不安と向き合って力を発揮する

井上博文

井上博文

テーマ:思考方法

不安と向き合う

京都コムニタスを開設以来、私が常に注目しているのは。塾生の不安です。大学院や編入受験のような人生に関わる入試では、受験日が近くても、遠くても、思いもよらない不安に襲われることが多くあります。これは誰にでも起こり得ることです。この不安をきれいさっぱり消すことは不可能ですし、ある程度抱えながらの方がうまくいくことも多いとも言えます。REBTの理論によれば、不安は不合理な思い込みから発生する「不健康な感情」です。したがって処理をして健康な感情に転じておく方が望ましいものです。
処理の仕方については、普段から必修の授業の中で伝えていますが、まずは、自分の不安を感じるところから始めます。ここで、自分の感情を感じることができなかったり、自分に嘘をついて、感じているのに感じていないと思いこんでしまうと、厄介です。自分の不安を感じたら、次はその不安に基づいて、自分の中で自滅的な行動があるかどうかの確認をします。例えば不安で寝られない、あるいは不安であるがために勉強が手につかない、あるいは、面接で何も答えられない自分しか頭に浮かばないなどなどです。
90分のテストで3問出題されるとします。そうすると時間配分としては時と場合によるにせよ、普通は30分ずつに配分すればいいと思います。しかし、不安にとりつかれてしまうと、
「20分ずつの3問で見直しも含めて60分で終わらせなければならない」
などと考えてしまいます。冷静に考えれば、90分の問題を60分で無理矢理終わらせてうまくいっている可能性は低いはずです。つまり、勝負はテストが始まる前に終わってしまっているということです。これでは、どんなに能力が高くとも、またどんなに努力をしていたとしても、テストで最高パフォーマンスはできません。私は必修という授業で、常に「不安を根拠にしてはならない」ということを伝えますが、その時は結構伝わった感触はあるのですが、いざ、本番となるとなかなかうまくいかないものです。

本番で力を発揮する

本番で力が発揮できないという人は、必ずといっていいほど出てきます。メンタルを強くしろと言ってしまえば簡単なのですが、実際はそう単純でもありません。いわゆるメンタルの弱い人は、様々なカテゴリーがあります。メンタルの弱さは、入試本番だけを強くしようと考えてもかえって失敗してしまうということが多いと言えます。私が例年とりわけこの時期に気にしている、生徒から発せられる言葉は、「私にはできない」「集中できない」「不安」「無理」「無駄」「どうせ●●」他にもありますが、「THE ネガティブズ」といった感じの言葉が並びます。もちろん、こういった状態になることを予測して、比較的早い段階で、必修の授業の中にREBTを取り入れて、不安と向き合う方法を伝えてはいますので塾内でこういった言葉が出ると、出した本人が、「あ、これはイラショナルか」などと、京都コムニタスローカルネタのような自分ツッコミのシーンはよくあります。これだけでもかなり状況は良くなりますが、どうせならもっと良くしておきたいところです。とりわけこの時期に増えてくるのは「イラショナルということはわかっているけど・・」「客観的に見ておかしいのはわかるけど・・」「他人が言ったらおかしいということはわかるけど・・」「こんな考え方、他人にはすすめられないけど、でも自分は・・・」などと言い始める人も少なからず出ます。こういった言葉を発する人は、不安の根は深いところにあります。それでも何かしら確実に妙な思い込みがありますので、それに気づいておくことが重要です。特に「自分(一人)だけ不合格になる」「特別に緊張する」「自分だけ特別本番に弱い」。こんな言葉を発したうえで「根拠はないのはわかっている」という流れに持って行くのです。これをうまく処理しておくことが、入試の緊張をほど良いものにしてくれます。なぜ自分だけ特別視しているのか、という点に注目して、その理由を包み隠さずに描き出して、ある意味でその特別視をあきらめて相対化します。不思議なことにこの作業をなんとなく怖いと思っている人は多いのですが、少し勇気をもって取り組んでみましょう。「私には無理」なんてことは余程のことがないかぎりあり得ないという現実に気づくことができれば、もう大丈夫でしょう。


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井上博文
専門家

井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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