マナーうんちく話459≪手土産の渡し方①「玄関先」≫
一年先のオリンピックを控え多くの外国人が日本を訪れています。
来日の目的はそれぞれでしょうが、せっかくの機会ですから日本のすばらしさをしっかり感じて頂きたいものです。
加えてお客様をお迎えする側は大いにおもてなし心を発揮して、日本の魅力を発信していきたいところです。
もともと日本は「四季が美しい国」「経済力の高い国」「技術に優れた国」「平和な国」、そして「礼節の国」であり「おもてなしの文化を有する国」です。
しかし残念ながら、グローバル化の大きな影響を受けたせいでしょうか?
豊かで便利な国になったけど、今の日本はお世辞にも礼節の国とは言えない気がします。
しかも政治、経済、スポーツ、教育、芸能等の世界における不祥事はとどまることなく、心が折れることが多々あります。
度重なる「お詫び会見」もうんざりします。
上に立つ人、指導的立場にある人から「品格」という言葉がすっかり失せた気がしてなりません。
オリンピック開催を前に、いまこそ日本人としての品格を再認識していただきたいものです。
ちなみに「品格」は有職故実のように厳格な価値基準はなく、非常に観念的な国際的価値観ですが、一般的には見識や教養の深さ、度量の大きさ、潔さを意味します。
また品格は仰々しく他人に見せつけるものではありませんし、強要するものでもありません。
さりげなく発揮するものです。
この点を文化の異なる外国人に理解していただくのは難しい面も多々あると思いますが、相手の文化、風習、食べ物、気候風土、歴史、そして宗教などを理解したうえで臨機応変に接してください。
ところで品格を身に付けるにはどうすればいいのか?
私は日本が世界に誇る「礼儀作法」に精通することをお勧めします。
国際化とは不必要に西洋かぶれするのではなく、先ずは自国の文化や作法に精通し、それを国際社会に発信することだと考えます。
また礼儀作法は堅苦しいものとか、窮屈なものと捉えがちですが、平たく言えば「思いやりの心」を具体的に表現することで、日本人としての気品の表れです。
戦争で明け暮れた西洋のマナーは危機管理的側面がありますが、平和な社会背景から醸し出された日本の礼儀作法は「思いやり」が基本で、世界の平和と環境保全に貢献できる素晴らしい文化だと思っています。
そして思いやりとは「相手に不快感を与えない」ことと、「相手に好感を与える」ことで、常に指導的立場にある人がその模範を示す必要があります。
そうすることにより皆から尊敬され、社会から信頼されるようになるでしょう。
また、西洋には身分の高い人にはそれに応じた義務や責任があるという「ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉があります。
日本の礼儀作法とともにプロトコール(国際儀礼)も身につければ、まさに鬼に金棒です。
上に立つ人や指導的立場にある人は、自分の保身に徹するのではなく、決められたことは守る、相手を思いやる、礼儀正しくふるまうことに専念すれば、不必要にコストをかけハード面を充実させなくとも、日本の国際的評価を高め、実利実益につながるはずです。
周囲に思いをはせる品格のある日本人のありようを見た外国人は、きっと素晴らしいお土産を持って帰ってくれると思います。