マナーうんちく話90≪懐紙の優雅な使い方≫
料理は先ず火を使用することから始まりますが、水を加熱して、発生した湯気を利用して加熱する調理が蒸し料理です。
中国や日本では昔から、杉やヒノキや竹などで作った「せいろ」で食材を蒸してきたわけですね。
そして蒸し物でおなじみの料理は「茶碗蒸し」「土瓶蒸し」「かぶら蒸し」などです。
素材を蒸しあげた料理ですが、仕上げに供される場合が多いようです。
ちなみに、食欲の秋を控え、松茸の土瓶蒸しを思い浮かべる人も多いと思いますが、それに関しては《マナーうんちく話606「松茸と土瓶蒸しの食べ方」》をご覧ください。
ここでは蒸し物の代表である「茶碗蒸し」に触れておきます。
茶碗蒸しは今から200年前に登場されたと言われていますが、どれが茶碗蒸しの起源か明確な根拠は不明です。
茶碗蒸しの頂き方ですが、蒸し料理は兎に角熱いです。
従って先ず熱さを確認して下さい。
手に持てるか、持てないか等です。
そして蓋つきで出される場合が多いので蓋を取る時には、水滴がたれないように内側で止めて、水けを切って下さい。
蓋はお膳の外に両手で置きます。
複数の蓋があっても重ねないでくださいね。
箸で食べ難いので、最近はスプン(小さじ)がつく場合が多いですが、スプンで器をなぞるように円を描きます。
勿論、箸でも頂くことはできますので、箸で頂く場合もこの方法を応用して下さい。
具を食べ終わったら、卵はかき混ぜてもOKです。
昔は、茶碗蒸しは吸い物の代わりに供されていたので、最後の汁は口を付けていただいても構いません。
あるいはスプン(小さじ)ですくって、懐紙を添えて頂く方法もあります。
熱くなければ器を持って頂いても構いません。
この際、両手で器を取って左手に乗せます。次にスプン(小さじ)を取ります。
「酢の物」は土佐酢や三杯酢で、野菜や海藻、あるいは海老等の魚介類を和えたものです。
綺麗に盛られた酢のものは目にも鮮やかで、この料理を頂くと急に口あたりがさっぱりしますので、お口直しの意味もあります。
小鉢で上品に盛られている場合が多いので、目で味わい、器を手に持って、品良く食べて下さい。
往々にして、二口から三口で頂ける場合が多いですね。
酢の物で食べ難い物は、「モズク」や「ジュンサイ」ですが、これは箸ですくって食べても良いとされる、例外の料理です。
最後の汁は口を付けてもOKです。