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海江田博士(かいえだひろし) / 税理士

税理士法人アリエス

コラム

薄利多売ビジネスで賃金が安い国とコスト勝負する日本―製造業は、なぜ国産回帰できないのか?―Ⅳ

2020年6月19日

テーマ:危機管理について

コラムカテゴリ:ビジネス

[日本企業の生産性があまりにも低すぎて余裕ある生産調整が不可能]


日本は製造立国といわれている中、今回のような危機がある程度予測されていたにもかかわらず、製造業の拠点を国内に戻せないのにはそれなりの訳があると、経済評論家の加谷 珪一氏は指摘されます。
その相応の理由というのは、どういうものなのでしょうか。

加谷氏は「ドイツが自国で物資を調達できる理由」というタイトルで、次のように述べられています。

― ドイツが重要物資を自国で調達できて、同じくモノ作りで国を成り立たせてきた日本において、同じことが実現できないのは、経済力に大きな格差が生じているからである。
もっと具体的に言うと、日本企業の生産性があまりにも低すぎるので、余裕のある生産・調達体制を構築できず、これが非常時における社会の脆弱性につながっている。(中略)
 ドイツの労働生産性(時間あたり)は72.9ドルと日本の1.6倍もある。(中略)
この格差はマクロ経済的に見ると尋常なレベルではない。
分かりやすくたとえるなら、同じ工業国でありながら1.6倍も生産性が違うというのは、中間層と富裕層くらいの違いがあると思ってよい。―

日本の生産性の低さは以前から言われていたことですが、同じ技術立国と思っていたドイツが1.6倍というのは驚かされました。
日本の生産性はドイツの3分の2くらいしかないことになります。
日本は本当にそんなに低いのでしょうか。

それは、基本的に日本経済の構造そのものに要因がある、と加谷氏は次のように指摘されています。

―ドイツの工業は基本的にすべてが高付加価値分野となっているが、日本は一部の企業を除き、依然として薄利多売のビジネスを続けており、中国など賃金が安い国とコスト勝負する結果になっている。
 もし日本メーカーの高付加価値シフトが進んでいれば、医療機器や医療器具といった分野においても、価格の高い製品にシフトすることで生産体制を維持できる。―

日本製品の品質の良さは、世界的にも定評のあるところであるが、それでも「薄利多売ビジネス」になっているのでしょうか。
確かに、海外のブランド物などに比べると、日本製品は品質の割にリーズナブルだなあ、と感じることが多いのも事実です。

消費者にとってはありがたいことだと思っていましたが、そういった感覚そのものが日本経済発展の足を引っ張っていたのかも知れません。



がんばりましょうよ。


つづく

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