マナーうんちく話1875《実践あるのみ！「夫婦再生大作戦②」。高齢期を【幸齢期】にするために⑬》
先人は花が咲くことを「笑う」と表現しましたが、新芽が萌えだし百花繚乱の「山笑う」頃は、いくつ年を重ねてもわくわく・うきうきします。
まるで「新年度を前向きに歩もうよ」といっているようですね。
そんな中、「生涯現役百歳大楽校」令和7年度の開講式、及び4月の「わくわく・うきうき講座」を開催し、充実したひと時を過ごしていただきました。
主催者による「オリエンテーション」に続き、令和7年度の講座のスムーズな進行と参加者の幸運招福を祈願して、酒樽を使用した「鏡開き」を行いました。
「鏡開き」の意味や目的を出席者に説明後、米寿を迎えた女性がお一人、卒寿過ぎの女性が5名、計6名の長寿の皆様で、笑顔で記念写真を撮ってから、威勢のいい掛け声のもと、めでたく鏡を開いていただきました。
その場で、鏡開きをしていただいた全員の方から感想を述べて頂きましたが、しゃべられる方も、それを聞く側の人も、大変心地いいひと時で、主催者として非常にうれしく思いました。
ちなみに「鏡開き」とは、お祝いの席で、日本酒の入った酒樽の丸い蓋を、槌を使用して割開き、杓で樽の酒を注いでみんなで飲み交わすことです。
主に入学式、結婚式、進水式のように、新たな門出を祝す時に行う縁起の良い儀式です。
また正月にお供えした「鏡餅」を開いて食すことも「鏡開き」といいますが、これも元をたどれば同じ意味です。
昨年日本酒がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、今回は特に酒樽を使用した鏡開きになったわけです。
ただし、参加者の9割以上は車ですので、乾杯は「お酒」ではなく「お茶け」ということにしました。
●酒樽の蓋を開くことを「鏡開き」と呼ぶ理由
かつて酒樽の丸い蓋は神様が宿る「鏡」に例えられており、それを割るわけですが、割るという表現は縁起が良くないので、末広がりに通じる「開く」と呼ぶことになったようです。
とにかく科学が発達していなかった昔のことですから、現代人が思う以上に縁起を担いだのでしょう。
鏡開きも、酒樽の蓋を開くことで運を開き、未来を拓くことになるわけです。
●祭事ととても深い関係がある日本酒
日本は四季が明確に分かれ、米作りで栄えた国ですが、一年を通じて様々な祭事があります。
豊作や子孫繁栄、健康長寿などの祈願から、五穀豊穣や合格のお礼まで、数えきれないくらい存在しますが、その際、神様に米から作られたお酒をお供えします。
神様に贈る御神酒ということで、これが大変神聖で、ご利益があると考えられていたので、幸運をもたらす鏡開きに使用されるようになったといわれています。
神道の行事として開催される祭事には酒が大変重要な意味を持っており、祭事が終わった時にはお供えした酒を下げ、祭事に参加した全員で酒をいただくことにより、一体感が生まれるわけです。
神前結婚式の際に親族杯の儀式がありますが、まさにそうですね。
日本酒が好きな人は経験があると思いますが、日本酒を飲むと、暫くしたら、とてもいい気分になります。
ここに神様の特別な力、つまり神様の霊力が働いていると昔の人は考えたのだと思います。
頷けますね。
今は酒の席が少なくなり、さらにその席で「お酌」をすることはセクハラだとか、パワハラだとか言われますが、相手に酒を注ぐもともとの意味は、相手の幸せを祈るものですから、あまり難しく考えず、互いに楽しく酌み交わせばいいと思います。
勿論お酌を強制するのは感心しません。
今回は新年度を迎えるにあたり、ご長寿の参加者に鏡開きをしていただき、大変縁起の良い門出になりました。
その後長い間講座に参加された方より感想をのべていただき、続いて昭和100年特別企画として「歌でつづる昭和」で50名の参加者が、ギター、ベース、ドラムの生演奏の基、心を合わせ、昭和に流行った懐かしい曲を楽しんでいただきました。
ご多用の中お運びいただいた50名の皆様方には厚くお礼申し上げます。
