も凝らしています。ただし乾杯はウーロン茶です。参加者の9割が車だからです。


●本質の追求
日本で茶道を完成させた千利休の「利休7則」の中に、「花は野にあるように」があります。

例え一輪だけの花でも、その花が咲いている姿を見て、野に咲く様子を想起させることが大切と説いています。

早い話「本質とは何か」を追求しなさいということでしょうか。

春は出会いの季節ですが、人と人が出会うということは、多かれ、少なかれ、辛いことも悲しいこともあるということです。

また人生百歳時代の今、心から信頼できる仲間や伴侶を作るにはどうすればいいか?

人生が大きく好転するような絆はどうすれば結ばれ、深めることができるか。
年度初めには。何かと考えることが多いですね。

一年で最も美しく過ごしやすい季節ですが、「花冷え」「寒の戻り」という言葉もあります。

元気で前向きに歩んでください。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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