まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
【冠婚葬祭の知識とマナー19】 秋祭りと和の心と神様の存在
9月も終わりに近づくと、すっかり秋を実感できるようになりました。
そして、日本の秋と言えば、全国津々浦々に至る「お祭り」ですね。
日本のお祭りは、まさに四季を彩る風物詩です。
今回は、華やかな中にも、どこか郷愁を誘う秋のお祭りに触れてみることにします。
少子高齢化、過疎化等のあおりを受け、お祭りも年々縮小傾向にあるようですが、地域の大切な絆づくりです。出来る限り存続していきたいものです。
ところで、日本ではお祭りが殆ど秋に集中しておりますが、その理由は、
①収穫を喜び、神様に感謝するため。
②稲刈りが済み、仕事が一段落するため。
③収穫したので、経済的にゆとりが有るため。等と考えられています。
またお祭りには「おみこし」がつきものですので、おみこしについて触れておきます。
元々の意味は「輿」で、それに「御」をつけ「神輿」になり、さらに「御」をつけ、「お御輿」になりました。ご飯に付いてくる「付け」が、「おみおつけ」になったのと同じ理屈ですが、この「輿」は、神様がお乗りになる「輿」だから、「神輿」とも表現されます。
ちなみに、日本の神様は、お祭りの時にお越しになり、一時的に「輿」に鎮座され、終われば再びお帰りになると考えられています。
「輿」である以上は、担ぎ手により移動するわけですが、その時に「ワッショイ・ワッショイ」という掛け声をかけますが、「ワッショイ」という掛け声には、「和と一緒」「輪を背負う」という意味が有り、日本人がいかに「和」を大事にしてきたかが伺えます。
余談事になりますが、聖徳太子が作られた「17条の憲法」の第1条に、「和をもって貴しとなす」と記載されていますが、実はこれが日本における成文化されたマナーの始めだとされています。その教えが未だに、お祭りという伝統行事を通じ継承されていることは素晴らしいことだと思いませんか?これぞ世界に誇る日本人の精神文化だと思います。
加えて、地域によっては、「おみこし」を激しく動かす担ぎ方もありますが、これは、お御輿を大きく揺り動かすことで、神の霊を活性化させるためだという説が有力です。
日本人にとって、お御輿を担いで練り歩く姿は、小さい頃から見慣れた風景ですが、なぜ、お御輿を担いで街を動き回るのでしょうか?
実は、ここでも神様はすごい働きを人間のためにして下さっているわけです。
具体的には、街の災難や穢れを取り除いて下さっているのです。
日本の神様は、豊作や大漁をもたらして下さった上に、街を祓い清めて下さる大変ありがたい存在なのです。改めて感謝!感謝!です。
其の感謝の心を態度で表すために、神様にお参りした時には、出来る限り深々と頭を下げるのがマナーです。この姿勢はどこの国でも同じだと思います。
そして、盛大に行われたお祭りが終われば、寒い地方では、早々と冬の足音が聞こえてきます。秋のお祭りは、どこかしみじみした風情が有るのはそのせいでしょうか?
次回は10月。神無月になりますので、「神様と結婚」についてのお話です。ご期待下さい。