優先順位はこの病を一刻も早く収束に向かわせること―海江田事務所のコロナ対策についてーⅤ(おしまい)
[時間的、金銭的、人員的に余裕がなく導入できない]
これまで、好不況といった景気の波に揉まれながらも、なんとかしたたかに生き残ってきた日本の中小企業。
しかし、今回の新型コロナウイルス禍は、その存続にどのような影響を与えるのでしょうか。
アトキンソン氏が指摘される規模による対応力の違いは、どういったところからくるのか、例えば「テレワーク導入率」について、東京商工会議所が2020年3月に実施した調査では以下のようになっていた、と紹介されています。
―テレワーク導入率は従業員数300人以上の企業が57.1%だったのに対して、50人以上300人未満の企業では28.2%、50人未満の企業では14.4%にとどまっています。
50人未満の企業の経営者も、悪意をもって導入を先送りしているわけではないでしょう。
規模が小さすぎて、時間的にも金銭的にも人員的にも余裕がなく、導入できないのだと推察できます。
こういった企業が多い国ほど、当然、テレワークの導入率は構造的に低下しますので、「Stay at home」に悪影響を及ぼします。―
新型コロナウイルス禍のような危機に際して、採用すべき新しいテクノロジーを利用した勤務形態の代表的な事例を「テレワーク」としたとき、その導入率に企業規模の差が影響するということです。
しかも、その導入のパーセンテージは企業規模によって際立って違っています。
これほどの差が出るというのは、私にはかなり予想外の統計結果でした。
「テレワーク」といったレベルの勤務形態であれば、中小企業の導入率ももう少し高いだろうと思っていたからです。
日本の場合、今のところまだそういった事態には至っていませんが、オーバーシュート(爆発的患者急増)になった場合、在宅勤務は必須になります。
そのときに、テレワーク対応可能なパーセンテージが14.4%というのでは、中小企業の対応能力は心もとないと言わざるを得ません。
しかし、これが日本企業の大半を占める中小企業の実態なのです。
こういった対応能力の低さ、ひいては生産性の低さが国全体に与える影響についても、アトキンソン氏はさらに突っ込んで指摘されています。
つづく