マナーうんちく話503≪「割箸」はなぜ割れているの?≫
2013年12月に《和食 日本人の伝統的な食文化》がユネスコの無形文化遺産に登録され久しくなります。
無形文化遺産は、文化の多様性を反映し、人類の創造性を証明することや適切な保護措置が図られていることなどが登録の基準だそうですが、「栄養バランスの良さ」「多様で新鮮な食材」「四季の移ろいの表現」「年中行事との密接なかかわり」など、和食に関する多彩な魅力が世界的に評価されたことはとてもすばらしいことです。
富士山の世界文化遺産の登録に続いての登録になりますが、また一つ日本固有の文化が世界に認められたということで実に喜ばしいことです。
そしてそれから5年の月日が流れ、外国人の受けもとてもよく世界中で和食のレストランは増え続けているようです。
さらにオリンピックを控え日本を訪れる外国人も増え続けていますが、和食に期待して訪れる外国人は後を絶たないようです。
四季が織りなす風光明媚な景色、温泉、ショッピングとともに、和食は今や大きな観光資源になっているということでしょう。
和食の魅力を世界に向けてアピールする絶好のチャンス到来です。
さらに和食の素材や味のみならず、日本の社会や文化における和食の役割に多大な価値を見出したいところです。
特に長年地域に脈々と伝わる「郷土料理」、家庭に伝わる「おふくろの味」、さらに年中行事と深く関わりのある「おせち料理」なども、次世代にしっかり伝えたいものですね。
食文化は、そこで生活している人の生活様式や伝統が凝縮された素晴らしい宝物です。ないがしろにしてはダメでしょう。
加えて和食に込められている豊かな「精神文化」や「作法」も大事にしたいところです。
特にその土地に対する感謝、その土地でとれる食材、共に食卓を囲む人への感謝と配慮。
こうした心が長寿社会を豊かに生きていくヒントになり、その国の食文化を支える原動力になると思います。
ちなみに和食の前にフランス料理も無形文化遺産に登録されていますが、戦争で明け暮れた西洋の食事のマナーは危機管理的要素が強いのが特徴ですが、和食は違います。
日本は国家としての歴史も非常に長く、稲作を中心とした農耕文化で栄え、平和な社会を築いてきた国です。
さらに世界中の人が羨ましがる四季がとても豊かな国です。
そんな社会背景から生まれた和食のマナーは、「思いやり」や「感謝」の気持ちを表現したとても素晴らしい文化です。
しかし、そんな素晴らしい文化が危機に扮している状態だと危惧しています。
例えば「いただきます」「ごちそう様」の意味を理解している人や、箸を正しく持てる人が非常に少なくなっているのが現状です。
私は食育の在り方の再検討が必要だと思っています。
加えて大人の食育講座の大切さも実感しています。
「飽食の国」「美食の国」といわれ、食生活が豊かになっても、自国の食文化がこの状態ではハッピーになれるはずがないと思うのですが・・・。
そこで次回は「箸」に込められた豊かな精神文化に触れてみる予定ですが、その前に和食に関するマナーの腕試しに挑戦してみて下さい。
つい、誰かに教えたくなるような内容です・・・。