第5回公認心理師試験重要ワード インフォームドコンセント

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師試験重要キーワード

公認心理師試験において、インフォームドコンセントはかなり重要であることを、当塾の講座において各講師陣はよく言っています。第1回試験でも問63で出ました。
ブループリントによれば、大項目1 公認心理師 としての職責 の自覚、中項目4情報の適切な取り扱い、その小項目の中にインフォームドコンセントが入っています。インフォームドコンセントとはinformed consentで、情報を与えられた上で合意することという語義と見て良いでしょう。1947年、ニュンベルグ綱領:研究目的の医療行為(臨床試験及び臨床研究)を行うにあたって厳守すべき基本原則
1964年にヘルシンキ宣言において、臨床試験、治験についてインフォームドコンセントの必要性が勧告され、世界医師会第18回総会で採択されました。日本では、1997年に医療法改正によって、医療法第1条の4第2項で「医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」とする努力義務が明文化されました。
インフォームドコンセントは、要支援者の接近権(知る権利)の保障、自己決定権(決める権利)の保障、支援者の還元義務(伝える義務)の遂行、以上からなります。インフォームドコンセントは、インテーク面接において行うこと、同意書にサインをしてもらうなど、記録として残しておくことが重要です。
インフォームドコンセントの具体的内容としては、
①援助の内容や方法について
②秘密保持について
③費用について
④時間について
⑤公認心理師の訓練について
⑥質問、苦情について
⑦その他
このようなものが一般的です。これらを踏まえて、接近権(知る権利)の保障とは、時間、場所、料金などの外的治療構造、守秘義務などの内的治療構造、どのような心理検査を行うのか、どのような心理療法やカウンセリングが行えるのか、どのような仮説、目標を立てているか、など心理支援の内容に関して、支援者に説明を求めることが保障されています。
自己決定権(決める権利)の保障については、要支援者が、公認心理師から支援の内容に関する説明を受けた後で、その支援を受けるか否かを決定する権利の保障です。もちろん、支援を拒否する権利も含まれています。要支援者本人が、例えば言語障害がある、重度の知的障害があるなど、この自己決定権を行使するのが、困難な場合は、家族によって決定の代行が行われることがあり、それを代行権の行使といいます。還元義務(伝える義務)の遂行は、公認心理師が支援の内容に関して、要支援者に適切な説明を行うことです。適切の基準は、「要支援者が理解できる」ということになりますので、相手によってその基準は変化することになります。公認心理師は伝える訓練も必要ということです。

当塾の模試で以前出題した問題でインフォームドコンセントがでているものが以下のものです。医療における多職種連携について、適切なものを2つ選べ。
① 精神科コンサルテーションとは、精神科に入院している患者や家族の問題について、公認心理師が他のスタッフに助言や指導を行うことである。
② 公認心理師はクライエントとのよりよい関係を維持するために守秘義務が何よりも優先される。
③ 公認心理師が精神科に入院している患者について、個人心理療法の必要性を判断した場合、主治医の指示を得る必要がある。
④ インフォームド・コンセントは治療に関する説明をし、同意を得るものなので、公認心理師が行うことはない。
⑤ チーム医療での公認心理師の役割には、医療スタッフのバーンアウトを防ぐといったチーム運営そのものへのサポートの役割も含まれる。

やはり公認心理師と連携は切り離せないものですので、しっかり勉強しておきたいところです。


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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

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