大学生にとっての良い授業
社会人の方が受験を決意されたときに素朴に思う疑問です。このところ、大学生は、早い人は1回生の時から受験を考えていますので、長期プランで勉強をしている人もいると聞きますが、あまりやってこなかった人は、やはり同じような疑問を抱きます。これがわからなくて、受験をあきらめる人も少なからずおられます。そしてある程度自分で調べて、なんとなくわかってくると、余計に雲をつかむような感覚が増してきて不安が高まることが多いと思います。
こういった時は、とりあえず私たちのところに相談に来ていただきたいのですが、
大学院受験を決意してから生じる「どこから始めるといいのか」という問いはなかなか難しい問いです。どこからの第一は「辞書を扱えるようになること」です。辞書を扱えるとはどういうことかということをつきつめて考える必要があります。そのためにはまず辞書を購入しておく必要があります。最新は有斐閣の『現代心理学辞典』は有用です。
『心理臨床大辞典』
これはお高いですが、もちろん相応の価値があります。新しいものでこういうものもあります。
全部そろえると少々値段ははりますが、これくらいの投資は確実に必要かと思います。
たまに心理学専攻の学生でも持っていないことがありますので、少なくとも大学院に行くことをお考えの人は複数の辞書をひく習慣をつけておく必要があります。私たちは変な教育を受けていますので、辞書をひくとは、「英和辞典を一冊ひくこと」と認識していることが大半ですが、大学生以上になるとそれは間違いということになります。本来辞書は複数ひくものです。そのため辞書がないというのは致命的といえばそうですので、まずは辞書の購入から始めましょう。
辞書を入手したら、次は当然ひきましょう。できればまずは一回2時間くらいひきましょう。辞書をひくということはわからない言葉があるということですから、少なくとも「わからない」という認識を持てるということです。心理学に限らずはじめて学問に触れる人は、この認識こそが大切なのです。辞書をひくと、わからないことが明確になります。
例えば「アイデンティティって何?」と思うことこそが重要であり、第一歩なのです。辞書はそのために必要です。また辞書一冊だと不十分と思えたら第二歩です。そうすると他にどんな辞書がいいのかなと思い始めます。ここまでは初心者でも、心理学を知らなくてもできますのでまずはここから始めてみましょう。
英語については、私はとりあえず電子辞書を買うようにすすめています。よく本の辞書に慣れておいた方がいいですか?と聞かれるのですが試験当日、辞書を引けたとしても、20回も引けたら上等でしょう。そのくらいの回数引くのに慣れておく必要は特にないと思います。慣れておこうという心理は、つまり、英文との格闘をしようというよりも、辞書との格闘をしようと、考えてしまっているという人です。辞書があってなんとかなる人は、なくてもなんとかなる人ですし、辞書なしで良い点を取る人は、辞書があれば、もっと良い点を取る人です。それ以上でもなければそれ以下でもありません。辞書引き大会ではないのです。その観点からすると、日常の勉強、訓練に目を向けた場合、英語については、電子辞書で良いという結論になります。ただし、最低、英和2冊分、和英、英英が入っているものを選んでください。最近の電子辞書はすばらしい機能になっていますので、私が10年近く使っているものから比べると、私の方は、すっかり浦島さんですが、より使いやすいものを選ぶのが良いと思います。
辞書という道具をそろえたら、いよいよ勉強開始です。そうは言っても何から始めたら良いかわからない人が大半ではないかと思います。もちろん、決まり事ととしてこれから始めたら良いという物はありません。そこで、まずは基本的なことから始めましょう、というのが定石です。この世で、基本が大事ではないという人はそうはいないと思います。ただ、基本という言葉の意味を理解していない人が圧倒的に多いという印象は強くあります。一番勘違いとして多いのは、基本=入門と考えて、入門書ばかり読みあさるという行為です。もちろん、入門書に全く意味がないとは言いませんが、入門書というのは、たいていは学術書というよりは一般書になっています。このような一般書の入門書は極力避けるのが妥当です。コンビニで売っているような
「○○の心理が面白いほどわかる」
のような本も避けましょう。やはり基本的には学術書を出版している出版社から出ている本から、読みやすそうな本を選ぶのが妥当でしょう。個人的には河合隼雄先生の著作集を
手にとって読んでみると良いのではないかと思います。あのように幅広く何でも知っている学者が、極力わかりやすい言葉で書いてありながら、それでも専門的な内容も十分に盛り込まれているという点で有益です。これぞまさに基礎情報を入手するために最適ではないかと思います。つまり基本とは、最大情報量のことを指し、その情報を乗せる台をテーブルと呼ぶのですが、この上に情報の山を積んでいくイメージを持つことです。最初は簡単に感じるか、難しいと感じるかはたいした問題ではないので、片っ端から情報を積んでいきます。後から、その堆積を見て、整理をするのです。基本情報がなければ整理の仕様がないのですが、勉強がすすまない人、あるいはできない人は、高校生までの受験勉強に毒されており、例えば、入門→基礎→必修→発展→応用といった意味不明なチャートをイメージしている人が意外に多くいます。しかし、大学院受験にそんなチャートはありません。意味がわかるわからないに関わらず、大量に情報を仕入れて、それを整理する。その作業の繰り返しです。ある程度それができてきたら次は整理方法を知れば、頭の中にファイルができてきます。これが知識への第一歩です。知識ができてきたら、暗記はあまり意識せずともできるようになってきます。
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