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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話2049《日本人らしい「土用」と「鰻のかば焼き」と「割り箸」物語》

2021年7月16日

テーマ:歳時記のマナー

コラムカテゴリ:くらし

石麻呂に吾れものもうす 夏痩せに よしというものぞ 鰻とり食せ(大伴家持)

7月28日(令和3年)の「土用丑の日」を控え、鰻の宣伝が目立つようになりましたね。

鰻は日本人にとってとてもなじみが深く、万葉集にも夏にウナギを食べて体力をつけることを推奨した歌が詠まれています。

栄養剤もサプリもない時代に、猛暑を乗り切るために滋養強壮のあるものを食べ、快適に過ごした先人の知恵はたいしたものです。

ただし、いくら貴族階級で庶民とは一線を画した優雅な食生活をしていたとはいえ、当時は調理法も調味料も限られていたので、焼いたり煮たりした鰻を、酢や塩を付けて食していたと思いますが、味の方はどうだったのでしょうか?

いくら栄養効果が高いものでも、美味しくなければ食欲がわきません。

しかし江戸時代になって濃い口醤油や味醂が登場すると、香ばしいタレが生まれ、大変美味な「鰻のかば焼き」が開発されます。

そして、これとご飯を一緒に食べるという、何とも粋な食べ方が誕生します。
また専用の「割り箸」が、かば焼きを提供している食堂から開発され現在に至っています。

ただかば焼きの調理法がいつ頃に登場したかは明確ではありません。
恐らく最初は「麦茶売り」「甘酒売り」などと同じように、天秤棒を担いで売り歩く行商人や、露天的なスタイルが多かったのでは思います。

そして1800年頃には鰻専門の高級な店が登場するようになったといわれていますが、当時の鰻は今のように養殖ではなく天然ものですから、旬は晩秋から初冬になります。

従って暑い夏には客足が途絶えるわけですね。
困った主が頭を抱えているところに、当時の万能学者平賀源内が訪れました。

主は源内先生に「何かいい知恵はありませんか?」と尋ねたところ、源内先生が「本日土用丑の日」と書いた張り紙を店頭にすればいいでしょうと教えてくれました。

「土用」とは《マナーうんちく話》でも何度も触れましたが、立春・立夏・立秋・立冬の前のそれぞれ18日間のことです。
つまり一年に72日あるわけですが、季節の変わり目の時です。

日本は四季の国ですが、冬から春、春から夏、夏から秋、秋から冬に突然変わるわけではありません。

季節の変わり目にはクッション的な期間があるわけで、土用はその期間という認識でいいと思います。

それぞれの土用には、四季の国日本ならではの様々なしきたりがあるわけですが、特に夏の土用は猛暑で身体がいろいろなリスクを背負う頃なので、精のつくものを食べる習慣がありました。

また「う」のつく食べ物も好まれていたようです。

例えば「うどん」「うり」「うめぼし」から「兎の肉」「馬肉」「牛肉」などもあったようですが、とにかく「鰻」は人気が高かったようです。

だから夏の土用の十二支の「丑の日」にかけて、「土用丑の日」としたのでしょうか。
平賀源内という人は有能なコピーライターでもあったのでしょう。
定かではありませんが、これが日本で最初のキャッチコピーともいわれています

このコピーが大当たりして、源内先生に相談した鰻屋には多くの客が押し掛けるようになるわけですが、こうなると同じ鰻の専門店の中にはそれを妬み、悪評を流す人も出てきます。

「あの店は繁盛しているが、前の客が使用した箸を汚れたまま使っている」などの風評が漂うようになり、主人は色々と対策を練ります。

そこで使い切りの箸、つまり当時は「引き裂き箸」といわれましたが、今の「割り箸」を開発するわけですね。

こうして鰻のかば焼きに「割り箸」がそえられるようになったとか・・・。

恐らくこの話を立証できる文献はないと思いますが、確かに鰻の油が付いた木の箸は汚れが落ちにくいので理にかなった話だと思います。

清潔好きの日本人らしい発想だと思います。

ちなみに常に相手のことを気にした日本人は「割り箸」の作法まで作ったようです。

割り箸は胸の高さで、左右に割るのではなく、両手で上下に割ります。
左右に引き裂くと、左右の人との境界を犯すことになるからです。

扇子も左右に仰ぐのではなく、下から上に向けて仰いでくださいね。

殆どの地域で梅雨が明けました。

加えて7月19日は「土用入り」で、7月22日は一年で最も暑い頃といわれる二十四節気の「大暑」です。

ビールに鰻のかば焼きもいいですが、バランスの取れた栄養、質と量の睡眠、適度な運動に、コロナの基本対策で元気に活躍下さいね。

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