落ち着いて危機状況のレベルを見極め適切な判断ができるか―危機管理対応力が問われる中でハッと思い当たること―Ⅲ(おしまい)
[極端なピンチは人々の心情をリアルにあぶり出す]
今回の新型コロナウイルス禍は、日本の場合、3月半ば過ぎくらいから急カーブで悪化の一途をたどりました。
昨日までは他人事のように感じていた人々が、手すり一つ、エレベーターのボタンに触ることさえ恐怖感を覚えるようになったのです。
こういったちょっとした感覚はやがて集団心理のように大きくなって、特に事業に従事している人の場合、増幅されて心を支配するようです。
そんな心理状態が人間に影響する、いろいろな行動パターンを目の当たりにしています。
とりあえず、金策に走る人。
金は借りたくない、と動かない人。
売上が下がっているにもかかわらず、「無理だ!」と決め込んで特に何も動き出さない人。
少しでも売上を確保するためにこれまでと違う方法に切り替える人。
イライラと人に当たり散らす人。
自分にできることはないか、と他人のために行動を起こす人。
組織全体の防衛を考える人。
自分だけを守ろうとする人・・・・
僅か、この1,2週間を見ているだけでも、凝縮されたように人々の様々なマインドや行動が見えてきます。
極端なピンチは、人々の心情をリアルにあぶり出すようです。
今と全く逆の現象が過去にありました。
バブル全盛時代です。
当時、東京にいた私は、目の前で繰り広げられるとんでもない現象に度々遭遇したものです。
人々は浮かれに浮かれ、普段考えられないようなバカげた行動に走る人も見られました。
あれも、その人のある部分本当の姿だったのかも知れません。
いずれにしても人間は、なにか極端な状況に追い込まれたとき、その本性が垣間見えるようです。
いろいろと驚かされることが多い、ということは、人は普段そういう姿を隠して暮らしているからなのでしょう。
「平常心」が大事、とはよく言いますが、それは正しくものを考え、正しく行動している人のことかも知れません。
こういうピンチのときに、その延長が今なのだなあ、とつくづく思わされます。
ピンチのときに対処すべき考え方、取るべき行動、というのは必ずあると思います。
その正しい選択をお手伝いするのが私たちの役割だと思っていますので、ぜひ私たちの経験や専門性をお役立てください。
リモートワークに切り替えました。