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コラム

「預貯金がある方」のための遺言書の書き方

2023年9月17日

テーマ:遺言書作成

コラムカテゴリ:くらし

「預貯金がある方」のための遺言書の書き方



 こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 代表の菅野勝(かんのまさる)です。

 今回は、【遺言書の書き方講座 財産編 vol.6】として、『「預貯金がある方」のための遺言書の書き方』をご案内します。

 遺言書を作成する皆様共通のメリットは、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。遺言作成時に知っておきたいチェックポイントを解説します。


預貯金の取扱い

~平成28年最高裁決定による影響~

 最高裁判所は従来、預金のような可分債権は、法律上当然分割されるとの立場をとっていました。

 しかしながら、最高裁判所は平成28年12月19日、「預貯金一般の性格等を踏まえつつ以上のような各種預貯金債権、通常貯金債権及び定期預金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になる」と判示し、従来の立場を変更しました。

 と、いうことは遺言で預貯金について定めておかないと、相続人全員で誰にどのように分けるかの遺産分割協議を行わなくてならないことになります。


遺言の意義

 被相続人が死亡した場合、被相続人が有していた金融機関の預貯金口座について名義変更を行うか、又は預貯金の払戻し手続きをすることになります。

 この口座の名義変更又は預貯金の払戻しをするためには、遺言書がなければ、相続人の遺産分割協議書や当該金融機関所定の書式に全員が署名実印押捺したものを提出するなど相続人全員の協力が必要になります。

 相続人間で協議がまとまれば問題はありませんが、そうでなければ、預貯金の払戻しに相当の時間を要することになります。

 被相続人の死亡後は、相続税の納付など、まとまった資金が必要になることが多いので、この点で遺言書を作成しておく意義は大きいものと言えます。

遺言書

預貯金の特定

 遺言者が預貯金を有いている場合、金融機関名、取扱支店名、預金の種類(普通預金、定期預金等)、口座番号、口座の名義人で特定することになります。

 遺言者が「ゆうちょ銀行」に貯金を有いしている場合、通常貯金又は定額貯金などの種類、記号及び番号で特定することになります。

条項例

第○条 遺言者は、遺言者名義の次の預金債権を、妻A(昭和○年○月○日生)に相続させる。
    ○○銀行
    ○○支店
    普通預金
    口座番号   ○○○○○○○

名義預金の問題

 「名義預金」とは、金融機関の口座名義は他の親族の名前であるが、実質的には遺言者の預金であるような場合の当該預金のことをいいます。

 例えば、遺言者が子の名義で預金口座を開設し、預金をしていた場合などをいいます。

 「名義預金」と判断されてしまうと、遺言者以外の名義の預貯金であっても、遺言者の財産とされてしまいます。


名義預金か否かの判断方法

名義預金かどうかの判断は、

①預貯金の原資

②預貯金の運用

③預貯金の管理

によって、判断されます。

 預貯金の原資に関しては、預貯金通帳が被相続人の給与収入を基に作成されている、預貯金の増加が被相続人の給与収入を基になされている、相続人には当該預貯金をするだけの資力がない、などの場合は、名義預金と判断されます。

 預貯金の運用に関しては、口座開設手続きを被相続人が行っていた、預貯金の入出金を被相続人が行っていた、などの場合は名義預金と判断されます。

 預貯金の管理に関しては、通帳やキャッシュカードを被相続人が所持していた、被相続人の印鑑が通帳の届出印と同一である、などの場合は名義預金と判断されます。

名義預金と認定されないために

 「名義預金」と判断されないようにするためには、まず、実質的な資金の提供者と口座名義の間で贈与契約書を作成します。

 しかし、後から贈与契約書を作成したと判断されないために、印鑑登録証明書など本人を証明し日付がわかる書類を添付しておくことをお勧めします。

 贈与契約書を取り交わし次に、金額によって贈与税を申告することになります。

今回は、以上となります。

この記事を書いたプロ

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菅野勝(まさる行政書士事務所)

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