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コラム
あれは、僕らなりの「スタンド・バイ・ミー」だったー我々3人は、危うく列車に・・・ー
2024年1月11日
青春映画の傑作「スタンド・バイ・ミー」
ちょっと古い作品になりますが「スタンド・バイ・ミー」という映画は、ご存じだろうと思います。青春映画の傑作で、オレゴン州、田舎町の仲良し少年たち4人組が、ちょっとした冒険の旅に出かけ、そこでのいろんな経験を通して成長していくという物語です。
さて、その映画の1シーンに、鉄橋の上の線路を歩いていたら、間の悪いことに列車がやってきために、少年たちが慌てふためいて逃げ惑う、という場面があります。間一髪のところでみんな助かるのですが、結構ヒヤヒヤさせられる1シーンです。
よく晴れた休日のこと
そういえば、これと同じようなことが俺たちにもあったなあ、とふと思い出しました。あれは小学5年か6年生のときだったと思います。私とA君、H君の3人は、何の目的だったのか、もう全く思い出せないのですが、とにかく町はずれの線路の上を歩いていました。おそらく、ほかの道を選ぶより、線路沿いに行った方が近道だったのでしょう。
よく晴れた天気の良い休日でした。仲の良かった我々は、そうやってよく一緒に遊んでいたのです。3人は、線路の上を縦一列に並んで歩いていました。
今でもそうですが、田舎の鉄道のダイヤはスカスカで、めったに列車に遭遇することなどありません。我々もタカをくくって歩いていました。
列車は突然現れた
すると突然、ちょうど500mくらい前方にあったトンネルから真っ黒な蒸気機関車が、その不気味な姿を現したのです。「不気味な姿」なんて、鉄道ファンには怒られそうですが、自分たちのまさに正面に現れた黒い巨体は恐怖以外の何物でもありませんでした。
とはいえ、まだ距離は充分あります。ちょっとわきによければ済むことでした。ところが、線路の両脇は土手になっていて、崖というほどではないのですが、結構急な斜面でした。ちゃんと足腰を踏ん張って身体を支えないと、下まで転げ落ちる心配もあったのです。
私とA君は、比較的大柄で体力もある方だったので、斜面によけて自分たちの身体を支えることができました。ところが、もう一人のH君は小柄で、もともと華奢なタイプだったためにうまくよけることができなかったのです。
彼は凍り付いていた!
そうやってモタモタしているうちに、真っ黒な蒸気機関車はいよいよ迫ってきました。運転手にも我々の姿が見えたのか、警告の汽笛を盛んに鳴らしています。
こういうときの蒸気機関車というのは、ものすごく迫力があって電車などよりもはるかにおっかない存在です。かなりの距離まで迫ってきたので、私とA君は、H君に「早くよけろよけろ。」と叫びました。
H君は恐怖の面持ちで、まるで凍り付いているかのようでした。列車はいよいよ迫ってきます。そしてついに、あと10mと迫ってきたときでした。なんとH君は、土手の下の方に頭からダイブしたのです。私とA君は唖然として見ていました。
みんな無事だった
幸いにも、土手の途中には丈の低い竹藪があって、H君はそこに頭からつっこんだのでした。列車が通り過ぎたあと、私とA君は逆さになって頭を竹藪に突っ込んでいるH君を引っ張り出しました。H君の髪の毛や服についた竹の葉を払ったら、幸いにも怪我もなく、無事にこの危機は乗り切れたのでした。
おそらくそのあと、何やら目的の場所へ向かったのだろうと思いますが、そのあたりのことは全く覚えていません。はっきりと記憶にあるのは、迫りくる蒸気機関車の黒い巨体と、頭からダイブしたH君の姿だけなのです。
さてこれが、私が昔経験したなんちゃってスタンド・バイ・ミーのお話でした。
もっと気を遣え!
と、この話には少し後日談があるのです。おそらく、この事件が起こったのは日曜日だったのだろうと思います。次の月曜日、H君は熱を出したということで学校を休んだのでした。列車の一件で、ハートをやられたというよりは、あの日一日遊んだ疲れが身体に出てしまったということだろうと思います。
すると、私とA君は、担任の先生に呼び出されて「Hは身体が弱いんだから、お前たち(私とA君)は、もっと気を遣ってやらなきゃダメじゃないか。」と、怒られました。確かにH君は華奢で身体もあまり強い方ではなかったのだけれど、私たちと一緒に遊びたくて、いつもくっついてきていたのです。すごく優しい性格のいい奴だったので、私たちも拒否することもなく一緒に遊んでいました。
そんな関係だったので、『こんな風に怒られるのは、なんだか間尺に合わないよなあ・・』と思いつつ「はい、わかりました。」と返事をしたのでした。その後は、以前より少しは気を遣いながら遊んだと思います。
ふるさとの仲良しはみんなバラバラに
さて、そんな私たちでしたが、中学に進むとき、私もA君も地元ではなくそれぞれ別の学校に進学しました。地元に残ったH君とは別れることとなり、ふるさとの仲良しはみんなバラバラになってしまったのです。
この話に限らず、そのほかにも、思い出してみると、少年時代のトホホなスタンド・バイ・ミー的な話は、いくらでも出てくるような気がします。
つまり、男の子というのは、洋の東西を問わず、全世界的にいろいろとアホなことをやらかす存在なのかも知れないなあ、と思うのです。
しかし、カミさんに言わせれば「あなたは、そんな話が特別多い方よ。」と、いうことになるんでしょうね、きっと。
今でも悪ガキ
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