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根性が違う、100歳の経営者魂―店長を震え上がらせた祖母の営業トーク―Ⅰ

海江田博士

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テーマ:経営について考える

数年前、100歳で亡くなった祖母が、99歳のとき、亡くなる1年前のことです。

介護施設に入っている祖母を私と家内はほぼ毎週末訪れていました。
その内、何回かに1回は外に連れて行って買い物を手伝ったり、一緒に食事をしたりしていたのです。

ある日、少し買いたいものがある、というので昼食も兼ねて外に連れ出しました。
祖母はその前の年あたりから歩くことが困難になってきており、出かけるときはいつも車椅子でした。

祖母の食べるものは限られていて、洋食系や中華などはまず無理でした。
それでいつも何かしら和食の食べられる店を選ぶことが多いかったのです。

今回もお蕎麦屋さんのチェーン店を選びました。
祖母と入るのは初めての店でした。
店はちょうど昼時で混み合っていました。

レジ横の待ち合いのコーナーで席が空くのを少し待つことになりました。
レジ回りには袋に入ったお菓子や瓶詰などのちょっとした持ち帰り品、土産品などの商品が並べてあります。


車いすの祖母がゆっくりと手をのばして、土産品の中の袋に入った飴を手に取りました。
よく見えない目で袋の後ろのラベルなどをジッと見ています。
「どうしたの?」と私が聞くと、「これはどこの商品だ?」と尋ねます。
私は「ははあ…」と察して「おばあちゃん、ここにあるのはうちの商品じゃないよ。」と答えました。

祖母は製菓会社の現役会長なのです。
『冨士屋飴』という明治創業の老舗です。
地元の農産物などを原材料にして、様々な種類の飴やキャンディーを全国に製造販売している会社です。
祖母は今日のように飲食店やドライブインなどに入った時は必ず、陳列棚やショーケースをこんな風に確認するのです。
祖母は「そうか。」と飴の袋を棚に戻しました。

そうしていると、席が空いたらしく店の人に呼ばれたので、車椅子を押してテーブルにつきました。
祖母はもともと外食が好きな方ではありません。
基本的には人の作ったものを信用していないのです。
この日もいちばんシンプルな「かけ蕎麦」を頼みました。


しかし、このかけ蕎麦が思いのほか美味しかったらしく「ここの蕎麦はなかなかうまい。」と祖母には珍しく褒めていました。
食事が終わり食後の薬なども飲ませて、お勘定になりました。


つづく

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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