マナーうんちく話34≪乾杯のマナー≫
弥生3月もはや彼岸を迎えました。
3月21日は「春分の日」ですが、この日は「秋分の日」と同様、昼と夜の長さが同じになる日で、季節の大きな節目です。
秋分の日はこの日を境に次第に昼より夜が長くなりますが、春分の日は逆でこれからは夜より昼の方が長くなってきます。
ところで彼岸には昔から墓参りに出かけますが、昔は仏様の住む極楽浄土は真西に存在すると考えられており、太陽が真東から登り真西に沈む彼岸は極楽浄土に最も近づくと信じられていたからです。
そしてお墓に牡丹餅をお供えしますが、春分の日の頃には百花の王と呼ばれる「牡丹の花」が咲く時期なので、牡丹の名をとって「牡丹餅」という名前が付けられたそうです。
ちなみに秋分の日には「おはぎ」をお供えしますが、これは秋の七草の一つである「萩」の花にちなんでつけられた名前です。
四季が豊かで「華道」という独特の文化を有する日本人らしい名前ですね。
多種多様な花が咲き乱れることを「百花繚乱」と言いますが、これからまさにその季節を迎えます。
心浮き浮き、華やかな気分に浸れる絶好の季節ですが、千利休はもてなしの極意の中で「花は野にあるように活け」と説いています。
花や葉や枝を、眺めて楽しむために、形を整えて、水を入れた器に挿すことを「活ける」といいますが、そのポイントは「その花があたかも自然に咲いている状態に感じさせるように」です。
例えば百花の王と呼ばれる牡丹は見るからに豪華な花です。
従ってボタンを生けるときには、器や活け方にもそれなりの鮮やかさが大切ということです。
逆に小粒な萩の花は可憐な素朴さを醸し出すように、一輪挿しのようなものが清楚な感じがするということです。
何が言いたいかといえば、それぞれの本質を正しく理解し、目的にかなった振る舞いをすることが大切ということです。
相手のニーズに基づいたもてなしをする必要性を説いているわけです。
後日「外国人のもてなし」にふれますが、相手のニーズにマッチしたもてなしがポイントになります。