マナーうんちく話535≪五風十雨≫
バレンタインデーを控え、チョコレート商戦たけなわです。日本はモノが豊かで平和な国で、飢餓や戦争や内戦で苦しんでいる国から見れば羨ましい限りでしょうね。
ところで、「バレンタインデー」の由来をご存知でしょうか?
昔、ローマでは兵士の体力を衰えさせないため、結婚することを認めていませんでした。
しかし、それでは若い兵士が気の毒なので、この制度に背いて、キリスト教の司祭の位を有する聖・バレンチヌスは、密かに若い兵士の結婚を応援しました。しかし、やがて捕まり、2月14日に処刑されました。そののち、バレンチヌスは多くの人々の敬愛を受け、2月14日がバレンタインデーになったとされています。
そして、欧米諸国では、バレンタインデーに、恋人達が、互いに、ラブレターやプレゼント等を交換するようになり、やがてその習慣は日本にも広まってきたということです。
ただ日本では菓子業界の巧みな戦略もあり、今ではすっかり、女性が男性にチョコレートを贈る習慣になっているのはご承知の通りですが、「本命」「義理」の定番のネーミングに加え、「褒めチョコ」「友チョコ」「逆チョコ」「世話チョコ」等と、それぞれ時代を象徴するネーミングが付けられ、バレンタインデーも年々多様化しています。
そして、今年は昨年の東日本大震災の影響を受け、人と人との絆の大切さが再認識され、「義理チョコ」を渡す人が過去最高になるであろう!との予測があるようです。
ただ、例え義理チョコであれ、プレゼントする以上は、そこには当然守るべきマナーが有ります。今回は、そのポイントに触れてみます。
●「義理チョコ」でも、贈る目的を明確に!
「日頃の感謝の気持ちを込めて贈る」「職場での円滑なコミュニケーションツールとして贈る」「絆作りに役立てたいから贈る」「年中行事の一環として贈る」等と、ある程度目的を定めて贈ることがお勧めです。
●「義理チョコ」を贈る際のマナー
・同じ職場等で、複数の人に贈る際は、公平さが必要です。
・バレンタインの贈り物には、「お返し」がつきものです。相手に余計な負担を与えない価格設定が大事です。
・職場における、「取り決め」や「習慣」が有れば、それに従うことが大切です。
・誤解を受けないように、なるべくオープンに贈ることが大切です。
・既婚の人には、「奥さまとどうぞ!」等と添え書きを添付し、奥様への配慮も大切です。
・出来れば、女性職員一同から男性職員の皆様に等と、グループでの贈り方もお勧めです。
「義理チョコ」は、堅苦しい感じより、気軽な感じがしますが、「本命チョコ」と同じように、「贈る側」と「贈られる側」の、心と心が通うことが大切です。従って、贈る本人のみならず、周囲に対しても、それなりの配慮を怠らないようにしたいものです。
今、日本に根付いている年中行事は多々ありますが、売り上げアップの巧みな仕掛けがなされているもの程盛大に行われている気がします。勿論それはそれで、経済が活性化し良いことだと思いますが、反面、「花まつり」「重陽の節句」等、商戦の対象にならない年中行事は年々薄れてきている感が有り寂しい気がします。本末転倒にならなければいいのですが・・・。そして氾濫する情報に不必要に振り回されるのではなく、それが持つ本来の意味を正しく理解し、自分なりの行動を起こされるのもお勧めです。
同時に、「絆づくり」の手段として「義理チョコを贈る」という考え方も、これも寂しい気がします。日頃から明るい挨拶を徹底するとか、会話を増やすとか、美味しいお茶を入れてあげるとか、絆づくりは、他に方法はいくらでも存在すると思うのですが・・・。
加えてバレンタインデーの在り方も、もう少し角度を変えて捉えるのも良いのではと思います。今の日本では、チョコレートは、ほしい時にいつでも買うことができます。チョコレートを買って義理で贈るのもいいですが、チョコレートを「贈ったつもり」「頂いたつもり」で、そのお金を被災地への募金に回すとか、あるいは、飢餓で苦しんでいる貧困国への贈り物に回すとか、色々な形が生まれても良いと思います。
日本の食料自給率は39パーセントしか有りませんが、世界屈指の「飽食の国」だと言われており、良いイメージではありません。しかし、「衣食足りて礼節を知る」という美しい言葉が存在する国でもあります。チョコレートは栄養価も高く、美味しく、素晴らしい食べ物ですが、頂き過ぎても味わいきれません。その分、困っている人へ向けてあげるのも富める国の務めだと思うわけですが、如何でしょうか?