応仁の乱と世相

井上博文

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テーマ:雑感

呉座勇一『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社)が30万部を超えるヒットをして以来、応仁の乱がブームなんだそうです。私的には石ノ森章太郎の漫画をずいぶん前に読んだ記憶があり、良い作品だっと思っています。再版されたのでしょうか?このブームは応仁の乱をうまく説明できる人が少ないからでないかと当初は思っていたのですが、どうもそれだけでもないようです。誰が正義で誰が悪かがわかれば、それぞれの支持層ができ、お互いが自分を正義、相手を悪として争い、勝った方が官軍となるのが世の常です。しかし、世相が不安定になって、為政者が自らの利権と欲望と身内の立身出世(幻想なのに)だけを考えた政治を行うようになると(だから不安定になるのかもしれませんが)、誰が正義で誰が悪かがわかりにくくなり、エイリアン対プレデターの争いのような様相を呈するようになってきます。先だってのアメリカ大統領選挙はまさしくその様相で、どちらかが勝ったというよりも、どちらも負けにしたかったところ、ルール上ヒラリークリントン氏が負けたというように見えます。今の日本もそれに追従するかのように、素人目にはもはや正義はどこにもなく、悪対悪の足の引っ張り合いにしか見えなくなってきました。応仁の乱は、誰もが知るとおり京都を焼け野原にして、「悪党」が発生して、文化財という文化財をこの世から消してしまいました。これも「学芸員はがん」と言った大臣の存在とどことなく似ています。この人は、今の獣医養成大学開設問題にも少なからず関わっています。前文部科学省事務次官の「勇気ある告白」をはじめ、正直なところ、今話題になっている総理大臣のお友達優遇問題は、私たち一般人にはどうでもいいことのはずです。一部のプロの方々が、「住民訴訟」として裁判でもしてくれれば、そこで事実が明らかになって、それでいいというレベルの話ではないかと思います。道義上の問題があることを承知しながら、法的に問題がないようにわざわざ特区を作ったのでしょうから、違法行為とするには困難が伴うように最初から設計されているはずです。しかし、共謀罪のような大がかりなものと併せて考えると、誰からか不明ですが、プレデターの側とエイリアンの側から、強烈な異臭を放ってこられるところに、多くの人は強い不安を覚えるのだと思います。そして気づけば、何の関係もない一般民衆の家が焼け野原にされるのです。正直なところ、お友達優遇政治家対既得権益官僚の争いなど、一般人の目に触れないところでやってくれればいいと考えています。しかし、それが両者の共通する利益だったりするもんですから、話はさらにややこしくなります。
プレデター対エイリアンの最高レベルに醜く、かつはた迷惑なくらいの異臭を放つ闘いの劇場を、見たくないけど、ちょっと見たい観衆と、自分のことのように捉える自称識者と、無関心な大衆。このような条件がそろった時に、応仁の乱が勃発するのだと思います。応仁の乱の書籍がブームになる意味が少しわかりました。文化財に関わる人は、逃げる準備をした方がいいかもしれません。


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