マナーうんちく話2246《日本人の生活に深く根付く「ハレ」と「ケ゚」のある生活と社会貢献のすすめ》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

瑞々しい若葉が茂る、一年で最も清らかな気があふれる頃です。 

身も心もリフレッシュして清々しくありたいものですね。

見た目の汚さに加え、様々な災害や病気や怪我などで普段の平穏な生活ができなくなることを「穢れ」と言いますが、日本には穢れが少ないほど、美しいとか正しいという価値観が根付いています。


●日本人の伝統的な世界観「ハレ」と「ケ゚」

ところで「ハレとケ」という言葉をご存じでしょうか?

「冠婚葬祭」を語るうえで、とても大事な言葉ですが、日本人の伝統的な世界観の一つで、「ハレ」は非日常という意味で、「ケ」は「日常」です。

非日常とは、儀礼や盆や正月などの年中行事を行う日と思っていただければいいと思います。

これに対し「ケ゚」は普段の生活そのものと捉えて頂ければいいでしょう。


●人生百歳時代を豊かに彩る「ケジメ」

昔の人は娯楽も少なく、とにかく朝早くから夜遅くまでよく働きましたが、働くばかりでは潤いがありません。

働く状態が「ケ゚」ですが、「ケ゚」の生活の中に「ハレ」の行事を上手に取り入れ、単調な生活にメリハリをつけたわけですが、これを「ケジメ」といいます。

たとえば食生活においても、日常(ケ゚)の食べ物は麦、粟、稗、大豆、番茶などですが、盆や正月や祭りなどの「ハレ」の日の食事は、神聖な食べ物とされていた白米や酒などをいただきます。

着るものもそうです。
日常は質素な仕事着、つまり「ケ゚着」で過ごしますが、正月には「ハレ着」を着ます。

物質的な豊かさを謳歌する今の日本では、毎日お洒落を楽しみ、ご馳走もいただくことができます。
だから毎日が「ハレ」ということになりますね。

確かに昔に比べれば大変素晴らしい事であり、喜ばしいことですが、反面ある意味、生活にメリハリが感じられません。

まだ世の中が貧しい頃に生まれ育った私も、巻き寿司や牡丹餅なんかはごく限られたときにした口に入らなかったわけですが、それだけに大変喜んでいただいた記憶があります。

また正月には晴れ着を新調してもらった記憶があります。
だから「もういくつ寝るとお正月」と謡われた歌詞の意味が、大変よく理解できます。

今では巻き寿司も餅も赤飯も近くのスーパーやコンビニで、お手頃価格でいつでも食せます。

着るものは量販店に行けば、希望の服が簡単に購入できます。

いずれも大変いいことですが、ただその分ありがたみが薄いような気がしますがいかがでしょうか。


●「ハレ」と「ケ」の存在意義

仕事や家事に精を出すことは、日常生活を維持するのに必要不可欠なことです。

しかし、それだけでは生活に潤いがなく、生きている意味もあまり感じられないかもしれませんね。

だからこの状態に「ハレ」を加味することで、生活に楽しみが加わり、重みが出ます。
生きる張り合いも生まれるでしょう。

普段着られない晴れ着を着て、特別に用意された酒やご馳走をみんなで戴くことで、地域の絆も深まり、連帯感も生まれます。

対称的な概念である「ケ」と「ハレ」のバランスを上手にコントロールすることで、地域のコミュニティーが維持されるというわけです。


●「ケ」と「ハレ」のメリハリのある生活のすすめ

高度に進歩した情報化社会で、あわただしく生活していると難しいかもしれませんが、そんな環境の中であえて「ケ」と「ハレ」のメリハリを心がけることにより、人生百歳時代を豊かに過ごせると思います。

自然のリズムを上手に利用して、「初物」や「旬のもの」を積極的に生活の中に取り入れることをお勧めします。
四季が豊かな日本ならではの豊かな暮らしが実現できるでしょう。

ちなみに旧暦には「二十四節季」や「七十二候」や「雑節」がありますが、これも、季節にけじめをつけ、身も心もリフレッシュさせるための知恵です。

加えて家族や地域の絆を深める「冠婚葬祭」と真摯に向き合うのも、とても効果的だと思います。

特に「年中行事」は、出来る範囲で日頃の生活の中に多く取り入れて頂きたいものです。

可能であればその行事の由来や意味や意義を正しく理解したうえで楽しんでいただけたら、効果抜群だと思います。
「マナーうんちく話」をぜひ参考にして下さいね。

さらに生涯で一度から数回程度の大事な場面である、「晴れ舞台」に挑戦するのも大きなメリハリになるでしょう。

この他、自身の趣味の時間を大切にしたり、地域との結びつきを深めたりするのもいいと思います。

要は自分流のライフスタイルや価値観に応じた「メリハリ」をつけることではないでしょうか。


●社会貢献を視野に入れた生きがいづくりのすすめ

四季が豊かで、80年も戦争に無縁で、世界屈指の長寿で、物質的に恵まれた今の日本では、努力次第で贅沢な暮らしができるでしょう。

ご馳走を食べ、お洒落をして、好きな趣味に没頭し大変豊かな生活ができます。

然し毎日がそんな暮らしだと、それが当たり前になり、惰性になってしまう可能性があります。

そこでぜひ心がけて頂きたいのが、私が講演でいつもお話ししている「社会貢献」を視野に入れるということです。

日常から離れ、苦労しながらも、人のためになる、人に喜んでもらう、家族や地域で存在感があるような生き方は、とても幸福度を高めてくれます。

これは世界中の学者が、幸せになるためのポイントとして真っ先に挙げていることです。

先人の知恵である「ケ゚」と「ハレ」の概念を上手に取り込むことと、最新の研究で明らかにされた「社会貢献」の華麗なるコラボレーションという生き方です。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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