結果がすべて

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

私がこの「結果がすべて」と表題をつけてコラムを書くのは3回目です。それだけ私は「世の中は結果がすべて」だと漠然としたビリーフを強く抱えているということです。これがイラショナルビリーフかそうでないかは、このあとの考え方で決まるのですが、あまり気持ちのよいフレーズではありません。それでも尚、やはりどうしても「結果がすべて」だという思いは捨てるべきではない、どこかで、保持しておくべきだと考えています。
もちろん、今回の「結果がすべて」は箱根駅伝の青山学院大の4連覇に思いをよせてのことです。監督は、強大なプレッシャーだったと思います。4連覇以上は史上6校目ですから、多いような少ないような数ですが、勝ち続けなければならないプレッシャーは想像を絶するものがあると思います。陸上競技は、尺度が偏差値とは比べものにならないくらいわかりやすいので、まさに勝った者が強く、負けた者が弱いという世界です。箱根の場合、総合記録を記憶している人は往路復路含めてほとんどいません。もしかすると、区間記録もそれほど興味のある人はいないのではないかと思います(私はまぁまぁ記憶しています)。見ている人は、どこが1番か、2番か、3番かくらいまでは見て、あとは自分の母校、あるいは知っている学校を見て、あと少し興味の強い人はシード権争いのドラマに思いを馳せると思います。そう考えると、結果だけでも見所は満載と言えますので、正月には抜群のドラマかと思います。

しかし、一方で、他人、大きく言えば世間様の関心はその程度ということで、ほとんどの人は、細かいところまでは興味がないということです。だからこそ結果が重要なのです。青山学院大の監督は、結果を出すことの重要性を熟知しておられるのだと思います。どこまでも結果を出すことを追求しておられるのだと思います。結果はいずれ必ずでなくなる時が来ます。だから出せる時に出しておこうとするのも、非常によくわかります。その意味では、教育者というよりは、プロデューサーといった方が妥当かもしれません。結果を出し続け、そこにいた学生の利益をよく理解しておられるのだと思います。

教育者は、ついついきれいなことを言いたがる傾向にあります(自称ですが、私もです)。「結果よりもプロセスが大事で、その積み重ねが人生を作る」と。しかし、今の教育界の実際は、そうはなっていません。大学スポーツは当然のごとく、高校スポーツ界も完全にプロ化しています。高校野球のスカウトに目にとまるためには、軟式野球の中学野球部に入る人はほとんどおらず、リトルリーグ、シニアリーグと段階を踏んでおり、もはやその暗部を隠そうともしていません。関西から北海道の高校に行っても誰も何も言わなくなりました。高校駅伝は強い学校の留学生依存は大きく、語弊を承知で言えば、「助っ人」です。元旦のニューイヤー駅伝では旭化成がついに外国人を使い、優勝しましたが、それと同じ現象が教育界では起こっているのではなく、とっくの昔に進化し、常識と化しているのです。それが良いのか、悪いのかは、もはや今更言っても意味がありません。なるようになるしかないでしょう。

だからこそ、私も含む自称教育者も、考え方を変えていかねばなりません。今こそ、旧来の教育を推進するのか、より結果を追求した完全プロ化した教育、すなわち弱者切り捨ての現実を覆い隠した「全員参加」というきれい事型教育を推進するか、教育者であることを捨て、組織マネージャーとして、「勝利」を追求して、結果を出し続けるか。他にもいくつもあるでしょうが、自分たちが何を目指していくのか、よく考えなければならないでしょう。


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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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