マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
コラムで何度も触れていますが、日本は四季が明確に分かれており、その移り変わりが非常に美しい国で、それに伴う素晴らしい文化を形成している国です。
百花繚乱と表現される程うららかな日差しの中で華麗に咲き誇る春の花々、夏の厳しい暑さを和らげてくれる新緑、世界屈指の美しさを誇る秋の紅葉、葉が落ちてまるで眠っているかのような冬の木々。
自然は花や木、鳥の鳴き声、風や雨や雪、雲の形、味覚を楽しませてくれる海や山の幸を通して四季の訪づれを知らせてくれます。
最近は科学の発達で、自然の流れを機械的に瞬時に知ることが出来ますが、たまにはのんびりとした気分で、たゆやかに移ろう自然を観て、季節を実感するのもお勧めです。
そうする事により自然をより理解することが出来、「自然に優しく」という気持ちから、「自然に優しくして頂いている」という謙虚な気持ちになれると思います。
そして、このことが長い人生を心豊かに生きる糧になるのではないでしょうか。
10月23日は二十四節気の一つ「霜降」です。
朝晩に冷え込みが厳しくなると、初霜が降りてきます。
よく霜が降りると言いますが、空から降りて来るわけではありません。
霜は寒い朝に、地面の表面につく氷の結晶ですが、空気中の水蒸気が付着した現象だそうです。
「白露」から「寒露」、そして「霜降」へと、露から霜に季節が変わるということは、農作物に大きな影響を与えます。
霜に当たって甘さを増す野菜もありますが、霜で多大な被害をこうむる野菜も沢山あります。
野菜も大変ですが虫たちにとっても霜は大変です。
先日、日本3大名園の一つ岡山の後楽園で「こも巻き」が行われました。
虫達は木に巻かれたこもの中で暖をとりますが、来年の啓蟄の頃にはこもが取り払われ、焼かれてしまいます。
昔からの伝わる害虫の駆除の仕方です。
そしてうっすらと霜がつくようになると、楽しみになる行事が日本にはあります。紅葉前線がやって来て「紅葉狩り」が始まります。
春の「桜前線」と秋の「紅葉前線」。
そしてこのコラムでも以前触れましたが「桜狩り」と「紅葉狩り」。
桜前線と紅葉前線は、気象用語ではなくマスコミが作った造語と言われていますが、桜狩りと紅葉狩りは先人が作った言葉です。
共に世界に誇る美しい言葉で、次世代にも伝えたいものです。
ところで樫、柏、くぬぎの木の実を「どんぐり」と言いますが、縄文時代には貴重な食物だったとか・・・。
「どんぐり拾い」も今時期の風物詩ですが、あまりみかけなくなりましたね、
人間より熊が好むようで、今年は人里で多くのクマが捕獲されています。
人間の都合で自然環境が悪くなり、そのとばっちりを受けた熊も大変です。
自然と仲良く暮らした先人の知恵を見習いたいですね。