マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
およそ日本人ほど、贈り物を頻繁にする国民はいないのではないでしょうか?
それだけ、日本人が、物質的に豊かで、思いやりがあり、義理深く(贈与交換儀礼に律儀)、そして商戦逞しいということでしょうか。
梅雨が明けたので、お中元商戦が一気に加速しますね。
今年は、誰からどんなものが頂けるか?誰に何を送るか?
様々な思いが交差する時期です。
母&父の日商戦、クールビズ&ウオームビズ商戦、クリスマス商戦、そして中元&歳暮商戦などが、年々盛大になり、早い時期から展開されますので、年中慌ただしい感が有りますが如何でしょうか。
勿論これにより、経済が活性化されるのはいいことですが、不必要にコマーシャル商戦に巻き込まれるのではなく、しきたり本来の意味を正しく理解し、主体的の行うのが良いかと考えます。
元々、「中元」は中国のしきたりで、「三元」と言われる中国の道教に基づく祭日のひとつです。
旧暦の1月15日が「上元」、7月15日が「中元」、そして10月15日が「下元」で、この三元の習慣が日本に伝わったわけですが、中元が日本の盆のしきたりと融合し、祖先供養の意味も込め、品物を贈り合ったのが起源です。
そして、中元の人気商品は、ビールやコーヒーなどと同じく、素麺やウドン等が人気ですが、元々日本には「盆礼」といって、素麺やウドンを親や親族、あるいは日頃お世話になっている人の元へ届ける習慣が有ったわけです。
加えて、その一年以内に亡くなった親しい人の元に、「盆供(ぼんく)」と言って、素麺やウドンを持参し、お供えする習慣も存在しました。
ちなみに、お盆と対比される正月には、素麺やうどんの変わりに、何を持参するかご存知でしょうか?
餅です。
中元には素麺やうどん、歳暮には餅、そして彼岸にはボタモチやオハギをお供えするように、当時は米や麦などの穀物が、命を繋いでくれる、最も貴重品だったので、先ずご先祖にお供えしたのですね。
いずれにせよ、日頃の感謝の気持ちを込めて贈るものですから、贈り方にもそれなりの礼儀作法が存在します。
熨斗を掛けるのもそのためです。
それでは、「中元」に関するポイントを纏めておきます。
○贈る期間
7月15日頃までがお勧めです。
但し、地域によっては月遅れの8月15日までも所もあります。
○誰から誰に贈るの?
基本的には、目下から、日頃お世話になっている目上の人に贈ります。
○何を贈る?
相手の好み、予算等にもよりますが、コラムの内容を参考にして下さい。
○どのようにして贈るの?
本来は持参して、お礼の言葉と共に手渡しします。
※「マナーうんちく話《訪問の仕方・され方》」《もてなしの仕方・され方》」を参考にして下さい。
最近はすっかり配送する場合が多いようですが、送りっぱなしは感心できません。出来れば時候の挨拶と共に、品物を、いつ、どこから、送ったと言うことを知らせる「送り状」を、贈り物に先駆けて出したいものです。
電話やメールでもいいでしょう。
○水引と表書き
水引は赤白の「蝶結び」で、熨斗はつけます。
表書きは「御中元」がいいでしょう。
時期が遅れたら、「暑中御見舞」になります。さらに、立秋(平成25年は8月7日)を過ぎたら「残暑御見舞」になります。
上司・目上の人だったら「暑中御伺」「残暑御伺」でもいいです。