阪神大震災から20年

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

毎年似たようなことを言っていますが、
阪神大震災から20年がたちました。
震災で被災し、大切な人を亡くした人からすると、何年たっても
そのつらさや苦しみが消えることはないと思います。
私は幸運にも、親族や知人をなくしませんでした。
それでも毎年この日は本当に色々なことを思い出します。
またテレビをはじめとするメディアが「震災から20年」と
連呼してくれますので、嫌でも思い出さされます。

20年前のその記憶を辿ってみれば
6000人以上という本当に多くの人が亡くなりました。
悲惨な話もたくさん聞きました。

それでも、知り合いが自分のマンションの自治会で、
炊き出しをするのを手伝いに行ったとき、周囲の人がたくさん集まってくると、
身内を亡くした人もいましたが、最後はみんな笑顔になっていました。
私の印象では、当時から絶望というよりは、前を向いている人の方が多かった
ような気がします。以前折れない心についてコラムを書きましたが、
自分の構成要素を分析してみることは重要で、自分が様々な支え合いの中の
一つの体系として生きていると少しだけ考えてみると、少し視野が広がり、
結果として気分が楽になり、なんとか生きていけるという考えに行き着くことが
多いと考えられます。

20年もたつと、見た目には神戸は復興していますし、私の住んでいた地域も、
最近は人が入れ替わりつつあり、震災があったという記憶さえ薄く
なってきていると思います。また、記憶を辿らなければならないくらい、
日常生活においては震災のことが頭をよぎることはありません。
おそらく人は元々生きる力を持っており、この苦しみのシャバ世界で、
つらいこと、耐えがたいことがあっても、それなりに快適に生きていける術を
持っているのだと思います。単なる記憶の風化だけではなく
「この20年、つらかったけれど、まあ良かったな」
と言える年月であればいいなとあらためて感じました。



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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

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