基礎の繰り返しと反復と継続
近年、もはや誰でもが教育評論家であり、今の教育では良くないとほとんどの人が言います。居酒屋のプロ野球評論家とどことなく似ているところが切ないところですが、この国の教育を憂う人は、阪神ファンの数くらいいるということで、まだまだ捨てたものではないような気がします。どうすれば日本の教育が良くなるのかが混迷を深めているのは、「良くなった先」が見えないことと、人によってその「良い」の理解が異なるからです。高校生までの教育が、究極では、東大か京大に行くための教育であるならば、それは、高校野球をはじめとするスポーツにおける「優勝できるのは一つ」だけで、あとは敗者という考え方です。だから日本の大学生の多くは何らかの敗北感を持ったまま大学生になっています。もちろん、これを糧に大学生になって頑張る人はいるでしょうが、余計な敗北感ですし、受験アスリートが、大学生になってうまくいくのかというと、必ずしもそうではありません。受験アスリートにせよ、敗北感を感じている人にせよ、問題なのは、大学生になると、入った先の学問に興味が持てないことにあります。大学に入ることが目的化しすぎると、入ってからの生活のビジョンが描けなくなるというケースは数え切れないほどあります。元々勉強が好きでない人が、大学に行かないと就職がないという不安のもとに、嫌々勉強していたとすれば、大学生になった頃には、さらなる勉強嫌いとして成長を遂げているでしょう。
一方で詰め込みは間違っていて、アクティブラーニングに代表されるように、「自分で考えられる教育」が近年注目されています。しかし、「自分で考えられる」基準がないため、習熟度もわかりませんし、成果も曖昧です。結局、「映像を見せて議論をさせる」がアクティブラーニングだと思っている人を量産しているように思えます。
受験アスリート型にせよ、(えせ)アクティブラーニング型にせよ、皆が納得する良い教育があるとすれば、おそらく「好奇心をもたせる教育」だと思います。大学の教員は、通常の人であれば、好奇心を失っていない人がほとんどです。ありがたくなってしまった人、おごり高ぶっている人などは、好奇心が消えてしまっているかもしれませんが、子どものような好奇心を持っている先生もたくさん知っています。現在の教育制度で、大学以降で伸びていく人は、この好奇心の強い人で、いくつになってもそれを維持できる人です。なんならさらに強くなってもかまいません。そうなると、好奇心を強くする方法が問われるのですが、今のところ明確なものはありません。インターネットを使ったり、タブレットを使ったり、様々な試みはなされているとは思いますが、現時点で好奇心の幅は、人それぞれとしか言えません。ただ、言えることとして、指導者の役割は大きいと思います。当塾に来られる生徒さんでも、最初は「●●に興味があります」と言っていても、徐々に変わってくることはよくあります。先日、REBTの大会を京都で開きましたが、その際、ボスから、10年で関西圏にこれほどREBTを広められたのは功績だと言っていただきました。特に当塾で学んだ方は、REBTに関心を持ってくれる人はたくさんいます。おそらく当塾に来るまでほとんど知らなかったと思います。私がしていることは、REBTに興味を持ってくださいと訴えることではなく、①理解をしてもらう②この知識が日常生活で有効性が高いことを示す③自分でもできることを示す。特に③が重要で、特殊な技能ではなく、汎用性が高く、誰でもでき、しかもある程度できるようになると、生活の様々な箇所で役立てられるというところがポイントです。多くの人は「できるならやってみたい」と思います。もちろん、「今できないけれど、チャレンジしてみたい」と思ってもらうことも重要です。しかし、それは次の段階です。スポーツでもまずはやってみることが重要なのです。やってもみないうちから、説明のヘタな人が、上から目線で不安だけあおり、「できなければ将来はない」と脅し、成績が悪いとけなす、あるいはしかる。こんなことを繰り返すうちに好奇心が消えてしまった受験アスリートをたくさん見てきました。好奇心を引き出し、強くするには、指導者がしっかりかかわり、自分のしていることがどれだけおもしろいことで、どれだけ価値があるかをしっかり示すことが大切なのです。
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